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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


律令時代に,中国の書式に従って採用された公文書の一形式。上級官庁 (所管) から直属の下級官庁 (→被官 ) に下すときに用い,太政官をはじめ8省や大宰府,諸国など,中央,地方の官庁で用いられた。太政官符 (官符と略称) が代表的。諸国の国司が出すものは「…国符 (国符と略称) 」といった。初見は天平勝宝2 (750) 年,平安時代末期から次第に下文 (くだしぶみ) に代ってくるが江戸時代まで存続し,武家には採用されなかった。 (→〈げ〉)

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デジタル大辞泉の解説

ふ【符】

護符。守りふだ。
割符(わりふ)。
律令制で、上級官庁から直属の下級官庁へ出した公文書。差し出す官庁によって太政官符・省符・国符などとよばれた。→解(げ)
めぐりあわせ。運。
唐糸が、―のわるさ」〈伽・唐糸さうし〉

ふ【符】[漢字項目]

常用漢字] [音](漢)
両片を合わせて証明をする札。割り符。「符節配符
割り符を合わせたように一致する。「符合
天からの知らせ。めでたいしるし。「符瑞(ふずい)/祥符」
神仏のお守りの札。「護符呪符(じゅふ)神符霊符免罪符
一定の事柄を表すように取り決めた記号。「符号符牒(ふちょう)音符感嘆符

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百科事典マイペディアの解説

符【ふ】

古文書の一つ。律令制下の公文書で,直属関係にある上級官庁が下級官庁に下す文書。(げ)に相対する文書形式。太政(だいじょう)官が下すものを太政官符,八省が下すものを省符,国が下すものを国符という。
→関連項目古文書

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世界大百科事典 第2版の解説

ふ【符】

古文書様式の一つ。公式様(くしきよう)文書の一つで,上級官司から管隷下の下級官司へ下す文書。上申文書である(げ)に対応する下達文書である。太政官(だいじようかん)から八省や諸国へ下す太政官符,省から管轄下の寮や司へ下す省符,国から郡へ下す国符などがある。様式は第1行に差出所と充所があり,本文の書止(かきどめ)文言はすべて〈符到奉行〉(符到らば奉行せよ)である。本文の次に文書発給責任者の位署があり,日付は最末であることが特徴である。

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大辞林 第三版の解説

ふ【符】

律令制で、上級官司が直属官司に発した公文書。また、その形式。太政官符・省符・大宰府符・国符など。 →
護符。また、護摩札ごまふだ。おふだ。まもりふだ。
符節ふせつ。割符わりふ。 「 -を合わす」
めぐり合わせ。運。 「サテモ我ワ-ノ悪イモノカナ/天草本伊曽保」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


公式様文書(くしきようもんじょ)の一形式。律令(りつりょう)制で、上級官司からそれに直属する下級官司に下す文書。これに対して下級官司から上級官司に差し出す文書を解(げ)という。太政官(だいじょうかん)から八省・諸国・大宰府(だざいふ)に下す符が太政官符(官符と略す)で、律令時代のもっとも重要な政治文書である。また八省から諸寮司(りょうじ)および職(しき)に下すのが各省符(単に省符という場合は民部省符のことをいう)、各国司から郡司に下す符が各国符で、さらに郡司が下級機関に下す郡符などがあり、いずれも官符に準じた書式をとった。普通の文書は本文のあとに日付を入れ、責任者の位署を書き署名するが、符は責任者の位署・署名のあとに年月日を書く。すなわち日付が最後に書かれるのが特徴である。また符にはそれぞれの役所の官印をかならず捺(お)す。初めは字面全部に官印が捺されたが、鎌倉時代ごろになると、官符の場合、最初と最後の三か所に捺されるようになる。官符で諸国に下すものにはだいたい内印(ないいん)(「天皇御璽(ぎょじ)」)を捺し、在京の諸司に下すものには外印(げいん)(「太政官印」)を捺した。平安中・末期ごろから宣旨(せんじ)・官宣旨が、さらに鎌倉中・末期ごろからは院宣(いんぜん)・綸旨(りんじ)が官符にかわる重要な国政文書となり、それに伴って官符は儀礼的なものとなっていった。また、各省符・国符・郡符も律令体制の変質のなかで、平安中・末期には消滅した。[上島 有]

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世界大百科事典内のの言及

【護符】より

…各種の災厄をよけ,幸運をもたらすと信じられている物体のことで,呪符ともいう。現代の日本でみられる例には,自動車や身につける交通安全や学業成就などの〈御守(おまもり)〉や家の柱・門などにはり付ける〈御札(おふだ)〉,客商売の家や店に置く〈招き猫〉などがある。…

【下文】より

…11~13世紀に荘園領主や官司が荘園公領在地や地下(じげ)を支配するため盛んに使用した下達文書。8世紀から10世紀までの律令政治において,所管の官司から被管の官司へ下達する文書としては符が用いられていたが,符の発給にあたっては,官司印の請印や授受の儀式など厳格な手続を必要とし,緊急を要する事項あるいは軽易な事項については,ふつごうで煩わしいものであった。そこで文書作成担当者から直接下達する文書として開発されたのが下文である。…

【古文書】より

…ともに天皇の命を伝える文書であるが,詔書は臨時の大事に,勅旨は尋常の小事に用いられた。(c)(ふ)は所管(上級の役所)から被管(下級の役所)に下す公文書であり,(d)(げ)は被管から所管への上申文書である。(e)(い)は対等の役所間に交わされる文書で,(f)(ちよう)は本来は主典以上の役人が役所へ申達する文書であるが,後には役所から役所に準ずる所に出される文書として用いられた。…

※「符」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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