デジタル大辞泉 「鎖」の意味・読み・例文・類語
くさり【鎖/×鏈/×鏁】
1 金属製の輪を数多くつなぎ合わせて、ひもや綱のようにしたもの。かなぐさり。「犬を―でつなぐ」「懐中時計の―」
2 物と物とを結びつけているもの。また、つなぎ合わせること。
3 「鎖
4 関節。また、「笛のくさり」の形で、のどぼとけの軟骨をいう。
「骨の―」〈日葡〉
「
[類語]綱・縄・紐・荒縄・細引き・テープ・しめ縄・命綱・帆綱・ロープ・ザイル
翻訳|chain
( 1 )①の挙例「色葉字類抄」のほか清原宣賢自筆「塵芥」に「鎖 シャウ 鏁 同」とある。この「シャウ」は、「日葡辞書」に「Iǒuo(ジャウヲ) ヲロス」とみえるジャウと同じものらしく、「元和本下学集」にも「鎖 ジャウ 子」とある。しかし、「鎖」の字音は、ふつう「サ」であり、まれに「鎖 シャ」〔法華経単字〕とするものはあっても「ジャウ」とするものは見当たらない。これも漢字音と思われるが、あるいは、「鏁子 サウシ 亦作鎖」〔色葉字類抄〕のような「鏁」の音サウにちなむ変化音などを考慮すべきか。
( 2 )日本では、後世、「錠(ヂャウ)」字を当てる。この字は、本来、足の付いた高坏(たかつき)の意で錠前の意はなく、仮名遣いも異なる(「大言海」「疑問仮名遣」など)。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
金属その他の材料で環(かん)をつくり、これを多数つなぎ合わせたもの。チェーンともいう。装身用、時計用から船舶係留用、チェーンブロック、クレーンに代表されるつり下げ用、エスカレーターなどの引張り用、自転車に使われている動力伝達用など種類も多い。環の寸法は1、2ミリメートルから数十センチメートルのように大きなものまでさまざまで、鎖の長さも数センチメートルの小さなものから数百メートルという大きなものまである。使用範囲も広く、目的により材料も形もさまざまある。
[中山秀太郎]
船舶係留用、チェーンブロック用、クレーン用、各種機械の動力伝達用などの鎖。普通、軟鋼、可鍛鋳鉄あるいは鋳鉄でつくられ、楕円(だえん)形、長方形、またはそれらの中央に横ばりを入れて強化した環からできている。鎖の製作方法は、使用する材料によって異なる。軟鋼の場合には、まず鍛造により環をつくり、もう一つ別に口のあいた環を用意し、二つの環に開口した環をはめ、あいている口を鍛造により接合する。このようにして次々と環をつないで適当な長さの鎖をつくる。鋳鉄の場合にはまず鋳造で環を2個つくり、この2個を鋳型に入れ、それにはまるように第三の環を鋳造してつなぎ合わせる。
船舶用の鎖は一般に大きく、錨(いかり)につけて係留するアンカーチェーン、舵(かじ)取りに使われる操舵(そうだ)チェーン、荷役用のもっこなどがある。アンカーチェーンは普通、環の中央に横ばりを入れたスタッドリンクチェーンが用いられる。船舶用のチェーンは船の安全性に関係があるので、チェーンの寸法、長さ、強さなどについての規則が定められている。大型の船には強度の高い鋳鋼製あるいは電気溶接製の鎖が用いられる。操舵チェーンには環に横ばりのないショートリンクチェーンが用いられ、これらについても規則が定められている。荷役用には、扱う荷物の性質、重量などによって環の大きさ、太さが選定されて使用される。動力伝達用の鎖としては、環を連結した普通の鎖のほかに、ころ入り鎖、音なし鎖、低速用としてはピン鎖など安価なものが使用される。
[中山秀太郎]
鎖と同じ目的に使われるものに鋼索(鋼線でつくられた綱)がある。同じ荷重に対して鎖は鋼索よりも数倍の重さがあるが、全体としては大きなたわみ性があり、滑車への巻掛け、巻胴への巻取りに便利である。しかし、ケーブルカーとかロープウェーのような引張り用には、長さと重量の点からもっぱら鋼索が使用される。鋼索は容易にたわむことができるように、なるべく素線を細くし、芯(しん)には木綿などの繊維を入れるので、滑車に掛けたりすると摩耗、切断しやすく、とくに水中で使用すると腐食も早いという欠点がある。鎖は、環を取り外すことによって鎖全体の長さを適当に調節できる特長があるから、摩耗したようなときには、その部分だけ交換できるので便利である。
[中山秀太郎]
紀元前4~2世紀ごろから西洋では金の鎖が首飾りなどに使われていた。ギリシアでは古代から金細工が発達し、複雑な金の鎖がつくられ、首や腕の周りなどに巻き付けたり、ペンダントにして首から下げたりした。金細工は多くの人たちによって受け継がれてしだいに発達し、精巧な装身用鎖がつくられるようになった。ルネサンスのころになると組紐(くみひも)式の鎖細工もつくられ、装身用の金の鎖は貨幣と同じように支払いや贈り物にも利用され、一つの財産ともなった。1830年ころから長い金の鎖を首の周りに巻いたり、時計などを結び付けて用いられた。現代では腕輪、羽織の紐、首飾り、眼鏡用、懐中時計用などに使われている。鎖の材料としては金、銀、白金、ホワイトゴールドなどがあり、鎖の組み方も喜平(きへい)形、注連縄(しめなわ)形、蛇の目形、角環(かくかん)形、斜子(ななこ)形、小判形、水雷形などのほか、これらの組合せ、変形されたものなど多種類ある。
[中山秀太郎]
チェーンともいう。金属製の環やリンクプレートを継いでつくられた索条。装身具としての利用もあるが,工学的な面では巻掛伝動装置の動力伝達,船の係留をはじめ非常に広い分野で使用されている。ワイヤロープに比べ重量はかさむが,たわみ性がよく,また長さの調節が容易に行えるという特徴をもつ。動力伝達用の鎖は,例えば自転車において見られるように,原動回転軸と従動回転軸にそれぞれ固着した鎖車(スプロケット)に巻きつけて,原動軸から従動軸へ鎖を通して力と運動を伝達する。ベルトとともに,軸間距離が長いときに有用な動力伝達方式で,ベルトに比べて強力であることが大きい利点であるが,重量が大きいのでベルトほど高速運転することができない。動力伝達用の鎖としては,繭形をした鋼板性のリンクプレートをピンで結合し,これにローラーを入れたローラーチェーンと,運転時における騒音を減らすため,特殊な形状のリンクプレートを用いるサイレントチェーンとがもっとも広く使用されている。なお,船のいかりに取り付ける鎖は錨鎖(びようさ),またはアンカーチェーンと呼ばれる。
→錨(いかり)
執筆者:北郷 薫
装身具としての鎖は前4世紀ころからつくられ,旧約聖書の《創世記》にも金鎖の記述が見える。ギリシアでは古代から金細工と宝石細工とが発達し,かなり複雑な金鎖の細工が首飾に使われ,これに小型のペンダント(つり飾)がつけられた。中世からルネサンス期にかけては,非常に精巧な組紐式の鎖細工trichinopolyがつくられるようになり,装身用の鎖は現金にひとしい財産とみなされ,金鎖の全体,もしくはいくつかの環は支払や贈物にあてられた。また,くつわ鎖curb chain式で,今日のものより幅広で平らな金鎖は,ヘンリー8世の肖像画にも見られる。このころの鎖はペンダントをさげる装身具の部分としてではなく,首から胸に長く垂下して,独立した装飾品として用いられたものである。独立した装飾品としての鎖の流行は17世紀には下火となった。長い細い金鎖を首のまわりにまく風俗は,19世紀の30年代に起こった。この鎖には回転環swivelがついており,これに時計をつけ,時計は腰帯の間におしこんでいた。現代では鎖は腕輪用,鼻眼鏡用,婦人羽織紐,首飾など装身雑具の付属品として用いられるが,おもな用途は時計付属品として使われ,懐中時計用のものと,腕時計用のものとがある。その材料には金,銀,白金,ホワイト・ゴールド(銅,ニッケル,亜鉛などを含む金合金)などが用いられ,金鎖の間に白金をまぜて用いたのを白金まじり,白金鎖の間に金を入れたのを金まじりという。鎖の組み方の基本的な形式には,喜平形,しめ縄形,蛇の目形,小判形,角環形,水雷形,飾付鎖,ななこ形,変り喜平形などがあり,さらにこのほかさまざまの変形が行われている。
執筆者:春山 行夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
自然現象や社会現象における時系列や,トポロジー的な系列をモデル化したものを鎖という.マルコフの鎖が有名である.高分子科学では,骨格結合をモデル化したものを鎖,あるいは主鎖という.また,二官能性モノマーの縮合によって生じたような線形高分子を鎖状高分子という.このようなモデル化によって,高分子の立体配置,立体配座を統計学的ないし統計力学的に取り扱うことが可能になった.共重合体中のモノマー単位の順序列を鎖とみなしたとき,合成高分子では確率的(ストカスチック)であるのに対し,タンパク質や酵素などの生体高分子では決定論的あるいは親ゆずり(hereditary)である点で,両者は大きく異なる.鎖という用語のイメージから,鉄製の鎖のような分子群,すなわち一つの環状分子の環を貫通して別の分子が環を構成しているものも考えれるが,これは連結(インターロック)とよばれ,鎖の概念のなかには入れない.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…この1ポール×1ファーロングの面積はルードroodと呼ばれ,エーカーは4ルードに等しい。また4ポールは測量用の長さの単位として用いられ,チェーンchainという。この単位を用いると,エーカーは1チェーン×10チェーン,すなわち10平方チェーンとなる。…
※「鎖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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