隣(漢字)

普及版 字通 「隣(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

(旧字)
15画

(異体字)鄰
15画

[字音] リン
[字訓] となり・ならぶ・むら

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
金文字形に作り、(ふ)+(りん)。は神の陟降する神梯、その前に人牲を用いる形。〔説文〕六下邑部に鄰を出し、「五家を鄰と爲す」と〔周礼、地官、遂人〕の文によって解する。は神梯の象に従い、鄰は邑里の象に従うものであるから、もと別の字とすべきであるが、中国の文献では鄰をの正体の字として用いる。金文にに作るものがあり、をもって正体とすべく、その字は神梯の前に人牲を以て呪禁とする象であるから、本来は聖所をいう字であろう。〔易、既済、九五〕に「東鄰の牛をすは、西鄰の(やく)祭するに如(し)かず」とあり、ともに祭祀のところをいう語である。この語は文王と紂とのことをいうとされ、東鄰とは殷の祀所、その祀所を境界の要所に設けるので、相隣する意となったのであろう。金文に「右」「小大右」を嫡官として治めることを命ずる冊命(さくめい)があり、祭祀の要職とされたのであろう。近隣・邑里の意に用いるのは、後起の義である。漢碑には・鄰両形がみえるが、が初形である。

[訓義]
1. となり、ならぶ、隣接する。
2. むら、さと、五家、また八家。
3. たぐい、とも、たすける。
4. (りん)と通じ、おにび。

[古辞書の訓]
名義抄 トナリ・チカシ・シキリ・ツラナル・ツキヌ・ツヅク・サト・メグル・ヲツ・ナラブ/鄰 ナラブ・ヌキツ・ウネ・ウシナフ・トナリ

[語系]
(鄰)lienに比隣・集の意がある。陳陳・陣陣dien-dien、田田dyen-dyenは相並ぶ意の連語で声義が近い。また、川底白石の光るさまをlien-lienという。

[熟語]
隣翁隣家隣居隣郷隣境・隣曲隣近隣伍隣交・隣好隣国隣人・隣接隣村・隣地・隣比・隣壁・隣辺・隣保隣邦隣睦・隣里隣閭・隣隣
[下接語]
歓隣・旧隣・郷隣・近隣・交隣・四隣・車隣・善隣・村隣・買隣・比隣・隣・卜隣睦隣・両隣・良隣

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報