(読み)ワキ

デジタル大辞泉 「脇」の意味・読み・例文・類語

わき【脇/×腋/×掖】

両腕の付け根のすぐ下の所。また、体側とひじとの間。わきのした。「本を―に抱える」
衣服で、1にあたる部分。「洋服の―を詰める」
(「傍」「側」とも書く)すぐそば。かたわら。「門の―に車をとめる」
目ざすものからずれた方向。よそ。横。「話題が―にそれる」「―を見る」
脇句」の略。「―をつける」
映画・演劇などで、脇役。「実力派俳優が―を固める」
平安時代、相撲人すまいびとのうちで最手ほてに次ぐ地位の者。今の関脇にあたる。ほてわき。
(ふつう「ワキ」と書く)能で、シテの相手役。また、その演者。原則として現実の男性の役で、面はつけない。
邦楽で、首席奏者(タテ)に次ぐ奏者。また、その地位。演奏するものによって、脇唄・脇三味線・脇鼓などという。
そば[用法]
[類語](1わきの下小脇/(3手近い程近い近い間近い間近じきすぐ至近近く目前鼻先手が届く指呼しこ咫尺しせき目睫もくしょうかん目と鼻の先そば傍ら近辺付近はた足元手元身近手近卑近身辺片方かたえ近傍近所最寄り座右左右手回り身の回りまのあたり目睫もくしょう面前目の前眼前現前目先鼻面はなづら鼻っつら前面正面真ん前手前先方直前片脇横手横合い近間界隈かいわい近回りそのへん四隣しりん隣組向こう三軒両隣りょうどなり

きょう【脇】[漢字項目]

常用漢字] [音]キョウ(ケフ)(漢) [訓]わき かたわら
〈キョウ〉わき下の肋骨のある部分。わきばら。わき。「脇息
〈わき〉「脇机脇腹脇見脇道脇目脇役小脇両脇
[補説]「脇」と「脅」は本来同字であるが、日本では意味によって使い分ける。
[難読]関脇せきわけ

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精選版 日本国語大辞典 「脇」の意味・読み・例文・類語

わき【脇・腋・掖】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 胸の側面で、腕のつけねのすぐ下の部分。わきの下。
    1. [初出の実例]「世尊の膊(かたわたり)(わキ)は悉く皆充ち実てり」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
  3. 衣服でに当たる部分。
    1. [初出の実例]「 方言注云〈音与掖同 古呂毛乃和岐〉衣服也」(出典:十巻本和名抄(934頃)四)
  4. ( 「傍・側」とも書く ) 事物のかたわら。側面。そば。横。
    1. [初出の実例]「片つ方の脇(ワキ)の門に将(ゐ)て至り〈興福寺本訓釈 脇 和支〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    2. 「脇(ワキ)からむしゃうに笑ひ出して」(出典:浮世草子・世間娘容気(1717)二)
  5. 主なものの次に位置し、その補助をするもの。
    1. (イ) 春宮坊(とうぐうぼう)の帯刀(たてわき)の一つ。部領(ことり)の次位。〔江家次第(1111頃)〕
    2. (ロ) 平安時代、相撲人(すまいびと)中の最高位である最手(ほて)に次ぐ位の称。今の関脇にあたる。ほてのわき。ほてわき。脇手。
      1. [初出の実例]「最手額田成連、与腋宇治部利里、決勝不」(出典:西宮記(969頃)四)
    3. (ハ) ( ふつう、片仮名で「ワキ」と書く ) 能楽で、主役(シテ)の相手を演ずる役。また、その人。脇師。古くはツレなどシテを助ける役を総称した。脇の仕手
      1. [初出の実例]「わきは、とよ、直(すぐ)成る為手なり」(出典:申楽談儀(1430)序)
    4. (ニ) 浄瑠璃で、太夫の次に位する語り手。また、その役。脇語り。脇太夫
      1. [初出の実例]「此時天王寺の五郎兵衛と云ふ人〈竹本筑後こと〉理兵衛ワキをつとめ、初て床になをってかたる」(出典:今昔操年代記(1727)上)
    5. (ホ) 邦楽で、主奏者(タテ)に次ぐ人。また、その役。脇唄、脇三味線、脇鼓、脇太鼓などと称する。
    6. (ヘ) 一般に、主たるものに対する次のもの。
      1. [初出の実例]「笠間より茶上、はしり一斗五升つつ、わき六升つつ」(出典:多聞院日記‐天正一一年(1583)四月二七日)
  6. 物事の終わったあと。
    1. [初出の実例]「ダンギノ vaqi(ワキ)。または、ゴミサノ vaqi(ワキ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  7. ( 「わきになる」「わきになす(する)」の形で使うことが多い ) 二の次(つぎ)のもの。あとまわし。そっちのけ。のけもの。
    1. [初出の実例]「位とる事は脇(ワキ)になりて、機嫌をとる事になりぬ」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)一)
  8. わきのう(脇能)」の略。
    1. [初出の実例]「一乗院にて、円満井、魚崎(ゆふざき)、両座立合の時、わきは鬮なり」(出典:申楽談儀(1430)永享元年興福寺能)
  9. わきく(脇句)」の略。
    1. [初出の実例]「是にゐまする者が、わきをいたひてござる」(出典:虎明本狂言・連歌盗人(室町末‐近世初))
  10. わきびゃくしょう(脇百姓)」の略。
  11. 近くの別の場所。また、別の人。よそ。ほか。
    1. [初出の実例]「実(げに)は牛飼童薪かづく女迄も、脇(ワキ)の里より堅(かしこ)き様も見へ侍ると言に」(出典:浮世草子・近代艷隠者(1686)四)
    2. 「年頃で無理ぢゃアねえから他処(ワキ)へ寄ったか」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉三〇)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「脇」の意味・わかりやすい解説


わき

徳島県北部、美馬郡(みまぐん)にあった旧町名(脇町(まち))。現在は美馬市の北部を占める地域。吉野川北岸に位置する。旧脇町は、1889年(明治22)町制施行。1958年(昭和33)江原岩倉の2町と合併。2005年(平成17)美馬、穴吹(あなぶき)の2町および木屋平(こやだいら)村と合併して市制施行、美馬市となった。国道193号と撫養(むや)街道が交差する。また、徳島自動車道の脇町インターチェンジが設置されている。三好長慶(みよしながよし)が脇城を築いたと伝え、のち徳島藩阿波(あわ)九城の一つとなり家老稲田氏が居住したが、1638年(寛永15)一国一城令により取り壊された。稲田氏は藍(あい)作りを奨励し、藍の集散地、また在町として発展した。現在も江戸時代の建物を含む藍商の町並みが残る。

 農業は米作からブドウ、ハッサク、クリなどの果樹栽培や、養鶏、養豚、酪農への転換がみられる。岩倉地区には中世の岩倉城跡や毘沙門(びしゃもん)天像(国の重要文化財)を蔵する最明寺(さいみょうじ)がある。南町通りを中心に梲(卯建)(うだつ)をあげた商家の町並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定された。江戸時代の農家建築として旧長岡家住宅が国の重要文化財に指定されている。

[高木秀樹]

『『脇町誌』(1961・脇町)』『『脇町史』全3巻(1994~2005・脇町)』


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普及版 字通 「脇」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(異体字)脅
10画

[字音] キョウ(ケフ)
[字訓] わき

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(きよう)。〔説文〕四下に脅を正字とし「兩膀なり」という。脇はその異体字。声義すべて脅と同じ。ただ慣用として、脇を脅迫の意に用いることはない。

[訓義]
1. わき、わきばら、あばら。
2. かたわら。

[古辞書の訓]
立〕脇 ワキ・タ(オ)ビヤカス・ナヅキ・カタハラホネ・スベテ・ノヘテ語彙は脅字条参照。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「脇」の意味・わかりやすい解説


わき

徳島県中北部,美馬市北部の旧町域。吉野川中流北岸にある。 1958年脇町 (1889年町制) ,江原町 (1928年町制) ,岩倉町 (1951年町制) が合体して脇町が成立。 2005年木屋平村,穴吹町,美馬町と合体して美馬市となる。町域の大部分は山地で,集落は河岸段丘上に発達。南流する曽江谷川沿いの阿讃交通路 (現国道 193号線) と撫養 (むや) 街道が交わる交通の要地で,アイ (藍) の取り引きも盛んであった。主産業は農業で,タバコ栽培のほか,養蚕,養鶏,乳牛の飼育も行なわれる。中心集落付近には阿波九城の一つ脇城跡,北部には大滝山 (946m) ,太尾の滝がある。

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百科事典マイペディア 「脇」の意味・わかりやすい解説

脇[町]【わき】

徳島県北部,美馬(みま)郡の旧町。讃岐(さぬき)山脈の南斜面,吉野川中流北岸を占める。主集落の脇町は曾江谷川の扇状地上にあって,城下町として発達。古くから交通の要地で,バス交通の一中心。果樹・野菜栽培を行い,近年は商工業が盛ん。2005年3月美馬郡美馬町,穴吹町,木屋平村と合併し市制,美馬市となる。111.09km2。1万7882人(2003)。

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改訂新版 世界大百科事典 「脇」の意味・わかりやすい解説

脇 (わき)

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