デジタル大辞泉 「隣」の意味・読み・例文・類語
となり【隣】
2 左右両側にある家。また、その家の人。「
[類語](1)横・



に作り、
(ふ)+
(りん)。
は神の陟降する神梯、その前に人牲を用いる形。〔説文〕六下邑部に鄰を出し、「五家を鄰と爲す」と〔周礼、地官、遂人〕の文によって解する。
は神梯の象に従い、鄰は邑里の象に従うものであるから、もと別の字とすべきであるが、中国の文献では鄰を
の正体の字として用いる。金文に
に作るものがあり、
をもって正体とすべく、その字は神梯の前に人牲を以て呪禁とする象であるから、本来は聖所をいう字であろう。〔易、既済、九五〕に「東鄰の牛を
すは、西鄰の
(やく)祭するに如(し)かず」とあり、ともに祭祀のところをいう語である。この語は文王と紂とのことをいうとされ、東鄰とは殷の祀所、その祀所を境界の要所に設けるので、相隣する意となったのであろう。金文に「右
」「小大右
」を嫡官として治めることを命ずる冊命(さくめい)があり、祭祀の要職とされたのであろう。近隣・邑里の意に用いるのは、後起の義である。漢碑には
・鄰両形がみえるが、
が初形である。
(りん)と通じ、おにび。
トナリ・チカシ・シキリ・ツラナル・ツキヌ・ツヅク・サト・メグル・ヲツ・ナラブ/鄰 ナラブ・ヌキツ・ウネ・ウシナフ・トナリ
(鄰)lienに比隣・
集の意がある。陳陳・陣陣dien-dien、田田dyen-dyenは相並ぶ意の連語で声義が近い。また、川底に白石の光るさまを
lien-lienという。
隣・卜隣・睦隣・両隣・良隣出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
居住の近接に伴って形成される社会関係のうち,とくに日常的に接触交流の大きい家をいう。向こう三軒両隣,壁隣(かべどなり),一隣(いちどなり),隣家(りんか),両隣家などともいう。これら特別な名称で呼ばれる隣の家は,ある家にとっての周囲の家すべてではなく,特定の家に限定されるのが普通である。町場や街村では,道路向かい側正面とその左右の3軒と,自分の家の並びの両側2軒の計5軒を向こう三軒両隣と称して,なにかにつけつきあうことが多いが,一般的には隣は2軒である。それは,隣の家の設定が各家の任意の判断や意志でなされたものでなく,ムラなりマチの組織と密接に関連しているからである。
ムラあるいはマチには,回り戸口(まわりとぐち)とか家順と呼ばれて,全部の家を次から次へ順番に鎖状に結びつけ,回覧板や各種の連絡を送ったり,当番や講の宿を順々に担当したりするしくみがある。隣は多くその順序のなかの自分の家の両側の家である。連絡をくれる家とそれを渡す家の2軒が,日常的にも深い接触があり,互いに助け合う隣になる。したがって,2軒は相互に相手の隣となるが,Bの家の隣はAとC,Cの家の隣はBとDというように,各家ごとに隣の家は一部ずつずれており,一定の成員をもった団体としては存在しない。隣は,日常的には,気軽に行き来して,米や食料あるいは小銭の貸し借りをし,また互いにもらい風呂をしたりした。さらに,一定の場面で重要な役割を果たすことがしばしば制度化されている。関東地方などでは,婚礼の司会役や接待役,葬式の準備の責任者や進行役は両隣家がすることになっている所も多い。なお,家順と無関係に隣が形成されている所も少なくないが,その場合でも隣の範囲はごく近接の2,3軒である。いずれにしても,隣は居住の近接に基礎をおくため,住居を移転しないかぎり何代たっても変化しないので,ときには親類や本分家関係よりもその存在が強調される。そして〈隣は何をする人ぞ〉という表現が,都市の冷たい社会関係を示すことになる。
→近隣集団 →組 →隣組
執筆者:福田 アジオ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…――里正は兼ねて農桑を課植し,賦役を催駆す――。四家を隣となし,五家を保となす。保に長あり,もってあい禁約す〉と規定されている。…
※「隣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
[名](スル)二つ以上のものが並び立つこと。「立候補者が―する」「―政権」[類語]両立・併存・同居・共存・並立・鼎立ていりつ...