精選版 日本国語大辞典「隣」の解説
となり【隣】
〘名〙
① 並び続いているもののうち、そのもののすぐ近くにあるもの。
※法華義疏長保四年点(1002)一「隣(トナリ)賢にして聖に亜(つ)ぐを賢と曰ふ」
② 特に、並び続いているすぐ両横の家。隣家。
※万葉(8C後)一四・三四七二「人妻とあぜかそをいはむしからばか刀奈里(トナリ)のきぬを借りて着なはも」
※俳諧・笈日記(1695)上「秋深き隣は何をする人ぞ〈芭蕉〉」
③ 境が接している所。また、接近している場所・地域。
※書紀(720)敏達三年七月(北野本訓)「朝庭を欺訛きまつれり一つなり。隣(トナリ)の使を溺殺せり二つなり」
④ 時間的あるいは抽象的に連続しているもののうち、ある時点・事柄の前後に接しているものをいう。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「雪のただいささか散るに、春のとなり近く梅の気色見るかひありてほほゑみたり」
とな・る【隣】
〘自ラ五(四)〙
① 互いに並ぶ。並び続く。
※愚管抄(1220)六「太白・木星・火星となり、西の方によひよひすでに犯分に三合のよりあひたりけるに」
② 家が並び続く。家が隣接する。
※雑俳・柳多留‐一八(1783)「医者ととなってじゃうふだんおこされる」
③ 境界が接する。土地続きになる。
※大唐西域記長寛元年点(1163)七「居人豊楽(ゆたか)にして邑里相ひ隣(トナレ)り」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報