(読み)リョウ

デジタル大辞泉 「領」の意味・読み・例文・類語

りょう【領】[漢字項目]

[音]リョウ(リャウ)(呉) レイ(漢) [訓]えり くび うなじ
学習漢字]5年
首筋。うなじ。「領巾れいきん・りょうきん
着物のえり。「領袖りょうしゅう
重要なところ。「綱領要領
中心になって取り仕切る。また、その者。「領事管領かんりょう・かんれい宰領首領総領頭領大統領
先頭に立って率いる。「領導」
自分のものとして所有し、支配する。また、その場所。「領域領海領主領土領有英領横領寺領所領占領属領自治領
受け取る。「領収受領拝領
心に受け入れる。承知する。「領解領承
[名のり]おさ・むね
[難読]少領すけ領巾ひれ

りょう〔リヤウ〕【領】

[名]
領有すること。また、領有する土地。領分。領地。「他国のとなる」「オランダ
律令制で、郡司の官職。長官が大領、次官が少領。
[接尾]助数詞衣類よろいなど、一そろいの物を数えるのに用いる。「両」とも当てて書く。「鎧一」「式服三

くだり【領/襲】

[接尾]助数詞。衣装や幕・蚊帳などを数えるのに用いる。そろい。
「宮の御装束一―かづけ奉り給ふ」〈・若菜下〉

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精選版 日本国語大辞典 「領」の意味・読み・例文・類語

りょうリャウ【領】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 令制で郡司(ぐんじ)の官職名。長官を大領(たいりょう)、次官を少領(しょうりょう)といった。こおりのみやつこ。
      1. [初出の実例]「烏の鄙なる事を示(み)て、領、道心を発す」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
    2. 領有する土地など。領有物。所領。領地。ろう。「水戸領」「仙台領」「イギリス領」「フランス領」など、藩や国の名の下に付けて、その国の領地、領土であることを表わすこともある。また、あるものが支配する範囲。
      1. [初出の実例]「うけ給はれば、このくら、せんじょの御りゃうなりけり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ( 「領」は衣服の襟(えり)の意、あて字として「両」も用いられた ) 装束・鎧(よろい)などのひとそろいの数をかぞえるのに用いる。くだり。
    1. [初出の実例]「甲二領、金餝(こかねつくり)の刀二口」(出典:日本書紀(720)欽明二三年八月)

くだり【領・襲】

  1. 〘 接尾語 〙 衣装や、幕、蚊帳など数えるのに用いる。揃い。着(ちゃく)
    1. [初出の実例]「冬の装束ひとくだりを、いとちひさくたたみて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)

ろうラウ【領】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「りょう(領)」の直音表記 ) 領地。りょう。
    1. [初出の実例]「殿おはしまして、南の院を奉らせ給ひて、別納をば三宮の御らうにとおぼしめしたり」(出典:栄花物語(1028‐92頃)岩蔭)

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普及版 字通 「領」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] リョウ(リャウ)・レイ
[字訓] くび・えり・おさめる・うける

[説文解字]

[字形] 形声
声符は令(れい)。〔説文〕九上に「項(うなじ)なり」とする。〔段注〕に「頸(くび)なり」の誤りとするが、〔広雅、釈親〕に「項なり」、〔釈名、釈衣服〕には「領は頸なり」とあり、要するにえりくびをいう字である。〔詩、衛風、碩人〕に「領(くび)は(しうせい)(すくもむし)の如し」とみえる。要(腰)と領とは、人体の枢要のところであるから、最も重要なところを要領という。統領・支配の意よりして領略・領悟の意となる。衣服では領袖が大事な部分とされた。

[訓義]
1. くび、うなじ。
2. えり、えりもと、ころも、そろい、かさね。
3. さとる、おさめる、すべる、しめくくる、とりしまる、かしら、おさ。
4. うける、しるす。
5. かなめ、要所、おもむき、意趣。

[古辞書の訓]
名義抄〕領 アヅカル・コロモノクビ・キヌノクビ・クビ・ヲサム・サヅク/領許 ウナヅク 〔字鏡集〕領 ヲサム・アツマル・コロモノクビ・アヅカル・ツカサドル・カタブク・カヘル・キヌノクビ・クビ・サヅク・カバチ・ナツク・ウナヅク

[声系]
〔説文新附〕九下に領声として嶺を録する。巓頂(てんちよう)を巓というのと同じいいかたである。

[語系]
領・令・嶺liengは同声。令は神の命を聴く意。その領(うなず)き聴く意より、領受・支配の意となる。領悟の意は諒liangと声義の関係があろう。

[熟語]
領域・領解・領海・領会・領鑑・領給・領御・領巾・領悟・領護・領国・領事領悉・領取・領受・領袖・領職・領属・領得・領納・領要・領理・領略・領録
[下接語]
衣領・一領・引領・横領・管領・監領・旧領・裘領竅領・襟領・挈領頸領・兼領・交領・項領・綱領・宰領・主領・首領・受領・領・所領・将領・青領・占領・総領・統領・頭領・拝領・簿領・方領・捧領・本領・要領

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「領」の意味・わかりやすい解説

領 (りょう)

(1)近世における領主支配地の単位の呼称。御領,領分,領地,領域などと称されるが,大名の所領について尾州領,川越領,棚倉領などともいわれている。(2)中世から近世前期に用いられた行政単位の名称。中世の国,郷,荘,保という支配系列が戦国時代に荘,保が消滅し郷が領に改編された。関東の場合,後北条氏は軍事組織を衆,行政組織を領としたが,領は数ヵ村の郷村を含んだ広域行政体となった。武蔵国松山領の範域は松山城で吹く法螺貝(ほらがい)の聞こえる範囲といわれる。徳川氏の関東入国を契機に領は継承,再編成された。武蔵国の場合,近世中期幕府の調査によると全22郡に82領の存在が確認されている。それによると,領は1郡内に2~14領が含まれている。近世前期の領は幕府,諸藩の支配単位となり,代官支配地や検地施行の基準となったが,とくに幕領で顕著な貫高制による検地は領別に行われている。近世中期に至り組に改編された例もあるが,領は消滅した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【利根川】より

…近世から現在に至るまで行われてきた治水の根本は,利根川のもつこのような地形的特性を考慮したものである。1900年の改修以前の利根川治水は,江戸初期につくられた中条堤と,その南方の埼玉東部平野に散在する多くの〈領〉と称する水防単位によって行われた。中条堤はふつうの堤防と違って利根川の流路と直角に,右岸側の埼玉東部平野北端の熊谷扇状地東端と利根川との間につくられた堤防である。…

※「領」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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