(読み)ジョウ

デジタル大辞泉 「条」の意味・読み・例文・類語

じょう【条〔條〕】[漢字項目]

[音]ジョウ(デウ)(呉) [訓]すじ
学習漢字]5年
木の細い枝。「枝条柳条
すじ。すじ状のもの。「条痕じょうこん軌条索条線条鉄条発条はつじょう
縦横に区切った道筋。「条坊条里制
秩序立った筋道。「条理
一筋ずつ書き並べた文。「条件条項条文条約条例箇条教条玉条信条前条逐条
事柄。「別条
「絛」(さなだひも)の代用字。「条虫
[名のり]え・えだ・なが
[難読]条彫すじぼ条播すじま発条ばね

じょう〔デウ〕【条】

[名]
箇条書きにした一つ一つの項目。条項。「を追って審議する」
…のこと。…の件。「先般お申し越しの、承知いたしました」
接続助詞的用法。
㋐…によって。…の故に。現代文では候文の手紙などに用いる。「殊勝に候、差し許すべく候」
㋑(「とは言い条」の形で)…ものの。…ても。「天候のせいとは言い配達が遅れて申し訳ない」
古代の都城区画。→条坊
古代の土地区画。→条里制
[接尾]
細長いものを数えるのに用いる。「帯一」「一の川」
いくつかに分かれた事項の数を数えるのに用いる。「十七の憲法」「第一

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「条」の意味・読み・例文・類語

じょうデウ【条】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 条坊の制で、都(平城京・平安京)の左京・右京おのおの南北を、一条から九条に区画したもの。また、その大路をいう。東西は朱雀大路を中心に左京・右京おのおの一坊から四坊に分つ。
      1. [初出の実例]「此両三日間、諸条造道守舎云々」(出典:小右記‐寛仁三年(1019)四月一三日)
    2. 令制に基づく耕地区画の名。
      1. [初出の実例]「同条荒見社、里十坪十一坪十四坪十五坪、合拾肆町也」(出典:朝野群載‐二・承和五年(838)一二月一五日)
    3. ( 形式名詞的に用いる ) すじ。くだり。廉(かど)。こと。
      1. [初出の実例]「うひうひしく被思食之条尤道理也」(出典:古事談(1212‐15頃)二)
      2. 「未だ天の明けざらむ前に、勝負を決せむ条、何の疑ひか侯ふべき」(出典:保元物語(1220頃か)上)
      3. [その他の文献]〔書経‐盤庚〕
    4. ひとまとまりの文章。条文。
      1. [初出の実例]「下条准此」(出典:律(718)名例)
    5. ( 候文の中で接続助詞のように用いられて ) 前の文を受けて、その当然の結果として次の文が成り立つことを示す。…によって。故に。
      1. [初出の実例]「三人の人代不申付にをいては、不被及是非候条、其主人を可被加御成敗事」(出典:小早川家文書‐天正一九年(1591)八月二一日・豊臣秀吉法度)
    6. じょう(定)[ 一 ]
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 糸・帯・縄・幕・川・道など、細長いものを数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「幕二条〈一条椽東絁。一条紺調布〉」(出典:延喜式(927)一六)
    2. いくつかに分かれている事項を数え上げるのに用いる。
      1. [初出の実例]「十七ケ条の御憲法に」(出典:平家物語(13C前)二)

おちをち【条】

  1. 〘 名詞 〙 ( 助数詞的に用いられて ) 条(じょう)。箇条。→条条(おちおち)
    1. [初出の実例]「皇太子、親(みづか)ら肇(はじ)めて憲法(いつくしきのり)十七条(とをちあまりななヲチ)を作(つく)りき」(出典:日本書紀(720)推古一二年四月(岩崎本訓))

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普及版 字通 「条」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(旧字)條
人名用漢字 11画

[字音] ジョウ(デウ)
[字訓] えだ・すじ

[説文解字]

[字形] 会意
旧字は條。攸(ゆう)+木。攸は人の背を滌(あら)ってみそぎをする意。木はそのとき用いる枝葉を束ねたもの。〔説文〕六上に「小枝なり」とし、攸声とするが、攸は修禊の意。わが国の湯立(ゆだて)・湯神楽(ゆかぐら)は、木の枝葉に熱湯を含ませてみそぎをする。條・滌(でき)の字形の示すところと似ている。小枝の意より条長・条暢・条直の意となり、条理・条目・条件、また条里などの意となる。

[訓義]
1. えだ、ながいえだ。
2. のびる、とどく、ながい、ほそい、まっすぐ。
3. すじ、すじみち。
4. くだり、かど、条目、細長いものをいう助数詞。
5. 絛(じよう)と通じ、いと、ひも、なわ。
6. 木の名、ひさぎ、ゆず。
7. 滌と通じ、あらう。

[古辞書の訓]
名義抄〕條 エダ・ヲチヲチ・ヲシフ・サトル・カギル・シタガフ・ナガシ・ヤウヤク・ヲサム・ツトム・カザル・ミチ/條 ―トカスカナリ 〔字鏡〕條 ヤウヤク・ミチ・コヱダ・シヅヱ・タイタス・カザル・タシカ・ナカ・ツトム・ヲシフ・カギル・スヱ・ヲチヲチ・サトル・スヂ・シタガフ・ヲサム・ヱダ

[声系]
〔説文〕に條声として滌など三字を収める。滌十一上は「洒(あら)ふなり」と訓するが、もとみそぎする意である。

[語系]
條(条)dyu、滌dyukは声近く、また(濯)dik、漱sokもこの系統の語とみてよい。

[熟語]
条彙条肆・条印条纓・条格条款・条幹・条貫・条記・条規・条挙・条禁・条・条件・条項・条綱・条子・条次・条書・条緒・条章・条条・条状・条制条析条晰・条線条然・条・条奏・条属・条対・条達・条脱・条端・条長条鬯条牒・条暢・条直・条陳・条通・条定・条派・条枚・条白・条比・条文・条目・条約・条理・条縷・条例・条列
[下接語]
一条・遠条・科条・箇条・教条・玉条・勁条・軽条・枯条・綱条・細条・糸条・枝条・弱条・衆条・章条・詔条・条・信条・垂条・翠条・正条・政条・先条・線条・繊条・前条・疎条・逐条・勅条・布条・分条・碧条・別条・柳条・緑条・縷条

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【条坊制】より

…日本の都城制において,京域内を縦横に通ずる大路によって碁盤の目のように方格に区分し,東西の列を〈○条〉,南北の列を〈○坊〉とよぶとともに,方格そのものをもまた〈坊〉と称する制度。律令制では,戸令の規定によって,京職の配下として,各坊に坊長1人,各条の4坊ごとに坊令1人が任ぜられ,戸口の検校,姧非の督察,賦徭の催駈に当たった。…

【条里制】より

…古代日本に行われた耕地の地割の制。6町=60歩×6=約650m間隔に土地を縦横の道路や畦畔(けいはん)で方格に区画し,横(東西)の列を条(または図),縦(南北)の列を里とし,それぞれ起点から順次数字を冠して何条・何里と呼ぶ。またこのようにしてできた6町平方の区画(これをまた固有名詞を付して何々里という)の各辺を1町ごとに6等分し,1里内を方1町の地積をもつ36の坪に分かち,それらを(1)千鳥式(連続式),または(2)並行式の数え方に従って,1坪から36坪まで呼称する(図1)。…

※「条」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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