佐賀県(読み)サガケン

デジタル大辞泉 「佐賀県」の意味・読み・例文・類語

さが‐けん【佐賀県】

佐賀

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「佐賀県」の意味・読み・例文・類語

さが‐けん【佐賀県】

  1. 九州北西部の県。肥前国の東半部にあたる。室町時代に玄界灘沿岸は和寇(わこう)の根拠地となり、江戸時代には佐賀、唐津、小城(おぎ)など六藩が置かれた。明治維新後の廃藩置県で六藩はそのまま六県となり、伊万里県に統合後、明治五年(一八七二)佐賀県が成立。その後、三瀦(みずま)県、長崎県に併合されたが、同一六年長崎県から分離し、現在に至る。有田焼・伊万里焼などの産地。吉野が里(よしのがり)遺跡がある。県庁所在地は佐賀市。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「佐賀県」の解説

佐賀県

〔地理的位置〕

佐賀県はアジア大陸に最も近い九州の北西部にあって、肥前半島の基部を占めている。肥前半島は現在、東半は佐賀県、西半は長崎県と行政区画を異にするが、古代以来近世末まで全域が肥前国であった。県の東端は鳥栖とす(東経一三〇度三三分)、西端は東松浦郡鎮西ちんぜい馬渡まだら(東経一二九度四五分)、北端は同加唐かから(北緯三三度三七分)、南端は藤津郡太良たら(北緯三二度五七分)であり、総面積は二千四三一・六六平方キロである。

県の中央には東西に筑紫山地が走り、山地の多い玄界灘側と、平野部の有明海側に分ける。玄界灘に面して北西に東松浦半島が突出し、東の福岡県糸島いとしま半島との間に唐津湾、西の長崎県北松浦半島との間に伊万里湾があり、湾内および周辺に大小の島が散在する。南は肥前半島と九州の胴体の間に大きく湾入する有明海に面し、県南端部の多良たら岳山麓を除いては低平な佐賀平野が展開する。

東松浦半島の前面には神集かしわ島・加部かべ島・小川おがわ島・加唐島・馬渡島などがあり、壱岐いき海峡を隔てて壱岐・対馬つしまと飛び石づたいに、朝鮮半島への往来が古来開かれていた。肥前半島沿岸を洗って東流する対馬海流や、夏と冬で方向を変える季節風も、肥前半島と大陸を結びつける有力な条件となった。このような地理的位置の有利性から、古くより外来文化の窓口的役割を果した反面、非常時の場合、進攻防守の第一線の基地ともなった。元寇や豊臣秀吉名護屋なごや(現東松浦郡鎮西町)の陣などはその例である。

日本文化の中心が本州に確立されると九州は辺地とみなされたが、近世における長崎は海外への窓口として重要な存在であり、長崎と博多方面を結ぶ長崎街道は京都・江戸への道でもあり、県内に文化的影響を与えている(→長崎街道。佐賀県の範囲は肥前国東半に限られているが、中近世においては竜造寺氏・鍋島氏が現在の長崎県域内を支配していたこともあり、その歴史は肥前半島全体と深いかかわりあいをもっている。

〔気象的特質と災害〕

佐賀県の山野には樟が多く繁茂している。「肥前風土記」には樟の巨木説話があり、佐嘉(現在の佐賀)という地名が樟のさかえから名付けられたとの伝承がある。樟も亜熱帯的暖地性植物であるが、アコウ(赤秀)という暖地性喬木が、現東松浦郡肥前町の高串たかくしに自生している。このアコウは自生地の北限をなし、国の天然記念物に指定されている。また、背振せふり山南麓の千石せんごく山の山茶花も自生北限地として、国の天然記念物に指定されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佐賀県」の意味・わかりやすい解説

佐賀〔県〕
さが

面積 2440.69km2
人口 81万1442(2020)。
年降水量 1870.1mm(佐賀市)。
年平均気温 16.5℃(佐賀市)。
県庁所在地 佐賀市
県木 クスノキ
県花 クス(→クスノキ)。
県鳥 カササギ

九州北西部にある県。東は福岡県,西は長崎県に接する。北西部は玄界灘に突出した東松浦半島でリアス海岸をなし,その東には唐津湾,南西に伊万里湾がある。北部は筑紫山地に属する脊振山地が福岡県との境をなし,南部は筑紫平野の西半を占める佐賀平野で,潮汐の干満の差が大きく干潟の広い有明海にのぞむ。南西部の長崎県境には多良岳がある。気候は,中央の山地を境界として,南部は太平洋岸気候であるが,北部は日本海岸気候の傾向がある。古来,大陸文化輸入の基地として開け,各地に弥生・古墳時代の遺跡が分布し,佐賀平野には条里制の遺構が広くみられる。中世は荘園を基盤として諸豪族が割拠したが,主として戦国時代には龍造寺氏,近世には鍋島氏の領地として明治に及んだ。明治4 (1871) 年,廃藩置県後,数次の変遷を経て,1883年に現在の佐賀県となった。産業は佐賀平野の米作をはじめ,山麓一帯のミカン,多良岳北麓の茶 (嬉野茶) ,平野南西部 (白石地域) のレンコンが顕著。水産業では玄界灘の沿岸漁業,有明海岸はノリ養殖が発達。かつて北西部の唐津,杵島両炭田地域で石炭産業が活気を呈したが,1958年以後炭鉱は次々に閉山。これに代る工業の誘致に努めた結果,佐賀-鳥栖間の内陸部と唐津,伊万里の臨海地区に食品,醸造,窯業,薬品,農薬,衣料,紙,木工,電機,造船などの工場が立地した。在来工業では特に有田を中心とする陶磁器工業が有名。観光面では玄海国定公園のほか,脊振北山,多良岳など6つの県立自然公園があり,11月上旬の唐津神社祭の唐津くんちと,10月下旬の伊万里のトンテントン祭は,佐賀平野農村の面浮立 (めんぶりゅう) とともに有名。 JR鹿児島本線,長崎本線,佐世保線,唐津線,筑肥線,佐賀線,松浦鉄道,国道3号線,34号線,35号線,九州自動車道,長崎自動車道などが通じる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

事典 日本の地域ブランド・名産品 「佐賀県」の解説

佐賀県

九州地方北西部に位置する県。北は玄界灘、南は有明海に面する。東北部には天山〜脊振山塊の地帯、西部・西南部には丘陵地帯、南部には佐賀平野がひろがる。気候は、北部で日本海性、南部は内陸性の気候地帯に属するが、全体的に概ね温暖。農業が盛ん。県花は、クスの花。県木は、クス。県鳥は、カササギ。

[佐賀県のブランド・名産品]
青縞瓜 | 逸口香 | 伊万里・有田焼 | 伊万里梨 | うれしの茶 | 小城羊羹 | 女山大根 | 鹿島錦 | 唐津焼 | 神埼そうめん | けいらん(けえらん) | 佐賀いちご | 佐賀産和牛 | 佐賀錦 | 佐賀のり | 白石たまねぎ | 白石焼 | 白玉饅頭 | 竹崎カニ | 名尾手漉和紙 | 鍋島緞通 | 西川登竹細工 | 二条大麦 | 肥前さくらポーク | 肥前びーどろ | 浮立面 | 丸ぼうろ | 諸富家具・建具 | 弓野人形 | 呼子のイカ

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「佐賀県」の解説

佐賀県
さがけん

九州の北西部に位置する県。旧肥前国の北東部を県域とする。1871年(明治4)廃藩置県により厳原(いずはら)・唐津(からつ)・佐賀・小城(おぎ)・蓮池(はすのいけ)・鹿島の6県が成立。同年9月厳原県と佐賀県が合併して伊万里(いまり)県となり,11月他の4県も伊万里県に合併。72年旧佐賀藩領のうち諫早(いさはや)・神代(こうじろ)・伊古・西郷・深堀地方が長崎県に編入された。同年伊万里県は佐賀県と改称し,旧厳原県のうち対馬も長崎県に移管された。76年佐賀県は三瀦(みずま)県に併合された。まもなく三瀦県が廃止となり旧佐賀県全域が長崎県の管轄下におかれたが,83年肥前10郡を分離して佐賀県が再置された。県庁所在地は佐賀市。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

スキマバイト

働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...

スキマバイトの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android