シャンソン

百科事典マイペディア「シャンソン」の解説

シャンソン

フランス語で〈歌謡〉の意。音楽史では,フランスで1400年ごろに始まった独唱と伴奏の形(おもな作曲者はデュファイバンショア),および1500年以降の無伴奏のポリフォニー合唱曲が重要。後者は対位法的書法,世俗的歌詞によっているが,同時代イタリアのマドリガルより構造が明確で擬音を使う点が特徴である。ジョスカン・デ・プレジャヌカンらがその代表的作曲家。現代のポピュラー音楽としてのシャンソンは,歌詞の物語性を重視したものが多く,物語部分のクープレと繰り返し部分のルフラン(リフレイン)からできている。なお,フォーレやドビュッシーに代表されるフランス近代の〈芸術歌曲〉には,ドイツ語のリートに相当する語としてメロディの呼称がある。→フランドル楽派リート
→関連項目アルカデルトオケヘムカンツォーネキャバレースウェーリンク巴里の屋根の下ピアフプレベールベコーモンタンラッスス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「シャンソン」の解説

シャンソン
chanson

フランス語による世俗的歌曲。通常,現代フランスのポピュラー・ソングを意味すると解されるが,その歴史は古く,範囲もきわめて広い。中世トルバドゥールトルベールによる単声歌曲,14~16世紀のジャヌカンらの多声歌曲,さらに 19世紀以後の G.フォーレらの作曲による芸術歌曲も含めて『シャンソン』と呼ばれる。いずれも世俗的内容のによるフランス人特有の知性感情をそなえた歌である。大別して,シャンソン・ポピュレール (民謡) とシャンソン・サバン (芸術家によって作られた歌) に分けられる。現代のシャンソンは歌手自身の作詞作曲によるものも多く,人生の喜怒哀楽をそのまま語るように表現した歌といえる。

シャンソン
Chamson, André

[生]1900.6.6. ガール,ニーム
[没]1983.11.9. パリ
フランスの作家。地方色の濃い『無頼漢ルー』 Roux le bandit (1925) で文壇にデビューしたが,1930年代には人民戦線派の代表者として活躍,『ガレー船』 La Galère (39) ,『雪と花』 La Neige et la Fleur (51) などの社会性の強い小説を残した。アカデミー・フランセーズ会員 (56) 。

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精選版 日本国語大辞典「シャンソン」の解説

シャンソン

〘名〙 (chanson)
① 一三世紀末から一六世紀にかけてフランスで流行した世俗的な多声歌曲。
② 一九世紀末から二〇世紀初頭の「ベル‐エポック」に勃興した、フランスの代表的な大衆歌謡。歌詞を重視した個性的表現を特色とし、物語風の内容をもつものが多い。
※古川ロッパ日記‐昭和一三年(1938)一月三日「レヴィウとシャンソンについての論」

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世界大百科事典 第2版「シャンソン」の解説

シャンソン【chanson】

フランス語の世俗的な歌詞による歌曲の総称。その範囲は広く,中世のトルバドゥールやトルベールをはじめ,14~16世紀に栄えた多声歌曲,19世紀以降のピアノ伴奏付き歌曲,さらには大衆歌謡としてのシャンソンや民謡chanson populaireまでを含む。しかし,西洋芸術音楽史の上で〈シャンソン〉という場合,特に中世後期からルネサンスまでの多声歌曲を指し,バロック以降の伴奏付き独唱歌曲は含まない。
【中世・ルネサンスのシャンソン】
 12~13世紀に現れたトルバドゥールトルベールによって歌われた単声歌曲は,14世紀アルス・ノバの時代に入るとG.deマショーの手によって多声歌曲への大きな変貌を遂げた。

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世界大百科事典内のシャンソンの言及

【歌曲】より

…比較的小規模で,抒情的にまとまった気分をもつ声楽曲の形式。ドイツ語でリートLied,フランス語でメロディmélodie(またはシャンソンchanson),英語でソングsong(またはエアayre∥air)と呼ばれるものが,それに当たる。歌曲は,歌詞のもつ文学的な気分が音楽的表現によって高められて〈うた〉となり,音楽的に完結した独自の小形式が形づくられるところに特色がある。…

【歌曲】より

…比較的小規模で,抒情的にまとまった気分をもつ声楽曲の形式。ドイツ語でリートLied,フランス語でメロディmélodie(またはシャンソンchanson),英語でソングsong(またはエアayre∥air)と呼ばれるものが,それに当たる。歌曲は,歌詞のもつ文学的な気分が音楽的表現によって高められて〈うた〉となり,音楽的に完結した独自の小形式が形づくられるところに特色がある。…

【定旋律】より

…聖歌定旋律はまた,16~17世紀の典礼用オルガン曲にも用いられた。定旋律の第2のタイプはそれぞれの時代に流行した俗謡あるいは多声シャンソンの一部で,デュファイのミサ曲《顔が青ざめているなら》(1450ころ)以来,15世紀後半から16世紀にかけて多数のミサ曲にその例を見ることができる。俗謡《ロム・アルメL’homme armé(戦士)》は特に好まれ,デュファイ,ジョスカン・デ・プレ,オケヘムなど,15~16世紀の30以上のミサ曲に定旋律として用いられた。…

【トルバドゥール】より

…基本的に男性尊重,女性蔑視の中世にあっては,きわめて異例の発想であり,後代への影響の深さを考えるとき,〈愛は12世紀の発明である〉(C.セニョボス)という評言は必ずしも誇張とはいえない。 この新しい愛を歌うのに,トルバドゥールの重用した詩型はカンソcanso(オイル語(北フランス)のシャンソン)であった。これは原則として8音綴の詩行8からなる詩節を5~7連ねた定型詩であって,最終詩節を短い反歌で締めくくる場合もある。…

※「シャンソン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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