コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ハタハタ Arctoscopus japonicus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ハタハタ
Arctoscopus japonicus

スズキ目ハタハタ科の海水魚。全長 25cm内外。体は強く側扁し,口は斜め上方を向く。眼は大きい。鰓蓋前骨の後縁に5個の鋭いとげがある。鱗はない。体の背方は黄褐色で,不定形の黒褐色紋がある。北日本に産し,特に秋田・山形県に多く,産卵期である冬季に漁獲され,ハタハタ鮨,魚醤汁 (→しょっつる ) として賞味される。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ハタハタ

スズキ目ハタハタ科の魚で体長20センチほど。白身で淡泊だが、「ブリコ」と呼ばれる卵は濃厚な味わい。主に北日本と中国地方日本海側で水揚げされる。北日本でとれるものは秋田県沿岸、中国地方でとれるものは朝鮮半島東岸を主な産卵場とし、属する群れが異なる。ふだんは水深200メートル以上の深海にいて、産卵期に沿岸に押し寄せる。これをとる漁法は季節ハタハタ漁と呼ばれ、冬の風物詩になっている。

(2015-12-19 朝日新聞 朝刊 秋田全県・1地方)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について | 情報

百科事典マイペディアの解説

ハタハタ

ハタハタ科の魚。地方名カタハ,シロハタ,ハタなど。全長28cmに達する。体には鱗がない。東北地方以北の太平洋岸,山陰以北の日本海に分布。普通水深100〜400mの砂泥底にすむが,初冬の産卵期には水深数mの海藻の多い沿岸に来遊

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

栄養・生化学辞典の解説

ハタハタ

 [Arctoscopus japonicus].ハタハタ科の海産魚.15〜20cmになる.食用魚.

出典|朝倉書店栄養・生化学辞典について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ハタハタ
はたはた / ・鰰
sand fish
[学]Arctoscopus japonicus

硬骨魚綱スズキ目ハタハタ科に属する海水魚。山陰地方以北の日本海、東北地方以北の北太平洋に広く分布する。全長30センチメートルに達し、体は細長く、強く側扁(そくへん)し、腹部がやや突出している。背びれは二つに分かれ、胸びれおよび臀(しり)びれの基底はきわめて長い。鱗(うろこ)はない。体の背方は黄褐色で、不定形の黒褐色の斑紋(はんもん)があり、腹部は銀白色。水深150~400メートルの深海の砂泥底にすみ、砂に潜る習性があるので、英名はサンドフィッシュとよばれる。
 生後満3年になると全長20センチメートルぐらいになり成熟する。産卵期は11月下旬から12月下旬である。11月下旬ごろ、沿岸水温が7、8℃になると、水深2、3メートルの沿岸の藻場(もば)に群れをなして押し寄せる。産卵場は北海道周辺、秋田県から山形県の沿岸、および朝鮮半島東岸などが知られているが、秋田県沿岸はとくに有名である。この季節には、冬の雷がよく鳴るのでカミナリウオともよばれている。
 産卵は多くは早朝に行われ、雌は卵塊を一時に全部産み出す。粘着性沈性卵で、海水に触れると密着して球状に固まり、ホンダワラなどの海藻に付着する。この卵塊はブリコとよばれ、直径4センチメートル内外である。一尾の抱卵数は1000~1500粒で、卵は大きく卵径1.5~2.5ミリメートルで、卵膜は厚くてきわめて強い。産卵のために接岸した産卵群は定置網や引網で多量に漁獲される。産卵期以外の深海にすむものは底引網で漁獲される。[片山正夫]

料理

白身の魚で、脂質が比較的多いが、味はあっさりしている。塩焼き、煮つけ、鍋物(なべもの)、田楽(でんがく)、てんぷら、みそ汁、粕(かす)汁など広く利用できる。卵(ブリコ)は、なまのまましょうゆと海苔(のり)をかけて食べたり、みそ汁、粕汁などにする。加工品では、干物、塩辛などがある。
 ハタハタは北海道から東北、山陰に分布するが、秋田地方のはたはた料理はとくに有名である。この地方の正月用の魚はハタハタで、とくに「はたはたずし」は正月料理として欠かせない。塩漬けしたハタハタを米飯と麹(こうじ)で3~4週間漬け込んでつくるもので、飯(いい)ずしの一種である。しょっつる鍋は、しょっつる(塩汁)でハタハタや野菜を煮る鍋物である。しょっつるとは、イワシやハタハタなどの魚を2~3年塩漬けして発酵させ、出てきた液の上澄みを漉(こ)したもので、「くさや」に似た特有のにおいがある。[河野友美]

民俗

民謡「秋田音頭(おんど)」で、秋田名物の筆頭にあげられているのがハタハタとその卵塊のブリコである。ハタハタの国字や漢字は、鰰、、神魚、雷魚、神成魚、神鳴魚、波太多雷魚、霹靂魚などと、雷に由来するものばかりである。また『秋田風俗問状答』などにも、この魚は雷を好むように群集するとあり、珍しく冬に雷が鳴るという秋田地方で語源が発祥したのであろう。また佐竹魚(さたけうお)といわれるのは、秋田藩主佐竹氏の移転にこの魚も従ったという伝説による。卵は禁漁にされたが、ブリの卵とごまかしてブリコといったとか、バラバラにならないので「不離子」とする説もある。[矢野憲一]
『渡辺一著『ハタハタ――生態からこぼれ話まで』(1977・無明舎出版) ▽八柳吉彦著『ハタハタの海』(1991・秋田魁新報社) ▽日本栽培漁業協会編・刊『ハタハタの生物特性と種苗生産技術』(2002)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

事典 日本の地域ブランド・名産品の解説

ハタハタ[水産]
はたはた

東北地方、秋田県の地域ブランド。
江戸時代以前から、秋田の特産品を代表するハタハタ属の魚。民謡・秋田音頭にも「秋田名物八森ハタハタ、男鹿で男鹿ブリコ(ハタハタの卵)」と唄われる名物。冬の雷が鳴る頃に産卵のため沿岸の藻場に集まるので、カミナリウオの別名がある。開発による海洋環境の変化と乱獲などにより激減、1992(平成4)年から3年間の自主禁漁に踏み切り、解禁後も漁獲量の割り当て配分がおこなわれ、保護が続けられている。しょっつる鍋やハタハタ寿司などで食される。

出典|日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について | 情報

ハタハタの関連キーワード秋田 はたはたおいる漬北海道日高郡新ひだか町ハタハタ(鰰∥鱩)秋田県山本郡八峰町漁獲努力総量規制秋田県にかほ市金浦(秋田県)鰺ヶ沢(町)平川文左衛門えりも[町]八森[町]ソーラン節男鹿[市]八森〈町〉TAE制度八峰(町)寒海性魚類金浦[町]タエ制度郷土料理

今日のキーワード

分水嶺

1 分水界になっている山稜(さんりょう)。分水山脈。2 《1が、雨水が異なる水系に分かれる場所であることから》物事の方向性が決まる分かれ目のたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

ハタハタの関連情報