彼此(読み)アレコレ

デジタル大辞泉 「彼此」の意味・読み・例文・類語

あれ‐これ【×此】

[代]指示代名詞。いろいろな物や事柄をさす。「彼此を考え合わせる」
[副]いろいろと。あれやこれやと。「彼此(と)思い悩む」
[類語]そうこうとかくとこうあちこちどうこう何やかや何かと何かといえば何かにつけ何くれ何くれとなくかれこれなんだかんだなんのかのどうのこうのそこここああだこうだあれやこれやとざまこうざまもろもろ広い幅広い手広い広範広範囲多方面多角多面多岐様様各種種種諸種いろいろ多様多様化多面的多種多種多様多彩数数いろんなとりどり色とりどり百般万般諸般多元多元的多角的横断的複眼的おしなべて全般に一般総じて概して多くおおむね大概普通通例通常一体に総体およそあまね雑多よろず各人各様十人十色千差万別マルチ事事物物種種雑多各様種種くさぐさ玉石混淆こんこう凡百ぼんぴゃく百態百事百千万端各般数多あまた数多すうた数次幾度等等諸相諸物山ほどざらごちゃごちゃ枚挙にいとまがない十指に余るあの手この手エトセトラ

かれ‐これ【彼×此】

[副](スル)
一つに限らず、いくつものことに及んだりかかわったりするさま。とやかく。いろいろ。「彼此うるさく言う」「彼此しているうちに、暗くなってしまった」
(時・年月・数量などを示す語を伴って)だいたいそれに近いさま。おおよそ。そろそろ。「ここに住んでから彼此一年になる」「彼此四キロ余りも歩いた」
いろいろ合わせて。全部で。
「かやうのくら事―四十八ありける」〈浮・一代男・四〉
[代]
指示代名詞。あのこと、このこと。あのもの、このもの。
「詠める歌多く聞こえねば、―を通はしてよく知らず」〈古今仮名序
三人称の人代名詞。あの人とこの人。だれかれ。
「―、知る知らぬ、送りす」〈土佐
[類語]1何やかやどうこうそうこうあれこれとかくとこうあちこち何かと何かといえば何かにつけ何くれ何くれとなくなんだかんだなんのかのどうのこうのそこここああだこうだあれやこれやとざまこうざま/(2ざっとおよそほぼ程度くらいばかりほどかた内外見当プラスマイナス

ひ‐し【彼×此】

あれとこれと。あちらとこちらと。
「―相俟って始めて全豹を彷彿する事が」〈芥川・きりしとほろ上人伝〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「彼此」の意味・読み・例文・類語

かれ‐これ【彼此】

  1. [ 1 ] 〘 代名詞詞 〙 他称。
    1. あの事とこの事。あのものと、このもの。あれやこれや。
      1. [初出の実例]「以天平廿年彼国司、割得件地、興造倉屋。為寺尤便。願計彼此便、欲相博」(出典:早稲田大学図書館所蔵文書‐天平勝宝七年(755)五月七日・相摸国司牒)
      2. 「かれこれが間をあひとなづく」(出典:名語記(1275)六)
    2. あの人とこの人。だれやかれや。
      1. [初出の実例]「かれこれ、しるしらぬ、おくりす」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二一日)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. 納得せずに、なんのかのと文句をいうこと。ごたごた。
      1. [初出の実例]「さて薬代ゆへに彼是(カレコレ)がござっては、わしもきのどく」(出典:滑稽本・旧観帖(1805‐09)三)
    2. およそ同じ程度。相当の値打。
      1. [初出の実例]「かかあが衣装(とば)を〈略〉タッタ三度しきゃアお晴をしねへときて居るから、なんぼ付(つか)ねへと云ても彼是(カレコレ)が物はあらうス」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
  3. [ 3 ] 〘 副詞 〙
    1. [ 一 ] いろいろな物事にかかわる意。「と」を伴うことがある。
      1. とやかく。なんやかや。なんのかの。
        1. [初出の実例]「雑行は行躰はとりどりに殊勝なれども、かれこれと心みだるなり」(出典:貞享版沙石集(1283)八)
        2. 「御上で別段に彼是と御世話をなさらずともよいとはいふものの」(出典:交易問答(1869)〈加藤弘之〉下)
      2. ( 「かれこれする」の形で ) いろいろなもの事に注意を散らして。うかうかと。
        1. [初出の実例]「いやいやあれは女の事なり殊にかれこれとして日もくるればいかがじゃ」(出典:狂言記・水汲新発意(1730))
        2. 「彼是する内に遠方で人の足が響いた」(出典:めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉一)
      3. ( 「かれこれ言う」の形で )
        1. (イ) なんのかのとうわさして。いろいろ評判して。
          1. [初出の実例]「彼是といふも当坐ぞ雪仏」(出典:俳諧・おらが春(1819))
        2. (ロ) なんのかのと文句をつけて。苦情をいろいろと。
          1. [初出の実例]「お金の事なぞ彼此云ってられ無いって」(出典:魔風恋風(1903)〈小杉天外〉後)
      4. あれもこれも。いずれにつけても。何にしても。
        1. [初出の実例]「両家の体を一にして水魚の思を成べく候上、赤橋相州御縁に成候。彼此(カレコレ)何の不審か候べきなれ共」(出典:太平記(14C後)九)
    2. [ 二 ] 彼と此と合わせる意。あとに数詞を伴う。
      1. あれとこれと合わせて。全部で。合計。
        1. [初出の実例]「熊谷、平山、かれこれ五騎でひかへたり」(出典:平家物語(13C前)九)
      2. およそ。大体。ほぼ。ほとんど。ぼつぼつ。
        1. (イ) あとに概数を伴って用いる。
          1. [初出の実例]「湯浅の権守宗重、卅余騎にてはせまゐれば、彼是百余騎に成りにけり」(出典:平治物語(1220頃か)上)
        2. (ロ) あとに、経過した時間、年月など、また時刻、年齢などを表わす語や時分を示す語を伴って用いる。
          1. [初出の実例]「苦のないおかた・かれ是四十でもあろか」(出典:雑俳・玉の光(1844‐45))
          2. 「かれこれもう昼時分に近い」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部)

あれ‐これ【彼此】

  1. 〘 代名詞詞 〙 他称。数多くの人や事物を指し示す。あれやこれや。
    1. [初出の実例]「孔子は無常師ほどに、あれこれに問道、問礼たぞ」(出典:史記抄(1477)一一)
    2. 「気のせくままにあれこれとさがし」(出典:咄本・軽口露がはなし(1691)一)

ひ‐し【彼此】

  1. 〘 名詞 〙 二つ以上の事柄をとりあげていう。あれとこれと。あれもこれも。
    1. [初出の実例]「彼此(ヒシ)(〈注〉カレコレ)、愛憎こころ、あることなし」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)三)
    2. [その他の文献]〔杜甫‐哀江頭詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「彼此」の読み・字形・画数・意味

【彼此】ひし

かれと、これ。〔墨子、経説下〕彼と此と亦た可なりとは、彼此は彼此に止まる。是(かく)の(ごと)くにして彼此なるときは、則ち彼も亦た且(まさ)に此を此とせんとす。

字通「彼」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android