勝手(読み)カッテ

デジタル大辞泉 「勝手」の意味・読み・例文・類語

かっ‐て【勝手】

[名・形動]
1 他人のことはかまわないで、自分だけに都合がよいように振る舞うこと。また、そのさま。「そんな勝手は許さない」「勝手なことを言うな」「勝手に使っては困る」「勝手にしろ」
2 何かするときの物事のぐあいのよしあし。都合や便利のよいこと。また、そのさま。「この間取りではどうも勝手が悪い」「使い勝手がってがいい」
「何坊さんも早く寝た方が―だあね」〈漱石・彼岸過迄〉
[名]
1 台所。「勝手仕事」
2 暮らし向き。生計。「勝手が苦しい」
3 自分がかかわる物事のようす・事情。「仕事の勝手がわからない」「勝手が違う」「勝手知ったる他人の家」
4 弓の弦を引くほうの手。右手。左手より力が勝ちやすいからいう。引き手。
[用法]かって・きまま――「団体生活では、勝手な(気ままな)行動は許されない」など、自分の思い通りに振る舞う意では、相通じて用いられる。◇「勝手」は自分だけの都合や判断で行動する意が中心で、「勝手に僕の部屋に入らないでくれ」「勝手ながら休ませていただきます」などでは「気まま」に置き換えられない。◇「気まま」は、「気ままに旅行する」「一人暮らしの気ままさ」のように、他人には迷惑をかけないで、自由に振る舞う意があり、この場合は「勝手」に置き換えられない。◇類似の語に「わがまま」がある。「わがまま」は個々の行動ではなく、態度や性格全体についていう。「一人娘でわがままに育ってしまった」「わがままな振る舞い」
[類語](1)わがまま・横着・身勝手・得手勝手・手前勝手・自己本位・傍若無人・好き放題・好き勝手・気随・気まま・ほしいまま・恣意的しいてき・利己的・エゴイスチック・好き・自分勝手・気任せ・奔放・自由・自在・随意・任意・ランダム・無作為・恣意・存分ぞんぶん・不羈ふき・心任せ・自由自在・縦横・縦横無尽・意のまま・思いのまま・思い通り・フリー・フリーダム・リバティー・人を人とも思わない・眼中人無し・聞く耳を持たない・横紙破り・ふんぞり返る・自己中/(1)台所・キッチン・厨房・ダイニングキッチン・厨くりや

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精選版 日本国語大辞典 「勝手」の意味・読み・例文・類語

かっ‐て【勝手】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 物事を行なうときなどの都合や便利。
    1. [初出の実例]「なんぢがかってよからんやうに、かしこにぢうし、ここにすむべきなどといはんあひだは」(出典:こんてむつすむん地(1610)三)
    2. 「左様の人が、今日説きました説などをなまがみに聞ますると、我が勝手のよい所ばかりを取て」(出典:文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉初)
  3. ② ( 形動 ) 転じて、自分にとって都合のよいやり方。また、ぐあいのよいさま。
    1. [初出の実例]「私は其方の広い屋敷より、此方(このはう)の狭いやしきが勝手で御ざる」(出典:虎寛本狂言・武悪(室町末‐近世初))
    2. 「寒くないと云ったって、矢っ張寝てゐる方が勝手(カッテ)だわ」(出典:心中(1911)〈森鴎外〉)
  4. ③ ( 形動 ) 自分のしたいようにふるまうさま。わがままなさま。
    1. [初出の実例]「米とは八十の人と書たる間、今廿年は不レ可レ死と勝手に引き成て、夢を礼と見了」(出典:多聞院日記‐天正一四年(1586)一〇月二四日)
    2. 「それとも切れたくは、勝手(カッテ)にきれろ」(出典:洒落本・二筋道後篇廓の癖(1799)一)
  5. ④ 建物の中や、場所などのありさま。また、物事のやり方。現代では、とくに、その建物、場所(物事)に慣れていて、そこでの行動のしかた(それに対する対処のしかた)が身についている場合にいう。
    1. [初出の実例]「私も只今是へ参ったことでござれば、諸事勝手も存ぜず」(出典:虎寛本狂言・賽の目(室町末‐近世初))
    2. 「雨泄(あまもり)の音耳に付きて寝着かれず。枕為替(しか)へて、右左に勝手を直せども」(出典:不言不語(1895)〈尾崎紅葉〉四)
  6. ⑤ 台所。また、そこで働く者。台所がある方向から、裏口やふだんの居間をいうこともある。
    1. [初出の実例]「扨私も是に居て御咄し申度うは御ざれ共、勝手に取込うだ事が御ざるに依て」(出典:虎寛本狂言・察化(室町末‐近世初))
    2. 「勝手(カッテ)は煙立つづき、亭主は置炉達を仕掛、女房は濃茶(こいちゃ)立て」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)一)
  7. ⑥ 暮らし向き。生計。
    1. [初出の実例]「五斗の地子と一石入升二合口に当年はかつてを打なをし、猶以ふとくなる由也」(出典:多聞院日記‐天正一九年(1591)一二月二八日)
    2. 「近年何商(あきな)ひも御座なく、勝手(カッテ)さしつまり、さんざんの体に罷成」(出典:浮世草子・万の文反古(1696)一)
  8. ⑦ 特に茶道の茶室で、茶事の用意を整える場所や、亭主の出入り口をいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  9. ⑧ 弓を射るときの右手をいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  10. ⑨ 江戸時代の吉原で、娼家の主人や女将のひいき役者が、その家の居間などでもてなしを受けること。〔随筆・皇都午睡(1850)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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