(読み)ホシイママ

デジタル大辞泉 「縦」の意味・読み・例文・類語

ほしい‐まま【縦/恣/×擅】

[形動][文][ナリ]《「ほしきまま」の音変化》思いのままに振る舞うさま。自分のしたいようにするさま。「権力を―にする」「―な空想にひたる」
[類語]勝手わがまま横着身勝手得手勝手手前勝手自己本位好き放題好き勝手気随気まま恣意的しいてき利己的エゴイスチック好き自分勝手気任せ奔放自由尊大横柄傲然高慢傲慢驕慢倨傲大風おおふう高姿勢高飛車高圧的居丈高権柄尽く・偉そう・口幅ったい僭越越権不遜態度が大きい我が物顔空威張り野太い図太い太い豪胆厚かましい図図しいふてぶてしいおこがましいえげつないいけ図図しい猛猛しい虫がいい厚顔厚顔無恥鉄面皮破廉恥面の皮が厚い心臓が強い心臓に毛が生えている恥知らず傍若無人人を人とも思わない眼中人無し聞く耳を持たない横紙破りふんぞり返る自己中人も無げ自由自在縦横縦横無尽意のまま思いのまま思い通り自在随意任意ランダム無作為恣意存分ぞんぶん不羈ふきフリーフリーダムリバティー放埒ほうらつ放縦放恣放逸野放図無軌道勝手次第無謀無鉄砲めくら滅法闇雲盲目的後先見ず向こう見ず命知らず無闇やたらみだり無性にむやみやたらめったやたらめった無下に後先なし破れかぶれやけ自暴自棄ふてくされるやけくそやけっぱち自棄捨て鉢八方破れ切実切切痛切つくづくつらつらひしひししみじみこころからしんから心が動くこよなくぞっこんじいん度外れめっぽう途方もない途轍とてつもない桁違い過度すごくひどいはなはだこの上ないとても特別ことさらひたすら

じゅう【縦〔縱〕】[漢字項目]

[音]ジュウ(慣) ショウ(漢) [訓]たて ほしいまま たとい よしや
学習漢字]6年
〈ジュウ〉
たて。「縦横縦走縦断
思う存分にする。ほしいまま。「縦覧操縦放縦
〈ショウ〉ほしいまま。「放縦
〈たて〉「縦軸縦笛
[名のり]なお
難読縦令たとい・たとえ

たて【縦/経/×竪】

上下方向。また、その長さ。「首を―に振る」「―書き」⇔
前後の方向。また、その長さ。「―に一列に並ぶ」⇔
立体平面のいちばん長い方向。「布を―に裂く」⇔
南北の方向。「大陸を―に貫く大河」⇔
身分階級年齢などによる、人間の上下の関係。「―社会」⇔
織物縦糸。⇔

よし【縦】

[副]形容詞「よし」から。「し」と仮に許す意》
(仮定の表現を伴って)仮に。たとえ。よしんば。万一。
「―解った処が仕様の無い話で」〈小杉天外・はやり唄〉
満足ではないがやむをえないとするさま。ままよ。
「人皆は萩を秋と言ふ―我は尾花がうれを秋とは言はむ」〈・二一一〇〉

ほしき‐まま【縦/恣/×擅】

[形動ナリ]ほしいまま」に同じ。
「巧みにして―なるは失のもとなり」〈徒然・一八七〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「縦」の意味・読み・例文・類語

たて【縦・竪・経】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 上下または前後の方向、長さ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. 立体や平面の一番長い方向、長さ。
  4. 東。
    1. [初出の実例]「大和の 青香具山は 日の経(たて)の 大き御門に」(出典:万葉集(8C後)一・五二)
  5. 南北の方向。また、その距離。
    1. [初出の実例]「すずしさや都を豎にながれ川」(出典:俳諧・蕪村句集(1784)夏)
  6. 織物のたていと。
    1. [初出の実例]「経(たて)もなく緯(ぬき)も定めずをとめらが織るもみち葉に霜な降りそね」(出典:万葉集(8C後)八・一五一二)
  7. 組織や機構において、上下の関係にあること。
    1. [初出の実例]「その相愛しようとする意識を遮ぎるところの、横の国家がある。縦の階級がある」(出典:世界平和を主題に(1922)〈千葉亀雄〉)

よし【縦】

  1. 〘 副詞 〙 ( 形容詞「よし」から。「可(よ)し」と仮に許す意 )
  2. 満足ではないが、仕方がないとして放任・許容するさま。まあいい。ままよ。
    1. [初出の実例]「人皆は萩を秋と云ふ縦(よし)吾れは尾花が末(うれ)を秋とは言はむ」(出典:万葉集(8C後)一〇・二一一〇)
    2. 「勅諚なれば姫宮もよし力なし去ながら、心に染まぬ妻定め左右なう引べき様はなし」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)一)
  3. ( 多く下に逆接の仮定条件を表わす語を伴って ) たとい。かりに。万一。よしんば。
    1. [初出の実例]「人は縦(よし)思ひ止むとも玉かづら影に見えつつ忘らえぬかも」(出典:万葉集(8C後)二・一四九)
    2. 「思へば涙み吉野の、よし逃がれずと君をだに、落とし申さばそれまでぞと」(出典:謡曲・吉野静(1423頃))

たつ【縦】

  1. 〘 名詞 〙たて(縦)
    1. [初出の実例]「本城の岸、谷の底までたつに堀つづけ、あしをとどむべきやうもなし」(出典:宗長手記(1522‐27)下)

じゅう【縦】

  1. 〘 名詞 〙
  2. たて。⇔横。〔東方朔‐七諫・沈江〕
  3. 南北の方角。〔淮南子‐覧冥訓〕

たた【縦】

  1. 〘 名詞 〙 他の語と複合して「たて(縦)」の意を表わす。「たたさ」「たたさま」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「縦」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

(旧字)縱
人名用漢字 17画

[字音] ジュウ・ショウ・ソウ
[字訓] たて・ゆるす・ほしいまま

[説文解字]

[字形] 形声
声符は從(従)(じゆう)。從は二人相従う意。縦にならぶことをいう。〔説文〕十三上に「やかなり」というのは、縦糸をゆるやかに張る意であろう。また「一に曰く、舍(はな)つなり」と放縦の意とする。

[訓義]
1. たて糸を張る。強くはるのを経といい、ゆるくはるのを縦という。
2. ゆるい、ゆるす、ゆるめる。
3. ほしいまま、ほしいままにする、みだれる、はなす、すてる、おく。
4. 従と通じ、たて、南北。
5. 仮設、もし、たとい。

[古辞書の訓]
名義抄〕縱 ホシイママニ・ハナツ・ミダル・タトヒ・ツク・ユルス・イトド・タタサマ・タタシサマ・カムツツミス・ユルナリ/縱 タトヒ 〔字鏡集〕縱 モシ・オク・トサマ・ハナツ・タタサホル・ユルス・ツク・シタル・カムツツニス・ホシイママ・タトヒ・ユルウス・タタシ

[語系]
縱・蹤・踪tziongは同声。一線を以て連なる状態にあるものをいう。从・從dziongは同声。たてに並び従う意。踵tjiongはかかと、相接する意で、また同系の語である。

[熟語]
縦横・縦豎・縦悪・縦意・縦逸・縦佚・縦・縦・縦飲・縦隠・縦越・縦火・縦歌・縦観・縦気・縦謔・縦禽・縦撃・縦遣・縦言・縦衡・縦傲・縦恣・縦矢・縦弛・縦使・縦肆・縦舎・縦奢・縦釈・縦酒・縦囚・縦出・縦焼・縦饒・縦心・縦迹・縦然・縦送・縦体・縦替・縦脱・縦誕・縦探・縦談・縦騁・縦適・縦・縦任・縦轡・縦筆・縦兵・縦歩・縦放・縦暴・縦目・縦臾・縦容・縦欲・縦覧・縦纜・縦掠・縦令・縦浪・縦縦
[下接語]
意縦・横縦・解縦・合縦・縦・緩縦・擒縦・衡縦・弛縦・侈縦・指縦・恣縦・肆縦・自縦・七縦・舎縦・僭縦・疎縦・操縦・誕縦・天縦・任縦・放縦

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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