(読み)さい(英語表記)upoṣadha

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


さい
upoṣadha

原義は「清浄」。 (1) 身体と言葉と心の悪行を慎むこと。 (2) 正午を過ぎて食事をしないという戒律を守ること。 (3) 仏事のときの食事。 (4) 仏教の戒律の規定に従って月の 15日と 30日に同一地域の僧が集って自己反省をする集会などを味する。


とき

仏教用語。斎食 (さいじき) ともいう。戒律で認められている午前中の食事。戒律によると原則として午後には食事をしてはならないことになっている。のちに転じて肉食しないこと,あるいは法会の食事をいうようになった。

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デジタル大辞泉の解説

い【斎】

[接頭]名詞に付いて、清浄な、神聖な、忌み清めた、の意を表す。「串(ぐし)」「垣」

いつき【斎】

心身を清めて神に仕えること。また、その人。特に斎院(さいいん)斎宮(さいぐう)斎皇女(いつきのみこ)。
「賀茂の―には孫王の居給ふ例多くもあらざりけれど」〈・賢木〉
神を祭る所。斎場(さいじょう)。
「―が上の鷦鷯(さざき)捕らさね」〈仁徳紀・歌謡〉

いもい〔いもひ〕【斎/忌】

精進潔斎。物忌み。
「御正日(おしゃうにち)には、上下の人々、皆―して」〈・幻〉
精進料理。
「―の御鉢まゐるべきを」〈・若菜下〉

さい【斎】

[名]仏語。
身心をつつしみ清浄を保つこと。斎戒。
僧が正午にとる食事。とき。斎食。
仏事法要のときの食事。とき。
[接尾]居室の名や文人などの雅号に付けて用いる。「自然(宗祇(そうぎ))」「臨江(紹巴(じょうは))」

さい【斎〔齋〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]サイ(呉)(漢) [訓]いみ いもい いつき いわい とき
神仏を祭るとき、心身を清める。ものいみ。「斎戒潔斎
祭事を行う。「斎主・斎場
ものいみや読書などをする部屋。「山斎書斎
精進料理。僧の食事。とき。「斎食(さいじき)
[名のり]いつ・きよ・ただ・ひとし・よし
[難読]斎王(いつきのみこ)斎宮(いつきのみや)

とき【斎】

《食すべき時の食事の意》寺などで、食事のこと。インド以来の戒律により午前中に食べるのを正時とし、午後は食すべき時ではない時刻の食の意で非時(ひじ)という。斎食(さいじき)。
寺で出す食事や精進料理

ゆ【斎】

斎(い)み浄(きよ)めること。神聖なこと。助詞「つ」を伴って、また直接に名詞の上に付けて用いられる。「種(だね)」「槻(つき)」「庭(にわ)」→斎(ゆ)つ

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世界大百科事典 第2版の解説

さい【斎 zhāi】

中国で祭りを行う関係者が,当日はもちろん,その前から飲食や行動を慎んで心身を清浄にする散斎,最終的には精神集中によって神と交感できる状態を保つ致斎のこと。禁忌が多いので斎戒ともいう。《礼記(らいき)》祭統篇に〈散斎七日,……致斎三日,……然る後,以て神明に交わるべし〉とあるように,中国では古くから斎が祭りに不可欠とされていたことがわかる。やがて祭りの大小によって斎の時期の長短が決められ,《続漢書》礼儀志上によれば,〈天地の祭りには7日,宗廟山川の祭りには5日,その他の小さな祭りには3日〉とし,《唐六典(とうりくてん)》巻四にはさらに詳しい記述があって,散斎と致斎の間に行うべきことや,行ってはならない禁忌が規定されている。

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大辞林 第三版の解説

い【斎】

( 接頭 )
古く神に関連のある名詞に付いて、「神聖な」「清浄な」の意を表す。 「 -垣」 「上つ瀬に-杙くいを打ち/古事記

いつき【斎】

心身をきよめて神に仕えること。また、その人。特に斎宮・斎院。 「賀茂の-には、孫王の居給ふ例多くもあらざりけれど/源氏 賢木
神をまつる場所。 「隼は天に上り飛び翔かけり-が上の鷦鷯さざき取らさね/日本書紀 仁徳

いわい【斎】

心身を清浄にして無事安全を祈り神をまつること。 「 -の返り事の神賀かみほきの吉詞よごと奏したまはく/祝詞 出雲国造神賀詞
神をまつる所。また、神をまつる人。 「是の皇女伊勢の大神の-に侍り/日本書紀 雄略訓

さい【斎】

[1] ( 名 )
〘仏〙
汚れを清め、行為をつつしむこと。
八戒の中心をなす戒で、正午を過ぎて食事をとらないこと。
仏事の際の食事。とき。おとき。
( 接尾 )
居室の名や文人などの雅号に添える。 「自然-」 「六無-」

とき【斎】

〘仏〙 〔仏弟子の戒律として正午を過ぎての食事を禁ずる規定があり、時間内の食事を斎食さいじき・斎、時間外のそれを非時食ひじじき・非時といい、これが時刻にかかわるものであるところから、食事を「とき」と呼ぶ〕
僧侶や修行者が戒に従って、正午前にとる食事。時食。おとき。 ⇔ 非時
肉・魚などを用いない料理。精進料理。
法会の際に出される食事。施食せじき
法会、仏事の俗な呼び方。

ゆ【斎】

神聖であること。斎み清めること。助詞「つ」を伴って、また直接に名詞に付いて複合語として用いられる。 「 -庭/日本書紀 神代下訓注」 → ゆつ

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精選版 日本国語大辞典の解説

い【斎】

〘接頭〙 神事に関する名詞の上に付き、不浄を忌み清める意を表わす。清浄な。神聖な。
古事記(712)下・歌謡「上つ瀬に伊(イ)(くひ)を打ち」

いまわ・る いまはる【斎】

〘自ラ四〙 ものいみする。斎戒する。ゆまわる。

いも・う いもふ【斎】

〘自ハ四〙 神を祭るために、心身を清める。斎む。いもおる。
※江家次第(1111頃)一二「斎内親王依恒例三ケ年間令伊毛比斎清
河海抄(1362頃)一七「神垣にひほろぎ立てていもへども人の心は守りあへぬものを」

いもお・る いもほる【斎】

〘自ラ四〙 =いもう(斎)
神皇正統記(1339‐43)上「皇后いきどほりまして、七日あって別殿を作り、いもほりこもらせ給」

いもゆ【斎】

〘名〙 =いもい(斎)
蜻蛉(974頃)中「けふは十五日、いもゆなどしてあり」

さい【斎】

[1] 仏語。
① 身心を慎むこと。信者の場合は六斎日などの斎戒(八斎戒)をいう。僧の場合は、布薩(ふさつ)、すなわち説戒をいい、毎月一五日、三〇日の二度、その間の行為を反省、懺悔する僧たちの集まりもいう。
※正法眼蔵(1231‐53)安居「四月十四日斎後に念誦牌を僧堂前にかく」
② 仏家で、正午を過ぎては食事をしないこと。正午を過ぎた食事は非時食としてこれを禁ずる。〔釈氏要覧‐上〕
③ 仏事のとき、僧に供養する食事。また、で信者にふるまう食事。斎食。とき。
[2] 〘接尾〙
① 居室の名にそえて用いる。〔書言字考節用集(1717)〕 〔晉書‐劉毅伝〕
② 文人などの雅号に添えて用いる。
※実隆公記‐永正八年(1511)九月一二日「陶三郎所望斎名〈黙斎〉、表徳号〈真逸〉、等書之」

ゆ【斎】

〘名〙 神聖であること。清浄であること。助詞「つ」を伴って、または、直接に接頭語的に名詞の上に付いて用いられ、その物が神事に関する物であることを表わす。「ゆ庭」「ゆ鍬(くわ)」など、神、または、神をまつるための物を表わす名詞に付く場合と、「ゆ笹」「ゆ槻」など、植物の名を表わす名詞に付く場合とがある。い。→斎(ゆ)つ

ゆま・う ゆまふ【斎】

〘自ハ下二〙 =ゆまわる(斎)
※本朝月令(10C中か)六月・朔日内膳司供忌火御飯事「高橋氏文云〈略〉此を忌火と為て伊波比(いはひ)、由麻閇(ユマヘ)て供御食」

ゆまわ・る ゆまはる【斎】

〘自ラ四〙 心身のけがれを去るために身を清め、飲食・動作を慎む。物忌みする。斎戒(さいかい)する。ゆままう。ゆまう。
※延喜式(927)祝詞「忌部の弱肩に太多須支取掛けて持ち由麻波利(ユマハリ)仕へ奉れる幣帛を」

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