日本大百科全書(ニッポニカ) 「石橋(いしばし)」の意味・わかりやすい解説
石橋(いしばし)
いしばし
stone bridge
石材を用いてつくった橋。簡単なものでは石の桁(けた)を用いたものもあるが、代表的なものは石造のアーチ橋である。石造アーチはせり持ちで荷重を支える。これをブーソアアーチvoussoir archともいう。アーチ技術はメソポタミア地方に発祥したが、石造アーチ技術を駆使したのはローマ人である。紀元前後の石造アーチ橋はローマを中心としてヨーロッパ各地にみることができる。ローマ帝国滅亡後はしばらくとだえたが、9~16世紀にかけて多くの石造アーチ橋が架けられている。フィレンツェ市のベッキオ橋(ポンテ・ベッキオ)、ベネチア市のリアルト橋などは有名である。
日本の本格的な石造アーチ橋は長崎の眼鏡橋(めがねばし)(1634年。橋長23メートル)、諫早(いさはや)の眼鏡橋(1839年。橋長49.1メートル)などで、東京の日本橋(にほんばし)は1911年(明治44)に架橋された最後の石造アーチ橋である。石造アーチの最大径間はドイツのフリードリヒ・アウグスト橋の90メートル、無筋コンクリートアーチではフランスのカイユ橋の139.8メートルである。
[小林昭一]