(読み)サン

デジタル大辞泉 「算」の意味・読み・例文・類語

さん【算】[漢字項目]

[音]サン(呉)(漢) [訓]かぞえる
学習漢字]2年
かぞえる。かぞえること。「算出算数算法暗算あんざん演算えんざん加算概算計算決算採算珠算しゅざん通算予算
もくろむ。はかる。見込み。「算段誤算公算勝算心算成算打算目算
年齢。「算賀聖算宝算
[名のり]かず・とも
難読算盤そろばん心算つもり

さん【算】

昔、中国から渡来した計算用具。長方形の小さい木片。
占いに用いる算木さんぎ。また、その占い。
計算。勘定。「が合う」「つるかめ
はかりごと。もくろみ。計画
「胸中あらかじめこの―ありけん」〈鏡花・琵琶伝〉

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精選版 日本国語大辞典 「算」の意味・読み・例文・類語

さん【算・笇・筭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国の数学および和算で使われた計算用具。竹や木でつくられた小さな棒で、その配列を変えることによっていろいろの計算を行なった。算木。〔十巻本和名抄(934頃)〕 〔漢書‐律歴志上〕
  3. 占いに用いる算木。また、それを用いてする占い。
    1. [初出の実例]「空より落ちて死ぬ。彼の身摧け損ふこと、笇の嚢に入れるが如し」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
    2. [その他の文献]〔儀礼‐郷射礼〕
  4. かず。数量。また、年輪のかず。
    1. [初出の実例]「未斯笇而遄死去 故曰半也」(出典:万葉集(8C後)五・沈痾自哀文)
    2. [その他の文献]〔顔延之‐赭白馬賦〕
  5. 数をかぞえること。計算。勘定。
    1. [初出の実例]「やがてさんをぞおしへまいらせける」(出典:御伽草子・乳母の草紙(古典文庫所収)(室町末))
  6. そろばん。
    1. [初出の実例]「さん 算そろばんをいふ」(出典:俚言集覧(増補)(1899))
  7. 算術。数学。
  8. はかりごと。てだて。見込み。計略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「銭出さずにうまいことせうでの、きたないおさんで有はいの」(出典:浄瑠璃・昔米万石通(1725)上)
    2. [その他の文献]〔晉書‐桓玄伝〕
  9. 結着始末。→算を付ける

ざん【算】

  1. 〘 造語要素 〙 名詞に付いて、そのような計算の仕方を表わす。「つるかめざん」「ねずみざん」「たしざん」「ひきざん」など。

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普及版 字通 「算」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] サン・セン
[字訓] かぞえる・はかりごと

[説文解字]

[字形] 会意
竹+(具)(ぐ)。〔説文〕五上に「數ふるなり」とし、と同声とする。具で名詞。算はこれに対して動詞的な語である。算にまた(選)(せん)の音があり、〔詩、風、柏舟〕「(かぞ)ふべからず」は算の意。金文の〔氏壺(たいしこ)〕「弋獵(よくれふ)に後(のこ)すこと毋(な)く、算(そろ)ひて我が車に在らしめよ」は数に備える意で、備具の意がある。計量・計測の意より、図計の意となる。

[訓義]
1. かぞえる、かず。
2. はかりごと、計謀。
3. 年のかず、年齢。
4. と通じ、かずとり、かず。
5. 選と通じ、えらぶ、かぞええらぶ。

[古辞書の訓]
名義抄〕算 カズ・ハカリゴト・カゾフ・ヒラク・ヨハシ(ヒ)・イノチ

[語系]
算・suanは同声。(さん)・は算木の形を含む字。siuanも声近く、算と通じて用いる。

[熟語]
算画・算学・算器・算銀・算計・算経・算結・算子・算寿・算術・算数・算清・算袋・算択・算籌・算定・算程・算・算得・算髪・算盤・算部・算賦・算命・算略・算暦・算歴・算録
[下接語]
暗算・違算・運算・叡算・演算・加算・概算・合算・換算・起算・逆算・計算・決算・検算・験算・減算・誤算・公算・採算・試算・珠算・書算・勝算・乗算・心算・神算・推算・成算・清算・精算・積算・速算・測算・打算・通算・破算・筆算・算・算・宝算・無算・目算・予算・洋算・良算・累算・暦算・歴算・和算


13画

(異体字)算
14画

[字音] サン
[字訓] さんぎ・かぞえる・はかりごと

[説文解字]

[字形] 会意
竹+弄(ろう)。弄は呪具として玉を玩ぶもので、玩弄という。の従うところは玩弄ではなく、算木をもつ形。〔説文〕五上に「長さ六寸、數を計(かぞ)ふるなり」とし、また「常に弄するときは、乃ちらざるなり」と弄の義を以て説くが、玩弄の玉と算木とはやはり異なるものであろう。金文の〔史懋壺(しぼうこ)〕に「路(ろさん)」という語があり、その字はに従い、算木を(こ)にしたものともみえる形である。算木には竹の径一分、長さ六寸のもの二百七十一枚を、一握の形に組み、大(だいこ)とする。はまた筮の初文ともみられ、古くは法と筮法とは、極めて密接な関係をもつものであった。

[訓義]
1. さんぎ、かずとり。
2. かぞえる、かず。
3. はかりごと。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 カズ・ハカリゴト・カゾフ・ヒラク・ヨハシ(ヒ)・イノチ

[語系]
・算・suanは同声。は算木、算とはその計数をいう。もと同じ語である。語彙は算字条参照。

[熟語]

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【算木】より

…筮竹(ぜいちく)の操作によって出た爻を,下から上へ順次置いてゆくためのもの。古代には1爻を得るごとに地面に爻を描き,6爻(ひとつの卦(か)を成す)が備わると方版に描いて依頼者に示したといい(《儀礼(ぎらい)》士冠礼の疏),朱熹の《筮儀》にも,爻を描くために筆と墨と黄色い漆の板を用意せよとあって算木(中国語の卦子)への言及がないから,算木を使うのは古礼ではなく近世にはじまったことがらであろう。(2)中国の計算器。…

※「算」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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