阿蘇くじゅう国立公園(読み)あそくじゅうこくりつこうえん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

阿蘇くじゅう国立公園
あそくじゅうこくりつこうえん

九州中部,熊本県大分県に広がる山岳・高原自然公園。阿蘇山を中心とした阿蘇地域,久住山由布岳鶴見岳などの火山群を中心としたくじゅう地域からなる。面積 726.78km2。1934年阿蘇国立公園として指定。日本で最初に指定された八つの国立公園の一つで,数次の区域変更を経て 1986年現名称に改称された。阿蘇山は世界的に有名な大カルデラで,標高約 900mの外輪山に囲まれ,中央火口丘中岳,高岳,根子岳,杵島岳,烏帽子岳の阿蘇五岳がそびえる。付近には阿蘇温泉栃木温泉垂玉温泉などの温泉や仙酔峡草千里ヶ浜大観峰などの景勝地が多い。噴煙を上げる中岳の火口までバスとロープウェーが通じ,多くの観光客を集める。くじゅう地域は久住山,由布岳,鶴見岳などの火山群を中心に,その周辺に広がる久住高原飯田高原などを含む山岳高原地帯。溶岩円頂丘鐘状火山),火口湖,湿原,渓谷,温泉が景観に変化を与える。植生では広大な草原が特徴で,初夏には各地でミヤマキリシマなどの大群落が見られる。九重山のコケモモ群落も有名。

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百科事典マイペディアの解説

阿蘇くじゅう国立公園【あそくじゅうこくりつこうえん】

九州のほぼ中央にある阿蘇山くじゅう連山の火山景観を中心とする国立公園。面積726.80km2。1934年指定,1953年由布岳鶴見岳の火山群と,高崎山地区を追加指定。大カルデラをもつ阿蘇山には大観峰(だいかんぼう),草千里,温泉の阿蘇(阿蘇市),栃木(とちのき),垂玉(たるだま)がある。くじゅう連山地区は草原の阿蘇に対しブナの森林におおわれ,高山植物や紅葉が特色で,北の飯田(はんだ)高原,南の久住高原には九重温泉郷の温泉が点在する。九重と阿蘇を結び九州横断道路〈やまなみハイウェー〉が通じる。2005年11月くじゅう坊ガツルタデ原湿原がラムサール条約登録湿地となる。
→関連項目阿蘇[町]一の宮[町]大分[県]城島高原久住[町]熊本[県]九重[町]庄内[町]筋湯[温泉]

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大辞林 第三版の解説

あそくじゅうこくりつこうえん【阿蘇くじゅう国立公園】

熊本県と大分県にまたがる山岳公園。阿蘇山を中心に、九重くじゆう火山群・由布ゆふ岳・鶴見岳などを含む。

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日本の地名がわかる事典の解説

〔熊本県(大分県)〕阿蘇くじゅう国立公園(あそくじゅうこくりつこうえん)


九州中央部の山岳国立公園。熊本・大分両県にまたがる。面積7万2678ha。1934年(昭和9)、阿蘇国立公園に指定され、1953年に由布(ゆふ)岳・鶴見(つるみ)岳一帯を編入、1981年にはくじゅう連山地区に拡大し現称となる。大カルデラをもつ阿蘇の山岳景観と、くじゅう連山一帯・飯田(はんだ)高原・久住高原・瀬ノ本(せのもと)高原など高原の自然景観に優れる。ミヤマキリシマ・ブナ・ミズナラ・コケモモなど植物相も豊富。阿蘇山・くじゅう連山・由布岳などの火山群の山麓(さんろく)には多くの温泉がわく。九州横断道路のやまなみハイウェイは観光ルートにもなっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

阿蘇くじゅう国立公園
あそくじゅうこくりつこうえん

九州の中央、熊本、大分両県にまたがる国立公園。面積726.78平方キロメートル。火山地形、地質、温泉が特徴。国立公園法(現、自然公園法)に基づき、1934年(昭和9)3月に初指定された瀬戸内海、雲仙(うんぜん)(1956年雲仙天草に名称変更)、霧島(1964年霧島屋久(やく)、さらに2012年霧島錦江湾(きんこうわん)に名称変更)に続き、同年12月に阿寒(あかん)(2017年阿寒摩周(ましゅう)に名称変更)、大雪(だいせつ)山、日光、中部山岳とともに阿蘇国立公園として二次指定された。1986年9月、阿蘇くじゅう国立公園と名称変更。指定当初は、阿蘇複式火山地区と九重(くじゅう)火山群地区のみであったが、1953年(昭和28)日本初の道路公園の造成を前提に、九重火山群地区の北の飯田(はんだ)高原から崩平山(くえんひらやま)を経て、別府市街地背後の由布(ゆふ)・鶴見(つるみ)火山群までが追加指定された。その際、高崎山地区も加わった(1956年瀬戸内海国立公園へ移管)。また、1965年には大分自動車道沿線地域の追加および削除も行われた。公園道路「やまなみハイウェイ」は1964年に完成し、細長い阿蘇くじゅう国立公園に一体感を与えただけでなく、泉都別府から阿蘇くじゅう国立公園、熊本、島原、雲仙を経て長崎に至る九州横断国際観光ルートを形づくった。
 中心は、年間500万人を超す観光客のある阿蘇複式火山地区で、阿蘇カルデラの景観は訪れる人の目を奪う。平安時代にはすでに噴火口を神霊池と見立てた火山神崇拝が行われており、中岳噴火口から西方の緩斜面には、西巌殿寺(さいがんでんじ)の36坊52庵(あん)が立ち並び、坊中(のちに古坊中)と称していたほどである(1586年の戦火で壊滅)。神霊池の参拝(岳参り)から、阿蘇山が広く一般登山者の対象になるのは、大正中期以降のことで、優れた自然の景勝地として知れわたるようになった。独特の生業が因となって生じた人工景観(野焼きの習慣によって維持された放牧地)、そのなかにあって自生地を守っているミヤマキリシマ、ナナカマド、イワカガミ、リンドウなどの植物景観も見逃すことができない。植林によるもの以外ほとんど高木林の認められない阿蘇複式火山地区に比べ、その北東部に隣接する九重火山群地区の諸火山、さらに別府湾を望む位置にある由布・鶴見火山群は、いずれもブナ、ミズナラ、クマシデなどの高木林、ナナカマド、ツクシシャクナゲ、コミネカエデ、ベニドウダンなどの低木林を有し、植物景観の季節変化だけでなく、垂直変化も堪能(たんのう)することができる。白山(はくさん)火山帯と霧島火山帯とがぶつかる所だけに、数多くの温泉があり、観光施設は十分に整っているほか、公園内の涌蓋(わいた)山周辺山麓(さんろく)では地熱利用開発が盛んで、南東麓の大(おお)岳、八丁原(はっちょうばる)で地熱発電所が稼動している。交通は大分自動車道、JR豊肥(ほうひ)本線、久大(きゅうだい)本線が利用される。[山口守人]

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