(読み)リク

デジタル大辞泉 「陸」の意味・読み・例文・類語

りく【陸】[漢字項目]

[音]リク(漢) ロク(呉) [訓]くが おか
学習漢字]4年
〈リク〉
丘や山がうねり続く大地。りくち。「陸運陸橋陸上陸地陸路上陸水陸大陸着陸
次々と続いて絶え間ないさま。「陸続
「陸軍」「陸上自衛隊」の略。「陸士陸相陸将陸曹陸海空
陸奥むつ国。「陸前陸中三陸
〈ロク〉
「六」の大字。「陸尺
平ら。「陸屋根ろくやね
まともなこと。まともに。「陸陸
[名のり]あつ・あつし・たか・たかし・ひとし・みち・む・むつ
[難読]陸稲おかぼ常陸ひたち陸奥むつ陸奥みちのく馬陸やすで

おか〔をか〕【陸】

陸地。りく。
すずりの墨をする所。⇔
浴場の洗い場。流し。
[類語]りく陸地大陸内陸陸上新大陸旧大陸

りく【陸】

陸地。おか。くが。「に上がる」⇔
[類語]陸地おか大陸内陸陸上新大陸旧大陸

ろく【陸/×碌】

[名・形動]
(あとに打消しの語を伴って用いる)正常なこと。まともなこと。満足できる状態であること。また、そのさま。まとも。「―な品物がない」「―に休みもとれない」
(陸)土地や物の面の平らなこと。また、そのさま。平坦。「―屋根」
「とてものことに地を―にならしたきものかな」〈咄・露がはなし・五〉
気分の平らかなこと。安らかなこと。また、そのさま。
「―に休ませ給へと帯の結び目とくとくといふに」〈浮・御前義経記・二〉
[補説]「碌」は当て字
[類語]めったにろくろくろくすっぽ

くぬ‐が【陸】

《「くにが(国処)」の音変化》陸地。くが。⇔海処うみが
「其れその池水―のくほさに」〈孝徳紀〉

くが【陸】

《「くにが(国所)」の音変化》陸地。りく。くぬが。
「水鳥の―にまどへる心地して」〈・玉鬘〉

ろく【陸】[漢字項目]

りく

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精選版 日本国語大辞典 「陸」の意味・読み・例文・類語

ろく【陸・碌】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「直」「完」とも書く。「碌」と書くのは当て字 )
  2. 土地の平らなこと。また、物の面が水平であること。平坦なこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「Inexplanatus〈略〉タイラカニ、rocuni(ロクニ) ナキモノ、ヤワラゲザル コト」(出典:羅葡日辞書(1595))
    2. 「Rocuna(ロクナ) ミチ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. 物がゆがまないで、まっすぐなこと。姿、形が正しいこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「此かけ物もろくにかけてもらひたい」(出典:虎明本狂言・乳切木(室町末‐近世初))
  4. 気持が平らかであること。気分が安らかであること。心身をゆったりさせること。くつろぐこと。また、そのさま。→陸(ろく)に居る
    1. [初出の実例]「ろくに成るお祖母の心念仏から」(出典:雑俳・住吉御田植(1700))
    2. 「ろくにやすませ給へ」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)二)
  5. 世の中が泰平であること。平穏であること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「勝軍礒うつ波のまくり切 今嶋はらはろくに治る」(出典:俳諧・西鶴大句数(1677)三)
  6. ( ふつう後に打消の語を伴う ) 物事の様子、性質などが正しいこと。まともであること。完全であること。十分であること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「今まで此やうな事は、見た事もきいた事もない、ろくな事ではあるまひと存て気遣仕る」(出典:天理本狂言・茸(室町末‐近世初))
    2. 「博奕打子は三界のくびかせよ こころはやみに夜もろくにねず〈素玄〉」(出典:俳諧・大坂独吟集(1675)上)

陸の補助注記

「陸」の呉音による語で、陸地のように平らであるというのが原義。今日でも大工用語で「陸屋根」「陸墨」などと、平らの意に「陸(ろく)」を用いている。


くが【陸】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「くぬが」の変化した語 )
  2. 海、川、湖、沼などに対して、陸の部分。陸地。くにが。くぬが。
    1. [初出の実例]「此れ、海(うみ)(クガ)相通(かよは)ざる縁(ことのもと)なり」(出典:日本書紀(720)神代下(寛文版訓))
    2. 「水鳥のくがにまどへる心ちして」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  3. 海路などに対して、陸上を行く道。陸路。くがじ。
    1. [初出の実例]「陸路 クガヲユクユヱ ニモツハ フネノ人ニ タノムヨリホカハゴザラヌ」(出典:交隣須知(18C中か)二)

陸の語誌

( 1 )水部に対する語であり、後にはのように海路・水路に対する陸路をさすようにもなる。
( 2 )語形としては「クムガ」(書陵部本名義抄・色葉字類抄)、「クヌガ」(日本書紀古訓)、「クニガ」(改正増補和英語林集成)などがあり一定しない。語源的には「国(クニ)(カ)」ともいわれるが、そうだとすると、日本書紀古訓の「クヌガ」は「クヌチ(国内)」などとの類推から作られた語形である可能性もある。


おかをか【陸・岡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 陸地。くが。くぬが。⇔
    1. [初出の実例]「鳴海潟おかをめぐりてゆく人は都のつとになにをかたらん〈公朝〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)二五)
  3. 浴場の浴槽の外。流し場。
    1. [初出の実例]「銭湯へいりたりけるに、たがひに岡へあがりて、しちをとりたる者のいふやう」(出典:咄本・かす市頓作(1708)二)
  4. (すずり)の墨をする所。⇔
    1. [初出の実例]「硯は墨を觧く器にして、形種々に作る深き処を海といひ浅き処を岡といふ」(出典:小学読本(1873)〈榊原芳野〉一)

りく【陸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 地球表面上で水におおわれていない部分。地球表面積の約四分の一で、岩石および土壌で構成されている。おか。くが。陸地。
    1. [初出の実例]「古法不於今、猶舟不之於陸(リク)後漢書〕」(出典:文明本節用集(室町中))
  3. ビリヤードで、突き出したキューに球が二度当たってしまう反則。旧日本陸軍の間でビリヤードがはやった時、陸軍の軍人が、この反則を無視してゲームをしたところからいわれるようになったという。

くぬ‐が【陸】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「くにが(国処)」の変化した語 ) 陸地。くむが。くが。⇔海処(うみが)
    1. [初出の実例]「敬みて糸綸(みこと)を受けて、陸(クヌカ)(うみ)劬労(たしな)み」(出典:日本書紀(720)欽明六年一一月(寛文版訓))

くむ‐が【陸】

  1. 〘 名詞 〙くぬが(陸)
    1. [初出の実例]「若は水、若は陸(クムカ)山澗薬草」(出典:石山寺本大般涅槃経平安中期点(950頃)九)

くに‐が【陸】

  1. 〘 名詞 〙くぬが(陸)〔改正増補和英語林集成(1886)〕

くが【陸】

  1. 姓氏一つ

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普及版 字通 「陸」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] リク・ロク
[字訓] おか・くが

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(りく)。はおそらく、神を迎える幕舎の形。聖梯の前に幕舎を列ね、土主をおいて祀るところである。〔説文〕十四下に「高の地なり」とし、声とする。〔左伝、昭四年〕に、日が北陸にあるとき、氷を蔵し、四月立夏、西陸にあるとき、氷を出す蔵氷の儀礼のことを規定しており、陸には日景を観測する機能があるらしい。籀文の字形は三(りく)に従う形である。

[訓義]
1. おか、くが、高平の地。
2. 神を迎えるところ、その幕舎のあるところ。
3. あつい、たかい。
4. 睦と通じ、むつむ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕陸 ムツ・ミチ・クムガ・アツシ・ヌク 〔字鏡集〕陸 ミチ・クガ・イカ・ヌク・ホシ・コマヤカナリ・アツシ・クムガ・シタル・ムツミテ

[語系]
陸liuk、陵lingは声義近く、またliong、(隆)liumもみな高平のところをいう。そこを聖地とするものであろう。(ふ)を〔説文〕に高阜の地とするが、それは神の陟降する神梯の象である。

[熟語]
陸運・陸海・陸軍・陸行・陸攻・陸産・陸続・陸沈・陸道陸博・陸阜・陸離・陸陸・陸掠・陸梁・陸路
[下接語]
海陸・巌陸・三陸・上陸・水陸・漸陸・双陸・大陸・博陸・阜陸・平陸・北陸・陵陸

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