魂・魄(読み)たましい

精選版 日本国語大辞典 「魂・魄」の意味・読み・例文・類語

たましい たましひ【魂・魄】

〘名〙
① 人間、さらにはひろく動物・植物などに宿り、心のはたらきをつかさどり、生命を与えている原理そのものと考えられているもの。身体を離れて存在し、また、身体が滅びた後も存在すると考えられることも多い。霊魂
万葉(8C後)一五・三七六七「多麻之比(タマシヒ)朝夕(あしたゆふべ)にたまふれど吾(あ)が胸痛し恋の繁きに」
※竹取(9C末‐10C初)「みかど〈略〉玉しゐを止めたる心ちしてなん帰らせ給ひける」
② 人だま。死者の霊魂が、夜など、光りながら飛ぶといわれるもの。また、それをかたどった歌舞伎芝居の小道具。〔名語記(1275)〕
③ 心のはたらき。精神。思慮分別才覚
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「一世の源氏の、心たましい人にすぐれ給へりけるを得て」
④ 心の傾向、状態をいう。性質。性格。
書紀(720)景行四〇年七月(北野本訓)「其(か)東夷(あつまひと)は識性(タマシヒ)暴強(あらくこはし)
※黄表紙・心学早染艸(1790)上「三ツ子のたましゐ百までと、すへたのもしくみへけり」
⑤ 心の持ちかた。根性。しょうね。
浄瑠璃日高川入相花王(1759)三「手は盗みしても魂(タマシヰ)は侍」
⑥ (武士のたましいというところから) 刀の異称
※浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)七「嗜の魂(タマシイ)見ましょ。扨錆たりな赤鰯
葬式に加わる時の女性の結髪の一つ。多く潰(つぶ)島田精進髷(しょうじんまげ)
[補注]「魄」も「たましい」と読むが、死後「魂」は天上に「魄」は地上にとどまると区別されたこともある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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