危険(読み)キケン

デジタル大辞泉 「危険」の意味・読み・例文・類語

き‐けん【危険】

[名・形動]
あぶないこと。生命身体損害事故災害などが生じる可能性のあること。また、そのさま。「身に危険が迫る」「高所での危険作業」⇔安全
悪い結果を招く可能性があること。また、そのさま。「国際的に孤立する危険がある」「危険けに出る」
[類語](1危難危機危地不用心ピンチ苦境窮地窮境窮状難局羽目危殆きたい虎口ここう不穏際どいやばいきな臭い呉越同舟一触即発風前のともしび薄氷をふむ風雲急を告げる(形動用法で)物騒剣呑けんのん危ない危うい危なっかしい/(2おそれリスク懸念憂慮取り越し苦労ハザード危惧杞憂悲観心配不安

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精選版 日本国語大辞典 「危険」の意味・読み・例文・類語

き‐けん【危険】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 身体、生命に危害の生ずるおそれがあること。危ないさま。
    1. [初出の実例]「八十里地勢平坦無危嶮」(出典:続日本紀‐天平九年(737)四月戊午)
    2. 「官軍危嶮(キケン)の敵国に斯の如くに深入して」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一〇)
    3. [その他の文献]〔韓非子‐有度〕
  3. 社会の現秩序をみだす可能性があること。「危険思想」
    1. [初出の実例]「開闢(かいびゃく)既に久しき国に於ては風俗漸く危嶮に赴き」(出典:経済小学(1867)下)
  4. 好ましくないことが起こる可能性があること。また、特に死に瀕した状態にあるさま。
    1. [初出の実例]「此二つの考に就て十分に決心しない人が金を溜めるといふことは甚だ危険の事だと思ひます」(出典:後世への最大遺物(1897)〈内村鑑三〉一)
    2. 「知らずにへまを犯す危険にさらされている」(出典:無関係な死(1961)〈安部公房〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「危険」の意味・わかりやすい解説

危険 (きけん)
risk

経済学・統計学用語。人間の活動,生存には,不測事態による損失ないし災害はつきものである。この場合の不測事態とは,事前に確実にはその生起を予見できないような事象の生起を意味する。そのような不確実にしか予見できない事象の生起によって被る損失もしくは収益減の可能性を,危険あるいはリスクと呼ぶ。この場合,〈予測〉のよってきたるゆえんからみて,〈危険〉には,それが基本的に(1)複雑な自然のメカニズムに対する人知の限界と自然力に対する制御不可能性からくるもの(地震・集中豪雨等),(2)生体,物質間の相互作用の在り方をはじめとして,事物の因果関係については,われわれにとって科学的になお未知部分があるためにおこるもの(新薬の副作用等),(3)人間的ミス,誤操作等によっておこるもの(パイロットや整備技師のミス・オペレーションが原因の航空事故等),さらに(4)市場価格,一般大衆の反応といった,人間行動をとりまく社会的環境条件の将来動向を完全には予測しえないことからくるもの(不測の販売量低下にもとづく大規模設備投資の失敗等),等の諸タイプがある。

 各状況ごとの危険の度合,大きさを評価し,異なった対象間で比較することは,具体的安全対策のとり方,安全対策レベルの決定,さらに危険に関連した基本政策の決定問題,たとえば事故の危険の大きさを考慮しながら,将来の総エネルギー供給中に原子力発電が占めるべきウェイトを決める,という種類の問題を考えるうえできわめて重要な意味をもつものである。危険の大きさを評価する際に,しばしばとられるこの意味の評価尺度は,おこりうる損失額の期待値,すなわち可能な各損失額とそれに対応した確率の大きさの積を,おこりうるすべての損失額について加え合わせたもの,である。この場合,原因となる事象の生起可能性を表す確率分布の型はあらかじめわかっているが,その分布を特定化するパラメーター(母数)の値が未知であるケースについては,この期待損失額で示される危険の大きさは,各対象ごとにただ一つの値には決まりえず,むしろその未知パラメーターの関数の形でしか示されないために,異なった対象間の危険の大きさの比較は,普通の数値の大小比較のように単純には行いえない。このようなケースの〈不確実性下の最適行動の選択〉については,このように未知パラメーターの形で示される危険の大きさについて,なんらかの形で優劣の順序づけを行う必要がある。このために,たとえばA.ワルトの統計的決定関数論におけるミニマックス原理のような,別の行動選択基準が要求されることになる。また,問題の事故の効果が,通常の経済価値では測れないような異質の複合効果を含んでいる場合には,そこでの危険の大きさを比較するためには,おこりうる経済価値喪失-費用効果と他の文化価値の喪失の間の相対ウェイトをどのようにつけるかといった,一種の価値観にかかわる問題もおこる。
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普及版 字通 「危険」の読み・字形・画数・意味

【危険】きけん

危うい。〔漢書、劉向伝〕今佞と賢臣と、竝びに戟(宿衛)のに在り。合黨共謀、善を(さ)り惡に依(よ)り、歙歙(きふきふ)(しし)、數(しばしば)險の言を設け、以て上を傾移せんと欲す。

字通「危」の項目を見る

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保険基礎用語集 「危険」の解説

危険

リスクともいわれ、多義に用いられています。主要な意義は次のとおりです。?偶然な出来事(事態、事件、事故以下同じ)の発生の可絶佳?偶然な出来事の発生の可能性の度食?偶然な出来事の発生の可能性にかかわりのある具体的な個々の事情またはそれらの絶倒犬態?偶然な出来事それ自供?偶然な出来事が発生する客体?偶然な出来事の結果を負担すべき必要性または責任。ちなみに英語のhazard、perilは、それぞれ上記の?、?の意義を有している用語を指します。

出典 みんなの生命保険アドバイザー保険基礎用語集について 情報

世界大百科事典(旧版)内の危険の言及

【ラジオドラマ】より

…初期は舞台用戯曲がそのまま放送されていたが,24年,初のラジオのために書かれた本格作品が放送された。それは,リチャード・ヒューズRichard Hughes作《危険Danger》であり,日本では翌年の大正14年8月13日に翻案・放送された(邦題は《炭坑の中》)。このラジオドラマは,舞台劇でも映画でも明確に現すことのできない炭坑内の暗黒,爆発や水の噴出する音などを生きた実感として描き出すことに成功しており,これによってラジオドラマは,ラジオの特性を生かしてつくりあげられる〈音の世界〉の新しい劇芸術として,その地位を確立させた。…

※「危険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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