デジタル大辞泉
「如何にも」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いかに【如何に】 も
① 状態、手段などを限定せず、考えられる範囲のどれを選択しても可であるという
認識を表わす。「いかにもあれ」「いかにもして」「いかにもなる」などの
連語的表現になることもある。どうであろうと。どのようにも。どうでも。
※
源氏(1001‐14頃)宿木「巖の中求めむよりは荒し果つまじく思ひ侍るを、いかにも、さるべきさまになさせ給はば、おろかならずなむ」
② (多く、あとに
意志・希望系の
助動詞等を伴って) 考えられるだけの手段を尽くして目的を達成しようという意を表わす。何とかして。どうしても。なるたけ。ぜひ。
※和泉式部日記(11C前)「なほいと苦しうこそ、いかにもありて御覧ぜさせまほしうこそ」
③ (あとに
否定の意味の表現を伴って) どのようなやり方でもそれを行なおうとしない意を表わす。どうにも。なんとしても。少しも。ちっとも。
※源氏(1001‐14頃)
真木柱「今はじめていかにも物を思ひ侍らず」
※
古今著聞集(1254)二〇「ただいかにも鳥をとらざりけり」
④ 程度、状態のはなはだしいことを確かにそうであると確認している意を表わす。強く肯定して、強めていう。どうみても。まことに。まったく。おおいに。
※宇治拾遺(1221頃)一「いかにも山の中に只ひとりゐたるに」
⑤ (
感動詞のように用いて) 相手の
ことばをうけ、肯定、同意する
応答のことば。たしかに。なるほど。まさしく。その通りだ。
※虎寛本狂言・
宗論(室町末‐近世初)「いかにも、こなたの事で御座る」
[語誌](1)元来、さまざまな選択範囲を想定して、その中のどれかを選択する意を表わしていたと考えられる。それが①のような「
放任」の
用法と結びつくと、「どれでも可」という意味あいが強くなり、②のような「意志」の用法と結びつくと「どれかを選択して」という意味あいが強くなり、③のような「否定」と結びつくと「どれも選択しない」という意味あいが強くなる。
(2)④⑤の用法は、選択しようとしてもその
余地がなく、確認・肯定的な場合が発達したものと考えられる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報