精選版 日本国語大辞典「実に」の解説
げ‐に【実に】
〘副〙 (「現に」の変化した語かという)
① 予告や評判どおりの事態に接したときの、思いあたった気持を表わす。なるほど。聞いていた通り。
※竹取(9C末‐10C初)「げにただ人にはあらざりけり」
② 他人の意見・態度を肯定するときの、納得した気持を表わす。いかにも。おっしゃる通り。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「げに、さもいはれたる事なれど、なでふ人か、かかる住ひにて世には経ん」
③ 自分の感情・判断が誇張や嘘のものでないことを示すときの、いつわらない気持を表わす。本当に。言葉通り。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「物おもふたまへしらぬ心地にも、げにこそ、いとしのびがたう侍けれとて」
じつ‐に【実に】
〘副〙
① 仮定や想像でなく、確実である、また、事実であるさまを表わす語。実際に。
※正法眼蔵(1231‐53)心不可得「婆子そのとき徳山を杜口せしむとも、実にその人なること、いまださだめがたし」
② 感嘆の気持をこめて程度のはなはだしさを表わす語。まことに。非常に。
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「どうも咽(む)せぽくて実に弱った」
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