デジタル大辞泉 「何とも」の意味・読み・例文・類語 なん‐とも【何とも】 [副]《「なにとも」の音変化》1 言葉にいえないほど程度がはなはだしいさま。「何ともあきれた話だ」2 どうという限定のないさま。どうとも。「結果は何とも言えない」3 (打消しの語を伴って)問題にするほどでないさま。どうとも。「悪口なんか何とも思わない」「徹夜しても何ともない」[アクセント]1・2はナントモ、3はナントモ。[類語]全く・実に・本当に・まことに・実以じつもって・本に・真に・まさに・まさしく・ひとえに・切せつ・げに・現に・ほとほと・すっかり・つくづく・全く以て・真実・真個・真正・正真しょうしん・事実・実際・紛れもない・他ならない・有りのまま・現実・そのもの・神しん以て・神かみ掛けて・ほんま・正真正銘・いかにも なに‐とも【何とも】 [副]1 (あとに打消しの語を伴って用いる)㋐特別の感情を催さないさまを表す。別に大したものとも。物の数とも。「いにしへは―見ざりし衣裳の紋、今は目にたちて」〈曽我・三〉㋑行動を特定できないさまを表す。どうとも。「―言ひ出でじ」〈紫式部日記〉2 いろいろに手段をつくすさまを表す。あらゆる方法で。なんとかして。「―風体を巧みて」〈能作書〉3 他に表現のしようがないという気持ちを表す。いかにも。なんとも。「―迷惑ニゴザル」〈日葡〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「何とも」の意味・読み・例文・類語 なに‐とも【何とも】 [ 1 ] 〘 連語 〙 ( 代名詞「なに」に格助詞「と」、係助詞「も」が付いてできたもの )① どういうものとも(…しない)。どうとも(…でない)。[初出の実例]「さる言ふかひなき物にて、なかなかなにとも見えず」(出典:枕草子(10C終)一四九)② ( 命令表現を伴って用いて ) どうとでも。なんとでも。[初出の実例]「何とも候へ、あれほど唐の狗に似候なんうへは」(出典:徒然草(1331頃)一二五)[ 2 ] 〘 副詞 〙① ( 否定表現を伴って ) 事態や発言の実質に対して、全く意に介さないさまを表わす。別にたいしたこととも(思わない)。格別重要なこととも(考えない)。[初出の実例]「むかし、物いひける女に、年ごろありて、いにしへのしづのをだまき繰り返し昔を今になすよしも哉、といへりけれど、なにとも思はずやありけん」(出典:伊勢物語(10C前)三二)② 手段を尽くそうとする意志を表わす。どのようにしてでも。なんとかして。[初出の実例]「この渡り、なにともして渡してんや」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一五)③ ある事態がどう見てもそう名状するしかない、という感情を表わす。まったく。どうも。いかにも。なんとも。[初出の実例]「Nanitomo(ナニトモ) メイワクニ ゴザル」(出典:日葡辞書(1603‐04))④ 同類のものを、格別特定することなく列挙するときに用いる。…やなにかも。…なども。[初出の実例]「形、有様も美かりけり、気はひなにとも物云ひも可咲かりければ」(出典:今昔物語集(1120頃か)三〇)⑤ どのようにでも。自由自在に。[初出の実例]「奥蔵をきはめ、達人になりて、なにとも心のままなるは」(出典:拾玉得花(1428)) なん‐とも【何とも】 〘 副詞 〙 ( 「なにとも(何━)」の変化したもの )① 事物・事態を非選択的に指示する。どのようにも。どんなものでも。[初出の実例]「Nantomo(ナントモ) アレカシ、ドウシン イタスマイ」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))② 否定的表現に用いて、問題としないさま、また、形容すべきものに思い当たらないさまを表わす。[初出の実例]「いかなる人も死するほどに、死をばなんとも不思ぞ」(出典:史記抄(1477)一一)③ 対応すべき態度に思い当たらないほどに程度がはなはだしいさまを表わす。[初出の実例]「殿様に負はれまするが、なんとも迷惑に御ざりまする」(出典:狂言記・皸(1660)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by