バロック(英語表記)Baroque

翻訳|baroque

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

バロック
Baroque

ルネサンスとロココ間,16世紀後半から 18世紀なかばにいたる美術建築,音楽,文学の様式概念。ポルトガル語もしくはスペイン語の宝石用語バローコ barroco (ゆがんだ真珠) に由来するとも,ルネサンス期のイタリアの哲学者が,スコラ的三段論法のうち法外な論証をさして用いた語 baroccoに由来するともいわれる。美術においては,奇妙でグロテスクなものであるという意味で 18世紀には用いられたが,H.ウェルフリン以来,積極的に評価する意味で用いるようになった。スペインの批評家 E.ドルスは,単なる美術上の様式概念としてではなく,古典に対する別の文化概念としてこの語を用い,したがって今日では文学,音楽にも用いられる。音楽ではバロックを評価し,バロックという語を最初に用いたのは C.ザックスの『バロック音楽』 (1919) である (→バロック音楽 ) 。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

バロック

16世紀末にイタリアに発し、18世紀中頃までヨーロッパ中南米で展開した様式。語源は「ゆがんだ真珠」を意味するポルトガル語と言われる。絵画は流麗な色彩表現やドラマチックな画面構成などを特徴とする。建築においては、建築と絵画、彫刻調度が一体となって生み出す劇的な空間を指す。より一般化され、「過剰な」「壮大な」という意味で使われることもある。

(2013-02-20 朝日新聞 朝刊 大特集L)

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デジタル大辞泉の解説

バロック(〈フランス〉baroque)

《〈ポルトガル〉barroco(ゆがんだ真珠)から》16世紀末から18世紀に欧州で流行した芸術様式。均整と調和のとれたルネサンス様式に対し、自由な感動表現、動的で量感あふれる装飾形式が特色。同じ傾向の音楽・文学の様式をもいう。バロック式

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百科事典マイペディアの解説

バロック

16世紀末から18世紀前半に行われた芸術様式。英語・フランス語ではbaroque,ドイツ語ではbarockと書き,〈歪んだ真珠〉を意味するポルトガル語のバローコbarrocoに由来するとされる。もとは曲線の多い装飾的な建築や装飾に侮蔑(ぶべつ)的に用いられたが,19世紀後半にウェルフリンらによって17世紀のイタリア美術,さらに普遍的な様式概念として用いられるに至った。一般には古典的な調和と均整を理想とする静的なルネサンス美術に対し,動的で劇的迫力にみちた性格を〈バロック〉の語で表す。代表的芸術家として絵画ではカラバッジョベラスケスプッサンルーベンスレンブラント,彫刻ではベルニーニピュジェ,建築ではベルニーニ,ボロミーニマンサールらがあげられる。20世紀に入って,バロックの概念は音楽,文学,演劇,さらには広く文化・思想の形態にも適用されるようになった。音楽では16世紀末から18世紀中ごろまでの時期をさし,イタリアではモンテベルディビバルディスカルラッティらによってオペラ,ソナタ,コンチェルトなどが発達,フランスではリュリをはじめとする宮廷を中心とした音楽が行われた。ドイツはやや遅れたが,バッハヘンデルが出現してバロック音楽の頂点となった。
→関連項目アリアオーボエオリジナル楽器合奏協奏曲カンペン協奏曲グアリーニ組曲クーラント古楽古典派音楽シャイトシャインジラルドンシンフォニアスウェーリンクチェロドービニェドメニキーノノイマン反宗教改革ピエトロ・ダ・コルトナフィッシャー・フォン・エルラハブーエペッペルマンベルサイユ宮殿ポリフォニームリーリョモテットラッススラモーランドフスカレーニ

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世界大百科事典 第2版の解説

バロック【Baroque】

バロックとはポルトガル語のbarroco(〈歪んだ形の真珠〉の意)に由来する語であり,元来は18世紀後半のフランス古典主義の立場から,16世紀後半から18世紀初めまでのバランスを欠くまでに動的な芸術表現に対する蔑称として用いられた。19世紀後半には独自な様式としてその価値が認識されるに至ったが,この様式を代表するのは17世紀の建築や建築装飾である。それが,絵画・彫刻から音楽に至る芸術様式一般,さらには広く同じ特色をもった文化・思想の形態までも指すようになった。

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大辞林 第三版の解説

バロック【baroque】

ポルトガル barroco(歪んだ真珠)からという〕
一六世紀末から一八世紀中頃にかけて、ヨーロッパ全土に盛行した芸術様式。ルネサンス様式の均整と調和に対する破格であり、感覚的効果をねらう動的な表現を特徴とする。本来、劇的な空間表現、軸線の強調、豊かな装飾などを特色とする建築についていったが、激しい情緒表現や流動感をもった同時代の美術・文学・音楽などの傾向、さらには、ひろく時代概念をさす。

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精選版 日本国語大辞典の解説

バロック

〘名〙 (baroque ポルトガル語の barroco 「歪んだ真珠」の意に由来) 芸術上の様式の一つ。美術史上一七二〇年前後の南・西ヨーロッパに支配的であった不規則な形の建築・装飾の様式に始まる分類で、のち一六世紀から一八世紀にかけて現われた、それ以前の古典的な整然と均斉のとれた様式を逸脱して、動感にあふれた美術様式を特色づけることばとなり、同様の傾向の文学・芸術・時代精神一般の様式の総称ともなった。バロック式。

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世界大百科事典内のバロックの言及

【バロック美術】より

…一般には,17世紀初頭にイタリアのローマで誕生しヨーロッパ,ラテン・アメリカ諸国に伝播した,反古典主義的な芸術様式をいう。 バロック(フランス語でbaroque,イタリア語でbarocco,ドイツ語でBarock,英語でbaroque)という語の由来については2説ある。一つはイタリア語起源説で,B.クローチェによると,中世の三段論法の型の一つにバロコbarocoと呼ぶものがあり,転じて16世紀には不合理な論法や思考をバロッコbaroccoと呼ぶようになった。…

【古典主義】より

…しかし後代が〈古典主義〉の作家とみなす作家が,みずから古典主義を標榜したわけではない。文学史上の時代区分では,古典主義はロマン主義と対立するだけではなく,みずからに先行するものとしてバロックとも対比される。このような歴史概念としての古典主義は,文学・演劇と造型芸術と音楽との間で,同じ時代に同じように現れたわけではない。…

【ドイツ美術】より

…フランスやイタリア,ネーデルラントで一つの美術様式が誕生すると,それが完成するのを待ってこれを自国へ摂取するのがドイツ美術の歴史の常套であった。ゴシックはフランスから,ルネサンスはイタリアから,そしてバロックもイタリアから流入してきたものである。これにはドイツ民族の二つの性格が関係している。…

【バロック美術】より

…一般には,17世紀初頭にイタリアのローマで誕生しヨーロッパ,ラテン・アメリカ諸国に伝播した,反古典主義的な芸術様式をいう。 バロック(フランス語でbaroque,イタリア語でbarocco,ドイツ語でBarock,英語でbaroque)という語の由来については2説ある。一つはイタリア語起源説で,B.クローチェによると,中世の三段論法の型の一つにバロコbarocoと呼ぶものがあり,転じて16世紀には不合理な論法や思考をバロッコbaroccoと呼ぶようになった。…

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