下司(読み)げし

デジタル大辞泉の解説

げ‐し【下司】

身分の低い役人。特に、中世、荘園の現地で実務を行った荘官のこと。京都にいる荘官の上司に対していう。げす。

した‐づかさ【下司】

地位の低い役人。げす。げし。
部下の役人。下役(したやく)。
「四道将軍の―武官吉備の武彦声をかけ」〈浄・日本武尊

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百科事典マイペディアの解説

下司【げし】

〈げす〉とも読む。荘園で荘務を行う下級役人(下級荘官)。在京の役人である上司(在京荘官)に対していう。年貢(ねんぐ)・公事(くじ)・夫役(ぶやく)などの徴収に当たり,領主から給田・下司名(みょう)を得た。鎌倉幕府の成立とともに御家人となり地頭になるものもあった。
→関連項目足利荘鵤荘伊作荘石黒荘相賀荘大井荘大田荘大庭御厨奥島織田荘柏木御厨革島荘楠葉牧久世荘黒田荘久我荘島津忠久島津荘荘官相馬御厨垂水荘鞆淵荘名田荘新田荘幡多荘波々伯部保拝師荘(拝志荘)日置荘日根荘平野殿荘南部荘和佐荘

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世界大百科事典 第2版の解説

げし【下司】

〈げす〉ともいう。本来上司(うえつかさ)に対する下司(したつかさ)で,身分の低い官人の意であるが,普通中世荘園において,在京荘官の預所(あずかりどころ)を上司あるいは中司というのに対して,現地にあって公文(くもん),田所惣追捕使等の下級荘官を指揮し,荘田・荘民を管理し,年貢・公事の進済に当たる現地荘官の長をいう。惣公文と呼ばれることもある。このような下司の史料上の初見は,長徳2年(996)10月3日の伊福部利光治田処分状案(《光明寺文書》)に,〈甲賀御荘下司出雲介〉とあるものであるが,この史料はやや孤立した存在で,下司が頻出するのは,公文,田所などと同じく11世紀後半以降である。

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大辞林 第三版の解説

げし【下司】

〔「げす」とも〕
下級の官人。したづかさ。 「六波羅のはや使、-の次郎友方、鞭鐙を合せかけ来り/浄瑠璃・平家女護島」
鎌倉・室町時代、荘園の現地にあって実務をつかさどる荘官の一。預所あずかりどころ以上の在地しない荘官などを上司・中司といったのに対する。

したづかさ【下司】

地位の低い役人。げし。げす。 「式部省の-/浄瑠璃・菅原」
部下の役人。したやく。 「此国の受領の-/読本・雨月 蛇性の婬

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

下司
げし

「げす」とも読む。
(1)役人で、上司に対して卑賤(ひせん)な職掌のものをいう。
(2)荘園(しょうえん)の現地にあって荘務を執行するものをいう。荘園領主の政所(まんどころ)で荘園のことを扱う上司、上司と荘園現地の間の連絡にあたる中司(預(あずかり))に対して、現地で実務にあたるものを「荘の下司」(荘司(しょうじ))といった。所領を寄進した在地の領主(地主)がそのまま下司に任命される場合と、荘園領主から任命されて現地に赴任するものとがあった。下司は荘地・荘民を管理し、年貢・公事(くじ)を荘園領主に進済する。代償として給田(きゅうでん)・給名(きゅうみょう)を与えられたほか、佃(つくだ)を給されたり、加徴米や夫役(ぶやく)の徴収を認められたりした。平安末期には、在地の下司は世襲となり、国衙(こくが)領の郡司職(ぐんじしき)・郷司職(ごうじしき)を兼帯して、それらの職(しき)を足掛りにして在地領主として成長し武士化するものが多かった。鎌倉幕府は、そのような在地領主層を御家人(ごけにん)として組織することによって成立したものであった。[阿部 猛]

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世界大百科事典内の下司の言及

【荘官】より

…広義には中央で荘園の総括的管理にあたる預所や,鎌倉幕府が荘園においた地頭も荘官であるが,普通は荘園現地にあってその管理にあたる荘家の構成者をいう。11世紀以前には荘長,荘別当,荘検校,専当,預などが多く,12世紀以降には,下司(げし),案主,公文,田所,惣追捕使などが一般的である。後者にあっては下司はその筆頭であり,惣公文と呼ばれることもあった。…

【下司】より

…〈げす〉ともいう。本来上司(うえつかさ)に対する下司(したつかさ)で,身分の低い官人の意であるが,普通中世荘園において,在京荘官の預所(あずかりどころ)を上司あるいは中司というのに対して,現地にあって公文(くもん),田所,惣追捕使等の下級荘官を指揮し,荘田・荘民を管理し,年貢・公事の進済に当たる現地荘官の長をいう。惣公文と呼ばれることもある。…

※「下司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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