何くれ(読み)ナニクレ

デジタル大辞泉 「何くれ」の意味・読み・例文・類語

なに‐くれ【何くれ】

[副]あれやこれや。いろいろ。何くれとなく。
「居りさえすれば、―と款もてなして呉れた」〈漱石坊っちゃん
[代]不定称の指示代名詞不特定多数の人や事物を漠然とさす。なになに。
「―の宮、かの殿ばらの御女むすめなど名乗り給ふ人々多かめり」〈栄花・ゆふしで〉
[類語]どうこう何やかやそうこうあれこれとかくとこうあちこち何かと何かといえば何かにつけ何くれとなくかれこれなんだかんだなんのかのどうのこうのそこここああだこうだあれやこれやとざまこうざまもろもろ広い幅広い手広い広範広範囲多方面多角多面多岐様様各種種種諸種いろいろ多様多様化多面的多種多種多様多彩数数いろんなとりどり色とりどり百般万般諸般多元多元的多角的横断的複眼的おしなべて全般に一般総じて概して多くおおむね大概普通通例通常一体に総体およそあまね雑多よろず各人各様十人十色千差万別マルチ事事物物種種雑多各様種種くさぐさ玉石混淆こんこう凡百ぼんぴゃく百態百事百千万端各般数多あまた数多すうた数次幾度等等諸相諸物山ほどざらごちゃごちゃ枚挙にいとまがない十指に余るあの手この手エトセトラ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何くれ」の意味・読み・例文・類語

なに‐くれ【何くれ】

  1. 〘 代名詞詞 〙
  2. 雑多な事物を包含的に指示する。あれやこれや。いろいろ。
    1. [初出の実例]「染草、なにくれの事、庄々のものどもは、一条殿にもわかちたてまつり給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  3. 雑多な事物の中から、それと特定できない一つを、不明のままに指示する。どれそれ。だれそれ。
    1. [初出の実例]「此御方の匂ひは、只今あるそら薫物ならねば、もしは何くれの香の香にこそあんなれ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)かがやく藤壺)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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