偶さか(読み)タマサカ

デジタル大辞泉 「偶さか」の意味・読み・例文・類語

たま‐さか【▽偶さか/▽適さか】

[副](「に」を伴っても用いる)
1 思いがけないさま。偶然であるさま。たまたま。「―めぐりあった好機」「―に旧友と出会う」「―の来客」
2 機会が数少ないさま。まれに。たまに。「―郷里に帰ることもある」「―の休日」
[形動ナリ]
1 まれであるさま。
「通ふ人もいと―なり」〈源・手習〉
2 めったにないと思われるさま。ひょっとしてそうなるさま。万一。
「もし天竺てんぢくに―に持て渡りなば」〈竹取〉
[類語]偶然・たまたま・ひょっこり・臨時・随時・不時・不定期・折に触れて・当座・時には・時として・往往・時時ときどき・時折・折折・時たま・間間・折節・散発・間欠・周期的・とかく・時に・偶たま・ややもすれば・ともすると・得てして・なにかにつけ・何かと言えば・もし・仮に・たとえ・もしか・よしんば・たとい・よしや・もしも・万一・万一ばんいち・万が一・万万一・もしや・もしかしたら・もしかすると・ひょっとすると・ひょっとしたら・ひょっとして・あるいは・もしかして・どうかすると・下手すると・一つ間違えば・あわよくば・まかり間違う・よもや・まさか・万万ばんばん・夢か現うつつか・図らずも・はしなく・はしなくも・思いがけず・思いも寄らない・思いのほか・心外・突然・唐突・案に相違する・意表を突く・意表・予想外・意想外・ゆくりなく・まぐれ・ひょんな・ひょっと・ゆくりなし・我にもなく・期せずして・悪くすると・事と次第による・事によると・もしくは・はたまた・ないし・かも知れない・思わず・思わず知らず・我知らず・知らず知らず・折もあろうに・折悪しく・慮外・存外・望外・頻繁・有りがち・ややもすると・うかうか・うっかり・寄り寄り・ちょいちょい・ちょくちょく・ふとした・重重・重ねて・重ね重ね・再三・再再・しばしば・思いがけない・たびたび・度度・返す返す・しきり・二度あることは三度ある・時ならず

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精選版 日本国語大辞典 「偶さか」の意味・読み・例文・類語

たま‐さか【偶・適】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. ① 思いがけないさま。偶然であるさま。
    1. [初出の実例]「玉坂(たまさかに)吾が見し人を如何にあらむ縁(よし)をもちてかまた一目見む」(出典:万葉集(8C後)一一・二三九六)
    2. 「邂逅(タマサカニ)児有る家に次(やど)り、遂に是の子を得たり。〈興福寺本訓釈 上音解反下后反 二合太万左加爾〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
  3. ② まれであるさま。その場合とか機会が数少ないさま。
    1. [初出の実例]「よき帯などたまさかにありけるなども、皆大将殿に奉り給ふ」(出典:落窪物語(10C後)四)
    2. 「偶(タマ)さかの来客も冷へた茶一杯で追返され」(出典:くれの廿八日(1898)〈内田魯庵〉一)
  4. ③ めったにないさま。あまり期待できないが、ひょっとしてそうなるさま。多く、「に」「にも」を伴って副詞的に用いられる。
    1. [初出の実例]「若し天竺(てんぢく)にたまさかにもて渡りなば」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「たまさかにも、おぼし召しかはらぬやう侍らば〈略〉必ず、かずまへさせ給へ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)

偶さかの語誌

( 1 )奈良時代の用例は①の意と解されるが、平安時代になるとこの意は「たまたま」が担い、「たまさか」は時間的に長い間隔があることを意味する②、あるいは仮定条件句とともに用いられて③の意を表わすようになった。
( 2 )女性の手になる作品、たとえば「蜻蛉日記」では「たまさか」は使用されているが「たまたま」は現われない。また、他の女流作品でも「たまたま」は僅少である。一方、男性の手になる「方丈記」や「徒然草」には「たまさか」は見られないという事実から「たまさか」は女性的な用語であったと思われる。→「たまたま(偶)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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