削ぐ(読み)ソグ

デジタル大辞泉 「削ぐ」の意味・読み・例文・類語

そ・ぐ【削ぐ/殺ぐ】

[動ガ五(四)]《古くは「そく」》
先端や出っぱりの部分を切り落とす。「敵兵の耳を―・ぐ」「剃刀かみそりで―・いで整髪する」
斜めにけずる。斜めに薄く切る。「ゴボウを―・いで笹がきにする」
先を斜めに切ってとがらせる。「竹を―・いでやりを作る」
外に現れようとする勢いや、興味・関心などを奪い去る。「気勢を―・がれる」「興を―・ぐ」「意欲を―・ぐ」「期待を―・ぐ」
省略する。簡単にする。
「院にまうけさせ給へりけることどもも―・ぐとおぼししかど」〈鈴虫
[可能]そげる
[動ガ下二]そげる」の文語形
[類語](1こそげる剃り落とす剝がす剝ぐ剝く引き剝ぐ引っぺがす引っぱがす引き剝がす剝ぎ取るへぐへがす削る剃る彫る剪む削ぎ取る削ぎ落とす削げる剃り落とす/(4挫く弱める砕く邪魔妨害阻害そがい干渉横槍よこやり障害支障障壁さわ邪魔だて水を差す水をかける足を引っ張る圧伏圧殺抑える妨げる遮る立ち塞がるせきとめる制止捕まえる握る挟む押しとどめるストップを掛ける掣肘せいちゅう封殺諫止阻む食い止める立ちはだかる遮断妨害阻止ブレーキが掛かる腰を折る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「削ぐ」の意味・読み・例文・類語

そ・ぐ【削・殺】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ガ五(四) 〙 ( 古くは「そく」 )
    1. [ 一 ] ななめにけずり落とす。鋭利な刃物を用いて、えぐるようにしてけずりとる。
      1. 髪の毛の端を切り落とす。髪の毛先を切ってそろえる。
        1. [初出の実例]「尼にそきたるちごの、目に髪のおほひたるを、かきはやらで」(出典:能因本枕(10C終)一五五)
        2. 「いときよらなる御ぐしをそぐほど、心ぐるしげなるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
      2. 切りとる。薄くけずりとる。
        1. [初出の実例]「先づ喪亡せるに随ひて、一の岐を除(ソキ)(さく)」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
        2. 「窮鳥の(つばさ)(ソ)がれたるが如に成ぬれば」(出典:太平記(14C後)二一)
      3. 先端をとがるようにけずる。
        1. [初出の実例]「両の耳は竹を剥(ソ)いで直に天を指し、双の眼は鈴を懸けて地に向ふ如し」(出典:太平記(14C後)一三)
    2. [ 二 ] 状態、また、気持などの一部を取って除く。もとの形や望ましいあり方が生かされなくなる。
      1. 省いて簡単にする。簡略にする。節約する。はぶく。
        1. [初出の実例]「院にまうけさせ給へりけることどもも、そぐと思ししかど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)鈴虫)
      2. 圧力を加えて、相手の力、権力自信などを弱くする。
        1. [初出の実例]「後の史家多くは守護地頭を置くの一事を以て朝廷の権を殺ぐものと為せり」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉二)
      3. 興趣を弱める。おもしろみなどを薄くする。
        1. [初出の実例]「そして多少の興味を殺がれる」(出典:あそび(1910)〈森鴎外〉)
      4. 他のことに時間をとる。費やす。
        1. [初出の実例]「例の掃部頭の役目が、毎日毎日朝夕に少なからぬ時間を殺(ソ)いで呉れる」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉五)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ガ下二段活用 〙そげる(削)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android