善導寺(寺)(読み)ぜんどうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「善導寺(寺)」の意味・わかりやすい解説

善導寺(寺)
ぜんどうじ

福岡県久留米(くるめ)市善導寺町にある浄土宗の寺。終南山光明院(しゅうなんざんこうみょういん)と号する。本尊阿弥陀如来(あみだにょらい)。源空の弟子弁長(べんちょう)の開山。1204年(元久1)弁長は源空の下から九州に帰り念仏を広め、筑後(ちくご)国司草野永平の帰依(きえ)を得て光明寺を建立した。1212年(建暦2)弁長は夢に善導大師の姿を感得し、御影(みえい)堂を建てて大師像を安置した。一説に草野氏が宋(そう)朝渡来の善導像を安置したともいう。順徳(じゅんとく)天皇より善導寺の勅額を下賜されてのち、善導寺とよぶようになったという。後醍醐(ごだいご)天皇の勅願所となり、1330年(元徳2)「日域浄土最初梵刹(ぼんせつ)」および「祈祷(きとう)」の二つの額を賜った。その後、たびたびの兵火により焼失・復興を重ねたが、1616年(元和2)東照宮廟(びょう)を境内に建てた。徳川秀忠(ひでただ)は寺領500石を寄せ、徳川の菩提寺(ぼだいじ)とした。寺宝の善導大師坐像(ざぞう)、大紹正宗国師坐像、紺紙金泥観普賢(かんふげん)経は国の重要文化財である。

清水 乞]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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