(読み)キ

デジタル大辞泉 「器」の意味・読み・例文・類語

き【器】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]うつわ
学習漢字]4年
入れ物。また、一定の形に作られた道具。「楽器機器凶器銀器磁器漆器什器じゅうき食器土器陶器鈍器武器名器容器利器
生物体で、特定の働きと形を持つもの。「器官性器臓器
人間の働きや才能。「器用器量才器大器凡器
[名のり]かた
[難読]土器かわらけ

うつわ〔うつは〕【器】

物を入れるもの。入れ物。容器。「に盛る」
人物や能力などの大きさ。器量。「人の上に立つではない」
道具。器械。〈和英語林集成
[類語](1容器入れ物器物食器酒器曲げ物ケースカプセル/(2人物ひと人柄為人ひととなり人格器量度量にん人間性品性品格徳性人品

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精選版 日本国語大辞典 「器」の意味・読み・例文・類語

うつわ‐ものうつは‥【器・器物】

  1. 〘 名詞 〙
  2. いれもの。容器。うつわ。
    1. [初出の実例]「鉄をもちて作れる器(うツハモノ)〈略〉竹をもちて作れる器有り」(出典:岩淵本願経四分律平安初期点(810頃))
  3. 器具。道具。什器(じゅうき)
    1. [初出の実例]「高砂に、まづ持たる箒四五寸も長く侍り。これは器(ウツハモノ)なれば」(出典:舞正語磨(1658)上)
  4. 楽器。
    1. [初出の実例]「花山院右大将万す楽てんしゆとて、御うつは物申いたさるる」(出典:御湯殿上日記‐文明一六年(1484)六月二四日)
  5. 器量。才能。
    1. [初出の実例]「是の天皇の人となり、墻宇(ウツハモノ)凝峻(いつくし)くして窺(うかか)ふこと得可からず」(出典:日本書紀(720)安閑即位前(寛文版訓))
    2. 「御くらゐにおはしましし世には齢の程も、身のうつは物もおよばず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)

き【器】

  1. 〘 名詞 〙
  2. うつわ。いれもの。器物。また、それを数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「山海・草木、有生・非生に至る迄、万物の出生をなす器は天下也」(出典:遊楽習道風見(1423‐28頃))
    2. [その他の文献]〔論衡‐命祿〕
  3. 物事に役に立つ才能。また、有能な人物。器量。資質
    1. [初出の実例]「昔より位をつぎ、譲りをうくること、必ず嫡孫にはよらね共、其の器をえらび外戚の安否をも尋ねらるるにてこそあれ」(出典:保元物語(1220頃か)上)
    2. 「景時と先陣あらそひ、是又将の器(キ)にあたらぬ作法なり」(出典:仮名草子・身の鏡(1659)中)
    3. [その他の文献]〔漢書‐韋賢伝〕
  4. はたらきを備えたもの。機能あるもの。「消化器」「循環器」「感覚器」などの形で用いる。
  5. 小型の、また、それ自身には動力装置のない機械。「受話器」「電熱器」などの形で用いる。

うつわうつは【器】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「うつわもの」の語形をとる )
  2. いれもの。容器。うつわもの。〔補忘記(貞享版)(1687)〕
  3. 器具。道具。
    1. [初出の実例]「たいこ、らっぱ、たいはうは、いくさのときのうつはなり」(出典:読方入門(1884)〈文部省〉)
  4. 人物や才能などの大きさ。器量。
    1. [初出の実例]「よかるべきうつはには位をのぼせ」(出典:歌林四季物語(1686)一)
  5. 女陰。
    1. [初出の実例]「初会にはうつわをかすとおもふ也」(出典:雑俳・末摘花(1776‐1801)二)

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普及版 字通 「器」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(旧字)
人名用漢字 16画

[字音]
[字訓] うつわ

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
旧字はに作り、(しゅう)+犬。は〔説文〕三上に「衆口なり」とするが、口は(さい)で、祝詞を収める器。犬は犬牲。犬牲を以て清める意である。〔説文〕三上に「は皿なり。の口に象る。犬は之れを守る以なり」とするが、金文字形によると、犬は殺されている形である。犬牲を以て清めた器は、祭器・明器・礼器として用いられる。〔周礼、秋官、大行人〕「物」の〔玄注〕に「彝の屬なり」とあり、とはもと彝器をいう。彝は鶏血を以て清める意の字である。祭器の意より器具・器材の意となり、人に移して器量・器度をいう。

[訓義]
1. うつわ、祭器・明器、儀礼の際に用いる器。
2. 器物、車服・兵器・器具の類。
3. 人物の才能・器量。
4. 器として役立つ、用いる。

[古辞書の訓]
名義抄 ツキ・ウツハモノ・アヤシフ/嚴 カラクシケ 〔字鏡集〕 ウツハモノ・ツキ・サラ・アヤシブ

[熟語]
器愛・器異・器宇・器械・器懐・器幹・器観・器鑒・器玩・器局・器具・器遇・器敬・器甲・器行・器使・器識・器質・器什・器仗・器人・器性・器素・器重・器度・器任・器能・器範・器服・器物・器分・器皿・器抱・器貌・器謀・器望・器妙・器・器用・器量
[下接語]
異器・偉器・遺器・彝器・鋭器・温器・火器・佳器・嘉器・瓦器・械器・器・楽器・奇器・欹器・旧器・器・巨器・虚器・凶器・玉器・金器・刑器・剣器・古器・公器・行器・宏器・耕器・貢器・国器・才器・祭器・材器・雑器・祀器・姿器・祠器・瓷器・磁器・漆器・酒器・溲器・什器・戎器・重器・銃器・小器・将器・器・食器・神器・蜃器・水器・生器・成器・器・宗器・喪器・装器・蔵器・臓器・大器・竹器・茶器・鋳器・珍器・陳器・滌器・鉄器・典器・田器・伝器・土器・陶器・徳器・鈍器・農器・杯器・敗器・秘器・備器・器・武器・分器・兵器・宝器・凡器・名器・明器・器・銘器・木器・器・用器・容器・庸器・利器・良器・糧器・礼器・霊器・蠡器・奩器・賂器陋器・穢器

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【機械】より


[概念]
 〈きかい〉という言葉は古くからあったが,〈機械〉の文字が用いられるようになったのは1874年以後である。それ以前は〈器械〉と書くのが普通であった。この語は古くは《周礼》に出てきて,〈器〉は楽器,〈械〉は武器を意味していた。…

※「器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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