(読み)ネ

デジタル大辞泉 「寝」の意味・読み・例文・類語

ね【寝】

寝ること。眠ること。「が浅い」
[類語]眠り睡眠ねんね快眠寝る安眠就眠睡臥すいが熟睡熟眠昏睡こんすい居眠り爆睡惰眠嗜眠夢寐一睡不眠白河夜船枕を高くする寝溜め・寝つきが悪い・寝苦しい

しん【寝〔寢〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]シン(呉)(漢) [訓]ねる ねかす
シン
ねる。ねること。「寝具寝室寝所寝食就寝
奥座敷奥御殿。「寝殿正寝
〈ね〉「寝床寝技早寝昼寝
難読寝穢いぎたな熟寝うまい転寝ごろね・うたたね

い【寝】

寝ること。眠り。
「心とけたる―だに寝られずなむ」〈空蝉
[補説]多く動詞「ぬ(寝)」をあとに伴って「いをぬ」「いぬ」の形で、また、「朝寝あさい」「安寝やすい」などと熟して用いる。

ぬ【寝】

[動ナ下二]ね(寝)る」の文語形

しん【寝】

ねること。また、ねどこ。「に就く」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寝」の意味・読み・例文・類語

い【寝・眠】

  1. 〘 名詞 〙 ( ふつう、助詞「の」「を」「も」などを介して次に動詞「ぬ(寝)」がくる形をとる。また、「熟寝(うまい)」「安寝(やすい)」「朝寝(あさい)」など複合語を作る ) ねむること。ねむり。睡眠。
    1. [初出の実例]「玉手(たまで)さし枕(ま)き 股長(ももなが)に 伊(イ)は寝(な)さむを」(出典:古事記(712)上・歌謡)
    2. 「昼は日一日(ひひとひ)いをのみ寝暮らし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)

寝の語誌

古くから独立性が弱く「いを寝(ぬ)」「いの寝らえぬ」など、助詞を介して「い…ぬ」の形で用いられる。なお、「い」と「ぬ」とが直接結合した「いぬ」は、「万葉集」の表記から考えて、すでに一語化していたとみられる。


ね【寝】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「ねる(寝)」の連用形名詞化 ) ねること。ねむり。
    1. [初出の実例]「ま愛(かな)しみさ禰(ネ)に吾は行く鎌倉の水無の瀬川に潮満つなむか」(出典:万葉集(8C後)一四・三三六六)
    2. 「起きもせずねもせで夜をあかしては春のものとてながめ暮しつ」(出典:伊勢物語(10C前)二)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 物の古くなって役に立たなくなったものの意を添える。「寝(ね)粉」「寝(ね)糸」

い‐ね【寝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「いぬ(寝)」の連用形の名詞化 )
  2. 寝ること。また、寝つき。
    1. [初出の実例]「Ineno(イネノ) ワルイ ヒト、または、ヨイ ヒト」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. 眠っている時のかっこう。寝相(ねぞう)
    1. [初出の実例]「乗合の居寝のわるさに抱付て」(出典:雑俳・たからの市(1705))

しん【寝】

  1. 〘 名詞 〙 寝ること。やすむこと。就寝。また、寝る場所。ねどこ。寝室。
    1. [初出の実例]「遅明驚寝」(出典:実隆公記‐享祿二年(1529)正月一日)
    2. [その他の文献]〔礼記‐間伝〕

ぬ【寝】

  1. 〘 自動詞 ナ行下二段活用 〙ねる(寝)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「寝」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)寢
人名用漢字 14画

(異体字)
26画

[字音] シン
[字訓] ねる・みたまや・やむ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
正字はに作り、(夢)の省文+(しん)。は夢魔。夢魔によって死ぬことをという。は寝臥中に夢魔に襲われることをいう。〔説文〕七下に「みて臥するなり」とし、の省に従い、(しん)の省声に従う字であるという。は前条に「寐(い)ねて覺むることるなり」とみえ、夢みてめざめる意。はその夢魔におびやかされる意で、「寝」の寢とは同字でない。寝の寢の初文は。帚は箒の形で、これに酒を(そそ)いで鬯(かんちよう)し、霊を清める意で、寝の意となる。寢は寝臥、は夢魔の象を加えた字。は媚蠱(びこ)(まじない)のなすところで、の上部は媚女の象である。

[訓義]
1. ふす、ねる、病んでねる、うなされてねる。
2. と通じ、みたまや。
3. 寝殿、奥座敷、おもてざしき。
4. やむ、やめる、とまる。
5. 侵と通じ、おかす。
6. 寝陋、ぶおとこ。

[古辞書の訓]
和名抄〕寢 夜(ねや)、方言目に云ふ、與止乃(よどの)〔名義抄〕寢 イヌ・ヲカス・オホトノコモル・タユ・ヤウヤク・ヤム・ヤミヌ・オホフ・フス 〔字鏡集〕寢 イヌ・ヲカス・コモル・ヤスシ・ネヤ・ネゴト・タレ・ヌルヤ・オモフ・ヤウヤク・ヤム・フス・オホフ・オホトノ・タユ

[語系]
寢()・tsimは同声。)は寝、寢は寝臥、は夢魔にうなされる意。(侵)tsimは同声。(浸)・tzimも声義近く、みな鬯して祓い清める意がある。(襲)zipも声義に関係があり、祓い清めて、その精気を承けることをという。ゆえには同義、にはまた継ぐ意がある。

[熟語]
寝悪・寝幄・寝遏・寝衣・寝讌・寝園・寝餓・寝臥・寝宮・寝虚・寝御・寝衾・寝具・寝戸・寝興・寝坐・寝斎・寝疾・寝室・寝舎・寝宿・寝処・寝牀・寝食・寝・寝褥・寝衰・寝睡・寝席・寝・寝薦・寝膳・寝想・寝息・寝帳・寝殿・寝頓・寝廃・寝寐・寝病・寝・寝伏・寝兵・寝滅・寝免・寝黙・寝門・寝容・寝廬・寝陋
[下接語]
安寝・晏寝・園寝・燕寝・仮寝・臥寝・外寝・覚寝・客寝・午寝・高寝・就寝・小寝・宵寝・神寝・新寝・正寝・夕寝・大寝・昼寝・同寝・内寝・廃寝・寝・伏寝・兵寝・夜寝・幽寝・陵寝・路寝・廬寝・露寝

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android