寝る(読み)ネル

デジタル大辞泉 「寝る」の意味・読み・例文・類語

ねる【寝る/×寐る】

[動ナ下一][文]ぬ[ナ下二]
眠りにつく。寝床に入る。睡眠をとる。眠る。「ぐっすりた」「ねる間も惜しんで働く」
病気で床につく。寝込む。「風邪で二、三日ていた」
からだを横たえる。また、そのような状態で休む。「ながら本を読む」「大の字にねる
本来立っているもの、縦のものが横になる。「髪の毛がねる」「活字ている」
共寝をする。同衾どうきんする。
商品が売れずに残っている。また、資金が動かない状態にある。「暖冬冬物ている」
味噌や酒などが仕込まれた状態である。また、こうじが熟成する。
醤油しょうゆさせてしばし月見る/猿雖」〈猿蓑
眠る[用法]
[類語](1眠る寝付く寝入る寝込む眠り込む眠りこける熟睡する熟眠する安眠する就眠するまどろむ転寝うたたねする仮寝かりねする仮睡する仮眠する一眠りする一寝入りする就寝する就床する就褥しゅうじょくする床に就く睡眠ねんね快眠睡臥すいが昏睡こんすい居眠り爆睡惰眠嗜眠夢寐一睡不眠白河夜船枕を高くする寝溜め・寝つきが悪い・寝苦しいしんに就く(尊敬)お休みになる・御寝ぎょしんなる/(3せる横たわるまくらする寝転ぶ寝転がる寝そべる横臥おうがする安臥あんがする仰臥ぎょうがする伏臥ふくがする側臥そくがする横になる倒れる卒倒する・昏倒する/(5性交交合情交セックスファックエッチ交接交尾性行為房事同衾共寝夜伽性交渉性生活夫婦生活合歓関係抱く愛し合う枕をわす夜の営み

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寝る」の意味・読み・例文・類語

ねる【寝・寐】

  1. 〘 自動詞 ナ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]〘 自動詞 ナ行下二段活用 〙
  2. からだを横たえる。また、宿泊する。眠る。
    1. (イ) からだを横たえて休む。臥(ふ)す。
      1. [初出の実例]「今造る久邇(くに)の都に秋の夜の長きに独り宿(ぬる)が苦しさ」(出典万葉集(8C後)八・一六三一)
      2. 「いかになりぬるにかと思ひつづくるに、いもねられず。目もさましてねたるに」(出典:和泉式部日記(11C前))
    2. (ロ) 異性と共寝(ともね)をする。同衾(どうきん)する。性交を婉曲にいうばあいにも用いる。
      1. [初出の実例]「我が率(ゐ)(ネ)し 妹は忘れじ 世の尽(ことごと)に」(出典:古事記(712)上・歌謡)
      2. 「天皇、后と大安殿に寝(ネテ)婚合したまへる時に〈興福寺本訓釈 寝 禰天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    3. (ハ) 宿泊する。とまる。旅寝する。
      1. [初出の実例]「多遅比野に 泥(ネ)むと知りせば 防壁(たつごも)も 持ちて来(こ)ましもの 泥(ネ)むと知りせば」(出典:古事記(712)下・歌謡)
    4. (ニ) 眠りにつく。ねむる。寝入る。
      1. [初出の実例]「春なればうべも咲きたる梅の花君を思ふと夜寝(よい)も禰(ネ)なくに」(出典:万葉集(8C後)五・八三一)
      2. 「ねてもさめてもわすれぬは、都の遊びなりけらし」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)湊)
    5. (ホ) 病気になって床につく。寝こむ。「流感で一週間も寝た」
  3. 物が倒れる。
    1. [初出の実例]「ねたとは、たをれたること」(出典:新撰大阪詞大全(1841))
    2. 「鬢が寝ないで変でございませうね」(出典:桑の実(1913)〈鈴木三重吉〉二五)
  4. 返さないでいる。
    1. [初出の実例]「多くの借銭も寝(ネ)伏見の里に、今は謡の師をして」(出典:浮世草子傾城色三味線(1701)京)
  5. 十分活用されない状態になる。特に、売れゆきが悪く商品が残ったり、資金が固定して生かされなくなったりすることをいう。
    1. [初出の実例]「資本(もと)がなくちゃ駄目だよ。金の寝る商売だからね」(出典:あらくれ(1915)〈徳田秋声〉六五)
  6. ゲームや戦いなどの時、その回を休む。
    1. [初出の実例]「四人なら誰れか寝(ネ)ますから、寝(ネ)た人が後見をすればいいんですもの」(出典:暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉三)
  7. みそ、しょうゆ、酒などが仕込まれた状態である。
    1. [初出の実例]「浜名納豆は〈略〉よく合せて、ねさせてこもをふたにして、三日ばかり置てみれば、よくね申候」(出典:料理物語(1643)二〇)

寝るの補助注記

( 1 )同義語として名詞「寝(い)」に動詞「寝(ぬ)」が付いた「いぬ」があり、「いをぬ」の形などで用いることも多かった。
( 2 )類義語には「ねむる」がある。→「ねむる(眠)」の補注

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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