(読み)ウ

デジタル大辞泉 「烏」の意味・読み・例文・類語

う【烏】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ウ(呉) オ(ヲ)(漢) [訓]からす いずくんぞ
〈ウ〉
カラス。「烏合
黒い。黒。「烏鷺うろ
太陽。「烏兎うと金烏
反問を表す助字。いずくんぞ。「烏有
〈からす(がらす)〉「明烏あけがらす旅烏三羽烏
[難読]烏賊いか烏竜茶ウーロンちゃ烏頭うず烏帽子えぼし烏滸おこ

からす【×烏/×鴉】

スズメ目カラス科カラス属の鳥の総称。全長33~61センチ。全体に黒色か、黒に灰色や白色の部分をもつ。くちばしが大きく、雑食性南アメリカニュージーランドを除く世界中に約40種が分布。日本では、ハシブトガラスハシボソガラスが全国に生息する。
1が黒いところから》くろうと。
1の性質から》
㋐口うるさい人。
㋑よく物忘れをする人。
㋒意地のきたない人。
㋓その辺りをうろつく人。「旅―」
物の名などに付けて、色の黒いことを表す。「―猫」「―蛇」「―石」
[類語]懸巣かけすかささぎ尾長

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「烏」の意味・読み・例文・類語

からす【烏・鴉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. カラス科の鳥のうち、全身黒色で大形の陸鳥の総称。全長五〇~六〇センチメートルぐらいで、雌雄とも光沢がある。人家付近にすむことが多く、雑食性でネズミカエル、昆虫、穀物、果実などを食べる。春、樹頂近くに巣をつくる。知能は高く鳥類中最も進化した類とされる。日本では、くちばしの太いハシブトガラスと、細いハシボソガラスがふつう。ひもすどり。かしましどり。

▼からすの子《 季語・夏 》

  1. [初出の実例]「可良須(カラス)とふ大軽率鳥(おほをそどり)の真実(まさで)にも来まさぬ君を児(こ)ろ来(く)とそ鳴く」(出典万葉集(8C後)一四・三五二一)
  2. の姿を図案化したもの。
    1. (イ) 熊野権現から出す牛王(ごおう)の神符。これには同社の神使といわれる烏が図案化されており、江戸時代の遊里などの起請文にはこの神符の裏側が用いられた。
      1. [初出の実例]「熊野を勧請神楽願西 堅の血判烏が事は成次第」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第三二)
    2. (ロ) 烏をかたどった紋所の名。舞い違い烏、三羽烏、八羽烏などの種類がある。
  3. 形や色がに似ているもの。
    1. (イ) 女性が結髪のときに用いる添え髪。髢(かもじ)
      1. [初出の実例]「奥様のおぐしにとんび烏なし」(出典:雑俳・柳多留‐二八(1799))
    2. (ロ) ( 黒い頭巾を被っているところから ) 「うたびくに(歌比丘尼)」の異称
      1. [初出の実例]「からすめはかへるにたかは見せを出し」(出典:雑俳・川柳評万句合‐安永四(1775)義五)
    3. (ハ) 黒くつやのある色。
    4. (ニ) 筆で紙に罫(けい)を引く時、あやまって墨が広がった部分。
      1. [初出の実例]「俗に、界行紙を作る筆の、あまりて、墨つきたるを、からすといふ」(出典:随筆・秉穂録(1795‐99)一)
    5. (ホ) ( 黒いことをもじって ) 玄人(くろうと)
  4. 性質や行動がと似ているもの。
    1. (イ) 声高くうるさく言いたてる人。口やかましい人。
    2. (ロ) よく物忘れをする人。
    3. (ハ) 意地がきたない人。
    4. (ニ) あたりをうろついている人。また、そのためにその土地や道などにくわしい人。「旅がらす」「阿波座がらす」など。
  5. 船遊女をいう。
    1. [初出の実例]「一伊豆国 下田湊 此所に烏と唱候女、人目を忍、又者丑と唱候女、人目を忍、舟宿へ参り、水主者へ身売を進め」(出典:四井屋久兵衛廻船記録‐隠売女御尋につき願書写(1844))
  6. からすがね(烏金)」の略。
    1. [初出の実例]「取られる金がありゃあ、烏金(カラス)でも貸すわえ」(出典:歌舞伎・舛鯉滝白旗(閻魔小兵衛)(1851)大切)

烏の語誌

古事記‐中」に、神武東征の際に先導をする八咫烏(やたがらす)が見え、「日本書紀」以下の史書に、赤烏・白烏などの色変わりの烏が瑞鳥とされたことが見られる。また、のように熊野権現の牛王の神符に図案化された烏が見られるなど、古来、神的、霊的な存在とされてきた。しかし、に挙げた「万葉‐三五二一」で「おほをそどり(をそ=軽率の意、おおあわてものの鳥)」と呼ばれたり、「枕草子」に、「にくきもの」として挙げられたりする例もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「烏」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 10画

[字音] ウ・オ(ヲ)
[字訓] からす・ああ・なんぞ

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
〔説文〕四上に「孝鳥なり」とし、古文の字二形をあげる。金文の字形は死烏を懸けた形。鳥害を避けるためのもので、羽を縄にかけわたした形は於。烏・於はともに感動詞にも用いるが、もと鳥を追う声であろう。〔新字鏡〕にを「からす」と訓するが、〔説文〕に「居なり」とみえ、はしぶとからすをいう。

[訓義]
1. からす。
2. ああ。
3. 焉・安・悪・何と通じて、疑問副詞に用いる。なんぞ、いずくんぞ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 カ良須(からす) 〔名義抄〕烏 カラス・クロシ・イヅクゾ 〔字鏡集〕烏 カラス・クロシ・イカデカ・イカンゾ・コレ・ココニ・コトニ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に(鵲)・焉を属する。は履の象形、焉も烏に従う形の字ではない。

[語系]
烏・惡(悪)aは安an、焉ianと声近く通用する。(雅)eaが烏の本字本音、雅は楚烏、また卑居という。

[熟語]
・烏暗・烏衣烏鳶・烏員烏喙・烏角烏丸・烏鬼・烏巾・烏・烏乎・烏・烏香・烏合・烏紗・烏雑・烏糸・烏師・烏漆・烏鵲・烏集・烏署・烏薪・烏棲・烏蟾・烏扇・烏賊・烏台・烏啄・烏貪・烏・烏・烏藤・烏髪・烏皮・烏鬢・烏哺・烏宝・烏帽・烏木・烏有・烏闌・烏竜・烏輪・烏烏・烏号・烏
[下接語]
寒烏・暁烏・金烏・群烏・孝烏・慈烏・夕烏・楚烏・霜烏・烏・朝烏・烏・烏・日烏・晩烏・夜烏・野烏・陽烏・林烏・老烏

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「烏」の解説

烏 (カラス)

学名:Takifugu rubripes chinensis
動物。フグ科の海水魚

烏 (カラス)

動物。カラス科に属する鳥の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【被り物】より

…漆で塗り固めた極端に様式化したものである。直衣(のうし)が着用されるようになると,奈良時代の圭冠から烏帽子(えぼし)が生まれ,公家武家ともに用いた。もとは黒の紗,絹などで髻(もとどり)をそのままにしてかぶれるように,柔らかく袋状に作った日常的な被り物であったのが,平安時代になって黒漆塗りのものとなり,後代にはもっぱら紙で作られるようになった。…

※「烏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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