(読み)ソウ

デジタル大辞泉 「総」の意味・読み・例文・類語

そう【総〔總〕】[漢字項目]

[音]ソウ(漢) [訓]ふさ すべて すべる
学習漢字]5年
多くの物事を一つに締めくくる。「総括総合
全体をまとめて取り締まる。「総監総裁総長総統総督総理
全部。すべて。「総意総会総額総数総力総選挙
何本もの糸を一か所で締めて垂らしたもの。ふさ。「総角そうかく総状花序
上総かずさ国、また、下総しもうさ国。「総武/房総
[名のり]のぶ・みち
難読総角あげまき上総かずさ下総しもうさ

そう【総】

[名]すべてのもの。全体。
大勢の川を渡さん時、―を力にして渡るべし」〈盛衰記・三五〉
[接頭]名詞に付いて、全部の、すべての、という意を表す。「収入」「トン数」

ふさ【総/房】

糸を束ねて、先端を散らし垂らしたもの。「帽子の―」
花や実が群がり生じて垂れているもの。フジの花、ブドウの実など。
袋の形になってついているもの。ミカン内果皮など。
[類語]

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精選版 日本国語大辞典 「総」の意味・読み・例文・類語

そう【総・綜・惣】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. すべてのもの。あらゆるもの。全体。→そうに(総━)
      1. [初出の実例]「以前越中守平朝臣盛俊、宜丹波国諸庄園総下司」(出典:玉葉和歌集‐治承五年(1181)二月八日)
      2. 「汝は大勢の川を渡(わたさ)ん時、総(ソウ)を力にして渡るべし」(出典:源平盛衰記(14C前)三五)
    2. ( 惣 ) 南北朝以後、農民が村落共通の利益を守るために名主層から選ばれた乙名(長)・年寄を中心として結合した村落共同体。寄合をひらき、村の掟をつくり、入会地や灌漑用水の管理、村の自衛、犯罪の防止などを行ない、違反者には制裁を加えた。近世には、幕府や大名による農民統制の組織へと変質した。惣村。惣中。
      1. [初出の実例]「惣のしゅんしをととめらるべく候。よんて所のおきふみの状如件」(出典:菅浦文書‐貞和二年(1346)九月・近江菅浦庄惣村置文)
    3. 上の衣(きぬ)
      1. [初出の実例]「総一帖日野借用、遣之了」(出典:大乗院寺社雑事記‐寛正六年(1465)一二月二五日)
  2. [ 2 ] ( 総 ) 上総国、下総国の略。
  3. [ 3 ] 〘 接頭語 〙 漢語名詞の上に付いて、すべおさめる、すべてその状態にある、また、そのすべてを含む意などを表わす。「総大将」「総収入」など。

ふさ【総・房】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 糸や毛などで組んだ紐の一端を束ね、その先を散らし、花しべのようにしたもの。飾りとする。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    2. 一茎に群がり生えて垂れ下がるもの。藤・萩・山吹などの花、また葡萄の実などにいう。
      1. [初出の実例]「橘九捄」(出典:正倉院文書‐天平宝字二年(758)九月二七日・写経食料雑物納帳)
      2. 「ふさ長き藤」(出典:枕草子(10C終)八九)
    3. 植物「あさ(麻)」の古語。〔古語拾遺(嘉祿本訓)(807)〕
    4. に似たもの。ふさふさした花しべのようなもの。また、垂れ下がって袋状をしたもの。乳房など。
      1. [初出の実例]「かし鳥は、頭に総あり」(出典:小学読本(1873)〈田中義廉〉一)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 [ 一 ]のように、多くのものが群がり集まっているさまを表わす語。多く。たくさん。→ふさに
    1. [初出の実例]「秋の田の穂向き見がてり吾が背子が布左(フサ)手折りける女郎花(をみなへし)かも」(出典:万葉集(8C後)一七・三九四三)
  3. [ 3 ]ふさのくに(総国)

ふさなり【総】

  1. 〘 名詞 〙 多く群がり集まること。また、そのもの。〔書言字考節用集(1717)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「総」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

(旧字)
17画

(異体字)惣
人名用漢字 12画

[字音] ソウ
[字訓] あつめる・すべる・ふさ・すべて

[説文解字]

[字形] 形声
旧字はに作り、(そう)声。〔説文〕十三上に「聚めて束ぬるなり」とあり、糸の末端を結んで、まとめることをいう。〔釈名、釈首飾〕に「は束髮なり」、また〔急就、三、注〕に「は絲縷(しる)を以て之れを爲す。髮を束ぬる以(ゆゑん)なり」という。〔儀礼、喪服〕「布」の〔注〕に「は束髮なり」とあり、幼童のあげまきを「総角」、さかやきを剃らぬことを「総髪」というなど、多く結髪の語に用いる。集めて総(ふさ)状にすることをいう。糸を縦横に交えて織成するものは綜、糸の末端を結んでとめる形は屯(とん)、へり飾りすることを純という。

[訓義]
1. あつめる、すべる、まとめる。
2. むすぶ、つかねる、くくる。
3. ふさ、たば、もとゆい。
4. いとかず。
5. みな、すべて。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕 布散(ふさ)〔名義抄 フサ・フサツク・ヌヒメ

[語系]
tzong、統thongは声義近く、糸をまとめることをいう。充は大腹の象で、太く一本にまとめることを統という。・椶・tzongは同声。(そう)は布の八十縷なるもの、椶(そう)は棕櫚、(そう)は馬(ばりょう)。みな細い糸や毛の状態のものを合わせる意がある。

[熟語]
総意・総一・総角・総核・総括・総管・総監・総観・総丱・総亀・総御・総計・総・総綱・総合・総裁・総雑・総収・総緝・総集・総戎・総帥・総政・総摂・総総・総率・総体・総統・総督・総髪・総批・総務・総目・総要・総攬・総理・総領・総論・総和
[下接語]
該総・括総・監総・総・兼総・参総・悉総・出総・親総・専総・銓総・統総・納総・繁総・紛総・覧総

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【上総国】より

…旧国名。現在の千葉県の一部で,房総半島の北部を占める。
【古代】
 東海道に属する大国(《延喜式》)。…

【下総国】より

…旧国名。総州。現在の千葉県北部と茨城県南西部および埼玉県東部。…

※「総」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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