(読み)ブン

デジタル大辞泉の解説

ぶん【聞】[漢字項目]

[音]ブン(漢) モン(呉) [訓]きく きこえる
学習漢字]2年
〈ブン〉
きく。きこえる。「聞知寡聞外聞見聞上聞仄聞(そくぶん)他聞伝聞内聞博聞百聞
評判。うわさ。「異聞艶聞(えんぶん)旧聞醜聞新聞風聞名聞
においをかぐ。「聞香
〈モン〉
きく。「声聞(しょうもん)奏聞相聞聴聞前代未聞如是我聞(にょぜがもん)
うわさ。「名聞(みょうもん)
[名のり]ひろ
[難読]聞説(きくならく)・聞道(きくならく)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

きか‐・す【聞】

[1] 〘他サ下二〙 ⇒きかせる(聞)
[2] 〘他サ五(四)〙
※玉塵抄(1563)一〇「小わらうべわものを云いをしえきかしつべい者ぢゃよと云たぞ」

きかせ【聞】

〘名〙 (動詞「きかせる(聞)」の連用形の名詞化) 歌舞伎下座音楽の一つ。定まった位置で演奏する下座音楽とは別に、事件の経過に直接関係ある音を、揚げ幕の中や舞台裏で聞かせるもの。「松浦の太鼓」の陣太鼓、「め組の喧嘩」の半鐘など、鳴物を用いることが多い。

きか‐・せる【聞】

〘他サ下一〙 きか・す 〘他サ下二〙
① 聞くようにしむける。言葉でわからせる。きかす。
※竹取(9C末‐10C初)「かくや姫のもとには、けふなん天竺へ石の鉢とりにまかるときかせて」
源氏(1001‐14頃)初音「みなおのおの、思事の道々あらんかし。すこしきかせよや」
② (話や歌などが巧みで)思わず聞き入るようにさせる。きかす。

き・ける【聞】

[1] 〘他カ下一〙 聞かせる。申し聞ける。
※四河入海(17C前)二二「敏仲は〈略〉天子に物を講じてきけまいらせらるる人なれば」
※洒落本・道中粋語録(1779‐80頃)「わしがにゃア読みづれへ、よんできけさっしゃりまし」
[2] 〘カ下一〙
① (「聞く」の可能動詞) 聞くことができる。聞く値打がある。
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)五「些(ちと)咄しが聞けて来そうだゼ」
② 聞こえる。
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉続「私が言ふちゃ変に聞けるか知らねへが」

きこ・う きこふ【聞】

〘自ハ下二〙 (ヤ行下二段活用の動詞「きこゆ」から転じて、室町頃から用いられたもの) =きこえる(聞)
御伽草子あきみち(室町末)「その身きこふる大力大剛のつわものなり」
浄瑠璃信田小太郎(1702頃)三「そりゃこそ耳が聞ふるは」
[補注]未然形や連用形は、「きこゆ」と区別しにくいので、明らかな例だけをあげた。また、連体形で「る」の落ちた例も見られる。「芭蕉考‐幻住菴記」の「筑紫にきこふ高良山の僧正」など。

きこえ【聞】

〘名〙 (動詞「きこえる(聞)」の連用形の名詞化)
① 耳にきこえること。
② (世間にきこえることの意から) うわさ。とりざた。評判。また、世間の思わく。世間てい。外聞。
※伊勢物語(10C前)五「二条の后に忍びてまゐりけるを、世のきこえありければ」
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)六「傾城遊女を屋敷へ入ては他所(よそ)の聞へ、殊にかほよ殿の爺御(ててご)の手前も立ぬと言ふて」
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「一口に自活とか独立とか云ふと聞えは好いが」
③ 評判を立てること。言いふらし。いいまえ。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「このひんがし山なる寺の塔の会し給ふべしといふ聞えをなして」

きこ・える【聞】

[1] 〘自ア下一(ヤ下一)〙 きこ・ゆ 〘自ヤ下二〙 (動詞「きく(聞)」に、受身・自発の古い助動詞「ゆ」の付いた「聞かゆ」から。また、「聞く」の自発形とも)
① 音声が耳に入る。聴覚に感じる。
※古事記(712)下・歌謡「天(あま)飛ぶ 鳥も使そ 鶴(たづ)がねの 岐許延(キコエ)むときは 我が名問はさね」
※虎明本狂言・不聞座頭(室町末‐近世初)「わごりょはみみがきこゆるといふても、目が見えぬ」
② 聞いて、これこれだと受けとられる。聞いて知られる。
※源氏(1001‐14頃)花宴「いと若うをかしげなる声の、なべての人とはきこえぬ」
※徒然草(1331頃)七三「口にまかせて言ひ散らすは、やがて浮きたることときこゆ」
③ 意味がわかる。理解できる。納得できる。
※源氏(1001‐14頃)末摘花「御歌もこれよりのはことわりきこえてしたたかにこそあれ」
※仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)五「土と石との読みかへやうは聞えたれども、山の無き所に、山といふ名をつけたる故は聞えず」
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五「ハハアなるほどなるほど。きこへました」
④ 世に広く伝わる。評判される。
※古今(905‐914)仮名序「ちかき世に、その名きこえたる人は」
※しん女語りぐさ(1965)〈唐木順三〉一「私の父は佐一と申しました。多少は聞えた琵琶法師でした」
⑤ 嗅覚に感じる。におう。
[2] 〘他ヤ下一〙 きこ・ゆ 〘他ヤ下二〙
[一] 他に対して言うのを、自然にその人の耳にはいるという自発表現で表わしたもの。人に言う。告げる。また、噂する。
※古事記(712)下・歌謡「道の後(しり) 古波陀嬢子を 神の如 岐許延(キコエ)しかども 相枕まく」
[二] (一)から、言う対象を敬う謙譲語となったもの。一説に自己の「言う」動作を、相手に聞かれるという受身表現から転じたともいう。「お耳に入れる」気持の、間接表現から成立した敬語。
① 直接「言う」場合の、「言う」対象を敬う謙譲語。申しあげる。
※続日本後紀‐嘉祥二年(849)三月庚辰「長歌詞曰〈略〉狭牡鹿(さをしか)の 膝折反し 候(さもらひて)(きこえ)ぞ言(まを)す 何(いか)に以聞(きこエ)む」
② 人を介して、また、消息などで間接に「言う」場合の、「言う」対象を敬う謙譲語。伝言で申しあげる。お便り申しあげる。また、手紙などをさしあげる。
※後撰(951‐953頃)恋二・六九三・詞書「男の〈略〉山ごもりしてなん久しうきこえざりつると言ひ入れたりければ」
③ 自己の思いや願望などを知らせる、また、言いよるなどの意の謙譲語。望みなどを耳にお入れ申しあげる。お願い申しあげる。お望み申しあげる。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「暇(いとま)きこゆれども、をさをさ許し給はずなどあれば」
※源氏(1001‐14頃)若菜上「前斎院をもねんごろにきこえ給ふやうなりしかど」
④ その人の名、また、地位、状態などを、世間の人が…と申しあげるの意で、呼ばれる人を敬う。
(イ) 名前や地位などを…と申しあげる場合。
※伊勢物語(10C前)九八「昔、おほきおほいまうちぎみときこゆるおはしけり」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「にほはしさは、たとへん方なくうつくしげなるを、世の人光る君ときこゆ」
(ロ) その人が…と呼ばれるある地位、状態にあるの意で、…と申しあげる場合。
※古今(905‐914)春上・八・詞書「二条の后の、東宮の御息所ときこえける時」
⑤ (近世文語文で用法が変化し、相手の自己に対する動作に用いて) 聞かせる。聞かせてくれる。
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)汐越の松「金沢の北枝といふもの〈略〉所々の風景過さず思ひつづけて、折節あはれなる作意など聞ゆ」
[三] 補助動詞として用いる。他の動詞に付いて、その動詞の動作の対象を敬う謙譲語。…申しあげる。
※続日本後紀‐嘉祥二年(849)三月庚辰「長歌詞曰〈略〉行(おこな)へる 此(これ)の所為(しわざ)の態を何(いか)にして 陳(の)べ聞(きこエ)むと」
※竹取(9C末‐10C初)「竹の中より見つけ聞えたりしかど、〈略〉わがたけ立ち並ぶまで養ひ奉りたるわが子を、なに人か迎へきこえん」
[語誌](1)相手の耳に聞こえるように言う婉曲的な表現であるところから、受け手に敬意を払う謙譲語となったが、院政時代になると急速に衰え、動詞は「申す」に、補助動詞は「参らす」「申す」などに取って代わられ擬古文に残るだけとなる。
(2)(一)⑤の例としては、従来「今昔‐三〇」の「丁子の香極(いみじ)く早う聞ゆ」が引用されるが、この「聞ゆ」は、現在では「かがゆ」とよむべきものと考えられている。→かがゆ

きこ・す【聞】

〘他サ四〙
① (「聞く」に、尊敬の助動詞「す」の付いた「聞かす」の変化した語か) 「聞く」の尊敬語。お聞きになる。聞かす。
※古事記(712)上・歌謡「遠々(とほどほ)し 高志(こし)の国に 賢(さか)し女(め)を 有りと聞かして 麗(くは)し女を 有りと伎許志(キコシ)て」
② (①の変化したものともいうが、あるいは、「言って聞かせる」の意で、「(上位者が)言い聞かせる」の気持から尊敬語化したものか) 「言う」の尊敬語。おっしゃる。のたまう。
※古事記(712)下・歌謡「八田の 一本菅(ひともとすげ)は 独り居りとも 大君し よしと岐許佐(キコサ)ば 独り居りとも」
※岩瀬本大鏡(12C前)五「なにごとのたまふ殿にかあらん。かくきこし給へれば」

きこ・ゆ【聞】

〘自・他ヤ下二〙 ⇒きこえる(聞)

ぶん【聞】

〘名〙
① 聞くこと。また、聞いて知ること。
※都鄙問答(1739)四「様子を聞て病を知るを聞(ブン)と云」
② 令制で、太政官の論奏の奏文の奥上に天皇の裁可のしるしとして宸筆で記される字。大宝令では「可」。また、弾正台の奏弾の文書にも宸筆で書かれる。平安以後は衛府の舎人を任命し内侍を通じて上奏される衛府擬舎人奏(えふぎとねりのそう)にも書かれるようになった。御画聞(ごかくぶん)ともいう。〔令義解(718)〕

ぶん‐・す【聞】

〘他サ変〙 「言う」の謙譲語。申し上げる。申す。
報徳記(1856)三「烏山侯より依頼の条を以て聞(ブン)す」

もん【聞】

〘名〙 能楽で、演者が観客に与える効果のうち、主として聴覚に訴える面白さ、音曲(謡)の面白さ。
※花鏡(1424)比判之事「如此能の当座を聞より出くる能とは申也」

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