(読み)ゲイ

デジタル大辞泉 「芸」の意味・読み・例文・類語

げい【芸〔藝〕】[漢字項目]

[音]ゲイ(呉)(漢)
学習漢字]4年
草木を栽培すること。「園芸種芸農芸
修練によって得た技能。「芸術芸人芸能演芸学芸技芸曲芸工芸至芸手芸多芸武芸文芸無芸六芸りくげい
安芸あき国。「芸州
[補説]「うん」は香草の名で、「藝」の新字体「芸」とは別字。
[名のり]き・すけ・のり・まさ・よし

げい【芸】

学問や武術・伝統芸能などの、修練によって身につけた特別の技能・技術。技芸。「は一生」
人前で演じる特別のわざ。演芸・曲芸など。「猿にを仕込む」
[類語]演芸芸能演技芸道一芸遊芸芸事話芸大道芸

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「芸」の意味・読み・例文・類語

げい【芸・藝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「芸」は元来は別字 )
  2. 修練によって身につけた技術。
    1. (イ) 特に、学問や武術の技能。
      1. [初出の実例]「勅僧通徳。恵俊並還俗。〈略〉為其芸也」(出典:続日本紀‐文武四年(700)八月乙丑)
      2. [その他の文献]〔礼記‐少儀〕
    2. (ロ) 芸術や遊芸の技能。演技。芸ごと。芸能。
      1. [初出の実例]「芸はこれつたなけれども、人の耳をよろこばしめむとにはあらず」(出典:方丈記(1212))
    3. (ハ) 軽わざや奇術などの曲芸。また、犬や猿など動物がする、人に仕込まれた演技。見世物
      1. [初出の実例]「此国の猿は素直にして芸を躾(しつ)くるによきと云ふ」(出典:歌謡・山家鳥虫歌(1772)下・筑前)
    4. (ニ) 物事を鮮やかにやりとげる能力。また、そのやりかた。
      1. [初出の実例]「君だったのか。垂井ひとりの芸ぢゃないとは睨んでゐたが」(出典:普賢(1936)〈石川淳〉五)
  3. げいしゃ(芸者)」の略。
    1. [初出の実例]「悦さん、おめへ今の芸(ゲイ)をしってるか」(出典:洒落本・繁千話(1790))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「芸」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(旧字)
19画

(異体字)
15画

[字音] ゲイ
[字訓] うえる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
旧字はに作り、(げい)声。芸はの常用字体であるが、別に耕耘除草をいう(うん)という字がある。正字は(げい)に作り、〔説文〕三下に「種(う)うるなり」と訓し、(りく)と(けき)とに従うとする。土塊をもち、種芸する形と解するものであろう。卜文の字形苗木を奉ずる形であり、金文にはこれを土に植える形に作る。土は(社)の初文ともみられ、特定の目的で植樹を行う意であろう。すなわち神事的、政治的な意味をもつ行為である。〔毛公鼎〕には「小大の楚賦(そふ)(賦貢)を(をさ)む」という。〔経典釈文〕に、唐人は種の字に、六芸(りくげい)の字にはを用いるというが、二字とも〔説文〕にみえず、〔説文〕のも金文にに作る字であろう。金文では遠邇(えんじ)の邇の字として用いる。

[訓義]
1. うえる、草木をうえる。
2. わざ、才能、六芸。
3. のり、さだめ、きわまり。
4. まと、射的。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 宇々(うう)〔名義抄 ウウ・マト・ナル・ナレタリ・ヨシ・オキテ・シヅカナリ・ナズラフ・ツネニ・ヲサム・ナリハヒ・ユタカナリ・ワザ・ウク・ケ

[声系]
〔説文〕に(げい)声として(せつ)・(せつ)・熱(ねつ)・(ねつ)・(ししゆう)、また〔新附〕の勢など合わせて十一字を収めるが、声義の通じがたいものが多く、執(しつ)声の字と混乱しているようである。執は幸(手械(てかせ))を手に加えている形。植樹を示すと、また声義が異なる。

[熟語]
芸園芸苑・芸学芸妓・芸技・芸業・芸極・芸士・芸事・芸術・芸準芸植芸祖芸壇・芸人・芸能・芸美・芸府・芸文・芸林
[下接語]
一芸・園芸・演芸・学芸・伎芸・技芸・曲芸・工芸・巧芸・耕芸・才芸・雑芸・至芸・手芸・殊芸・種芸・樹芸・術芸・多芸・道芸・農芸・博芸・武芸・文芸・民芸・無芸・遊芸・六芸

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「芸」の意味・わかりやすい解説

芸 (げい)

歌舞伎役者の芸談集。6世尾上菊五郎著。1946年刊。各章ごとの内容は次のとおり。〈六代目の襲名〉には亡父5世菊五郎の死後,9世市川団十郎の介添えで襲名した際の披露狂言《曾我の対面》の役々の詳しい演技ノート。〈市村座行進曲〉は,その後市村座にこもって修業した《忠臣蔵》のおもな役を解説する。〈演出口伝小話〉は型についての秘伝・工夫・実話などを集めている。〈親譲りの芝居〉は《六段目》の勘平と《入谷》の直次郎の音羽屋型について。〈団十郎の狂言〉は《車引》の梅王丸と《勧進帳》の荒事の型について。〈追善と団菊祭〉は師と父の追慕。〈芸術学会講演〉は芸談講演の速記。〈日本の舞踊劇〉は《三番叟》と《道成寺》の秘伝を述べたものである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【芸亭】より

…日本最初の公開図書館とされる。芸亭院ともいう。《続日本紀》天応1年(781)6月条の宅嗣の伝などによれば,彼は自宅を改造して阿閦寺(あしゆくじ)を建立し,寺の南東隅に外典(げてん)の書庫を中心とする一区域を設けて芸亭と名付け,好学者に自由に閲覧させたという。…

【歌舞伎】より

…歌舞伎は,舞楽,能,狂言,人形浄瑠璃などとともに日本の代表的な古典演劇であり,人形浄瑠璃と同じく江戸時代に庶民の芸能として誕生し,育てられて,現代もなお興行素材としての価値を持っている。明治以後,江戸時代に作られた作品は古典となり,演技・演出が〈型(かた)〉として固定したものも多いが,一方に新しい様式を生み出し,その様式にもとづいた作品群を作りつづけてきた。…

【芸能】より

…芸術諸ジャンルのうち,人間の身体をもって表現する技法と形の伝承をいう。音楽,舞踊,演劇,演芸などの類がそれである。…

※「芸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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