衆(漢字)

普及版 字通 「衆(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(異体字)
11画

[字音] シュウ
[字訓] おおい

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
目+三人。目は古くは囗(い)の形に作り、邑の外郭を示す。その下に人の居する形は邑。三人を列する形は衆であるから、衆とは邑人をいう語である。〔説文八上に「多きなり」とあり、衆多の意とする。卜文の字形に、囗を日の形にしるすものがあり、郭沫若熱の日の下に労働する奴隷の意としたが、卜文では囗(邑)に従う字形が多い。金文に目に従う字が多くなるのは、神の徒隷とされた臣や民が、目の形に従い、あるいは目を傷なう形にしるされていることと関係があろう。金文には衆僕の語があり、戦争に従い、農耕に従う例がある。衆は集合名詞的な語であるから、特定の氏人としての身分を失ったものの称と考えられる。

[訓義]
1. おおい、多くの人、不特定の多くの人。
2. たみ、けらい、庶民。
3. 多くのもの、多くのこと。

[古辞書の訓]
名義抄〕衆 モロモロ・オホシ・イクサ・アマタ・ムラガル

[部首]
部首(ぎん)。〔説文〕〔玉〕に衆・聚など三字を属する。は从(從)・比と同じ構造法の字。単独に用いる例がなく、岐周のに仮借する例が〔書、泰誓、偽孔伝〕にみえる。

[声系]
〔説文〕に衆声としての二字を収める。は水の会集するところ、雨をいう。

[語系]
衆・tjium、dzumは声義近く、衆の声義を承ける。tzim、漸dziamもこの系統の語であろう。

[熟語]
衆悪・衆医・衆雨衆怨衆夥・衆寡・衆皆衆喙・衆客衆喊衆毀衆議衆竅・衆軍・衆芸・衆劇・衆賢・衆言・衆口・衆公・衆行・衆座・衆思・衆士・衆子・衆司・衆事・衆辞衆疾衆聚衆庶衆胥・衆祥・衆情衆殖衆辱・衆神衆人・衆世衆生・衆盛・衆籍・衆説・衆多・衆端・衆智・衆兆・衆鳥・衆・衆哲・衆怒衆匿・衆難・衆衆輩・衆非・衆費・衆美・衆魅・衆賓・衆夫・衆物・衆憤・衆兵・衆辟・衆峯・衆芳・衆望・衆謀・衆謗・衆万・衆妙・衆民・衆目・衆誉・衆吏・衆流・衆慮・衆力・衆霊・衆論
[下接語]
安衆・殷衆・介衆・合衆・観衆・義衆・蟻衆・鳩衆・御衆・群衆・軽衆・公衆・士衆・師衆・従衆・親衆・人衆・大衆・治衆・聴衆・徒衆・万衆・撫衆・民衆・有衆・用衆・容衆・養衆・黎衆・労衆

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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