精選版 日本国語大辞典「からり」の解説
からり
〘副〙 (多く「と」を伴って用いる。古くは「くゎらり」「くはらり」とも表記)
① 堅い物が触れ合って出す、高い音を表わす語。
※古今著聞集(1254)八「車のおとはるかにきこえしかば、〈略〉むねうちさわぐに、からりとやり入るれば、いよいよ心まよひせられて」
※浄瑠璃・他力本願記(1679)二「もちたるさかづきからりとすて」
※大淵代抄(1630頃)七「四面の窓をくゎらりと開て看るに」
③ 明るく晴れわたってさわやかなさま、また、明るく広々しているさまを表わす語。
※洒落本・遊子方言(1770)更の体「とふにからりと明けんした」
④ 性格などが明るくほがらかなさま、また、気持がはれるさまを表わす語。
※火の柱(1904)〈木下尚江〉四「彼様(あんな)竹を割った様なカラリとした方」
⑤ ものがさっぱりとかわいているさまを表わす語。
※玉塵抄(1563)一九「からりとほしたことを為二魚鯁一とあり」
⑥ 物事、様子が一変するさまを表わす語。すっかり。
※俳諧・望一後千句(1652)六「火をともしぬる観音の前 かれ木にもくはらりと春の花咲て」
⑦ 残ることのないさまを表わす語。すっかり。
※巨海代抄(1586‐99)下「火を著てくゎらりと焼き払てすてられた」
※はやり唄(1902)〈小杉天外〉八「降出した雨は正午前にからり止んで」
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