(読み)カイ

デジタル大辞泉 「快」の意味・読み・例文・類語

かい〔クワイ〕【快】

[名]気持ちがよいこと。「をむさぼる」「、不快の感情
[接頭]漢語名詞に付いて、こころよい、胸のすくような、などの意を表す。「男児」「記録」
[類語]気持ちよい快い快感快楽心地よい痛快小気味よい爽快壮快快適カンファタブルすがすがしいさわやか清新清爽晴れやか晴れ晴れさっぱり楽しいうはうはほくほく笑いが止まらない嬉しい喜ばしい欣快きんかい愉快嬉嬉きき欣欣きんきん欣然きんぜん満悦御機嫌朗らか明朗陽気明るい気さく快活楽天的上機嫌晴れ晴れしいぴちぴち生き生き活発からり根明ねあか心が躍る心が弾む心を躍らせる

かい【快】[漢字項目]

[音]カイ(クヮイ)(漢) ケ(呉) [訓]こころよい
学習漢字]5年
気持ちがよい。胸のすくような感じ。「快活快感快勝快晴快楽かいらく快楽けらく欣快きんかい豪快爽快そうかい痛快不快明快愉快
病気がよくなる。「快復快方快癒全快
はやい。「快走快足快速
すばらしい。「快漢・快記録・快男児
[名のり]はや・やす・よし

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精選版 日本国語大辞典 「快」の意味・読み・例文・類語

かいクヮイ【快】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 気持よいこと。気持にかなうこと。⇔不快
    1. [初出の実例]「贍は内に才智がみちてくいとして小せびらぬちっとをごった性な者なり」(出典:玉塵抄(1563)三二)
    2. 「『正しき』状態にあるが故に快なる事は」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生と虚空)
    3. [その他の文献]〔易経‐艮卦〕
  3. はやいこと、すみやかなこと。
    1. [初出の実例]「昔吾が村里のあいだで快なすぐれ足はやの馬の龍の如なにのって」(出典:玉塵抄(1563)三六)
    2. [その他の文献]〔晉書‐王湛伝〕

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普及版 字通 「快」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] カイ(クヮイ)
[字訓] こころよい・はやい

[説文解字]

[字形] 形声
音符は夬(かい)。夬の初形はに作り、(ゆう)(手)で刃器をもつ形。これでものを分断する。その勢いは快感をさそうもので、また快速の意となる。

[訓義]
1. こころよい、よろこぶ、たのしむ。
2. するどい、はやい。
3. かならず、もっぱら。

[古辞書の訓]
名義抄〕快 ヨシ・ココロヨシ・ヤスシ・タクマシ・ヨロコブ・アヤシブ・ホム・トシ・イタム・ナゲク 〔字鏡集〕快 ココロヨシ・ヨロコブ・ヤスシ・ヨシ・ホム・トシ・タチマチ・イタム・ナゲク・アヤシブ・ワスレ・ヘシ・タクマシ

[熟語]
快意・快飲・快雨快闊・快活・快感・快眼・快挙快緊・快剣・快健・快行快哉・快士・快志・快子・快耳・快児・快事快疾・快手・快心・快人・快晴快然・快走・快速快諾・快暢・快適・快刀・快眠・快・快楽・快利・快論
[下接語]
欣快・軽快・慶快・曠快・豪快・俊快・迅快・清快・全快・壮快・爽快・痛快・不快・奔快・明快・愉快・雄快

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「快」の意味・わかりやすい解説


かい

不快とともに感情においてもっとも基本的な傾向をなすものと考えられ、その起源は古代ギリシアにまでさかのぼることができる。アリストテレスは、感情の基本を快―苦痛に置き、人間の本性に従う活動はつねに快を伴うとした。その後長い間、快と対立するものは苦痛と考えられていたが、19世紀末に心理学を実験科学として確立したドイツの心理学者ブントは、感情の三方向説を唱え、感情要素を快―不快、興奮―沈静、緊張―弛緩(しかん)の三次元とし、あらゆる感情は、これら感情要素のうえに位置づけることができると主張した。それ以来、快と不快とが対立するものと考えられるようになった。また、興奮―沈静と緊張―弛緩との二次元は、感情要素とは認めがたいとする心理学者も現れたことから、快―不快をもっとも基本的な感情とする所説が支持されて今日に至っている。

 人間には不快を避けて、快を求めようとする傾向がある。精神分析学ではこれを快感原則ということで説明しようとしているが、われわれの日常生活において多くの行動に快―不快という基本感情が随伴し、快の場合にはその行動を持続させる傾向があるのは心理学的事実である。

 また、記憶における想起で、過去の不快な体験は比較的忘却されがちであり、快の体験のほうがより多く想起されることが明らかにされている。戦場では不快な体験が多いはずだが、後年の回想では、わずかばかりの快体験が過大に思い出されて、懐旧の情に駆られるという例はこれを説明している。

[花沢成一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「快」の意味・わかりやすい解説


かい
hēdonē; pleasure

不快とともに人間の根本的感情の一つ。この感情が事実的考察の対象とされるときは心理学上の問題とされ,人生の価値,目的に関連するときは倫理学上の問題となる。いずれにしろ,その感情の持続を望む状態をいい,これに積極的価値を認める説を,快楽主義と呼ぶ。快は一時的満足にすぎず,客観的法則性がみられないところから,心理的快楽主義 (ホッブズ,ベンサム) ,個人的快楽主義 (エピクロス学派) ,公衆的快楽主義 (ベンサム,ミル) など種々の快楽説がみられる。フロイトは快を求める傾向が人間に自然にそなわっているとみなし,これを快楽原則 Lustprinzipと呼んだ。

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