(読み)ショウ

デジタル大辞泉 「少」の意味・読み・例文・類語

しょう【少】[漢字項目]

[音]ショウ(セウ)(呉)(漢) [訓]すくない すこし
学習漢字]2年
すくない。すこし。「少額少少少数少量希少僅少軽少減少些少さしょう多少
しばらく。「少憩少時
年が若い。「少女少壮少年年少幼少老少
官職で、下位のもの。「少尉少佐少納言
[名のり]お・すく・つぎ・まさ・まれ
難読少女おとめ少領すけ

すない【少】

[接頭]《「すな(少)き」の音変化》官職名を示す語に付いて、同じ官職・位階のうち下位であることを表す。「ものもうし」

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精選版 日本国語大辞典 「少」の意味・読み・例文・類語

すこしき【少】

  1. ( 副詞「すこし」と同語源 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 副詞的にも用いる ) 数量、程度が小であること。わずか。ちょっと。
      1. [初出の実例]「尾に至りて劔の刃少(スコシキ)(か)けぬ」(出典:日本書紀(720)神代上(兼夏本訓))
      2. 「少(スコシキ)取るときは、則ち小(スコシキ)福を得」(出典:世俗諺文鎌倉期点(1250頃))
    2. 容量、形が小であること。小さいこと。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
  3. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. わずかであるさま。
      1. [初出の実例]「尤も仏天をあがむべし。奉加すこしきなり、誰か助成せざらん」(出典:平家物語(13C前)五)
    2. 小さいさま。
      1. [初出の実例]「小(スコシキナル)雄雞(みにはとり)を以て、呼びて天皇の鶏と為て、毛を抜き翼を剪きて」(出典:日本書紀(720)雄略天皇七年八月(前田本訓))
      2. 「大な物も、とをうふかければ、ほそうすこしきにみゆるぞ」(出典:詩学大成抄(1558‐70頃)九)

少の語誌

( 1 )「すこし」「すこしき」「すこしく」などの形を合わせ考えると、シク活用「すこし」の存在も考えられそうであるが、次のような( イ )( ハ )の理由から認めにくい。( イ )「すこし」は単独で副詞として用いられるのに対し、訓点語などでは「すこしき」が副詞的に用いられる。( ロ )「すこしき」には名詞としての用法や、「に」「なる」を伴った形容動詞としての用法もあり、これらは、通常の形容詞にはみられないところである。( ハ )「すこしく」の形は「今昔物語集」に数例あるが、その他の確例は新しいものばかりである。
( 2 )漢文訓読文では、「おほきなり(大)」などに対応した形として「すこしき(なり)」を用い、これを名詞もしくは形容動詞として用いた。さらに、「すこしき」を形容詞とも解し、「コンテムツスムンヂ(捨世録)‐二」の「sucoxiqi(スコシキ) コトニ アラズ」のように形容詞連体形として用いたものも生じた。
( 3 )[ 一 ]の挙例のように、漢文訓読文の用例には、副詞に転用したものも多く見られるが、副詞用法としては、漢文訓読文で「すこし」「すこしき」を用い、和文で「すこし」のみを用いるという対立がある。なお、「すこしき」が「すこし」と違って、「小さい」という意味を持つのは、漢文の「小」の字義にひかれたものである。


しょうセウ【少】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 分量がすくないこと。たりないこと。また、そのもの。⇔
    1. [初出の実例]「索少即是惑情、今欲大化一レ少故、違索与大也」(出典:法華義疏(7C前)二)
    2. [その他の文献]〔易経注‐繋辞下〕
  3. わかいこと。いとけないこと。また、その人。
    1. [初出の実例]「手わけをして少でもあれ長でもあれ皆斬たぞ」(出典:史記抄(1477)七)
    2. [その他の文献]〔史記‐魯世家〕
  4. 令制で、三歳以上一六歳以下の男女の称。
    1. [初出の実例]「凡男女三歳以下為黄。十六以下為少。廿以下為中。其男廿一為丁」(出典:令義解(718)戸)

すこしく【少】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「すこし」「すこしき」を形容詞のように意識してその連用形として作り出された語 ) わずかに。ちょっと。
    1. [初出の実例]「先づ、少しく食(じきし)たるに」(出典:今昔物語集(1120頃か)一七)
    2. 「さばれ、否、呼入れよ。すこしく問はうこともあれば」(出典:武蔵野(1887)〈山田美妙〉下)

少の語誌

「すこしき」が中古に生じていたのに対し、「すこしく」は、挙例のように「今昔物語集」に数例あるほかは確例がなく、その一般化は近世以降のようである。形容動詞の「すこしき」が「わずかだ」という意味のほか「小さい」という意味でも用いたのに対して、「すこしく」は「わずかに」という意味でのみ用いる点が異なる。


すなき【少】

  1. ( 形容詞「すくなし」の連体形「すくなき」の変化した語 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙若い者のこと。
    1. [初出の実例]「長(あね)神前皇女と曰す。仲(なか)を茨田皇女と曰す。少(スナキ)を馬来田皇女と曰す」(出典:日本書紀(720)継体元年三月(前田本訓))
  3. [ 2 ] 〘 接頭語 〙すない(少)

すこ【少】

  1. 〘 副詞 〙 ( 副詞「すこし」の略。「と」を伴って用いることもある ) すこし。ちょっと。
    1. [初出の実例]「物言いにすこくせの有娵をとり」(出典:雑俳・川柳評万句合‐宝暦一二(1762)信三)
    2. 「きこうの手のほりものをすことはいけんいたしたい」(出典:洒落本・妓者呼子鳥(1777)二)

すくな【少】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 形容詞「すくない」の語幹から ) すくないこと。また、そのさま。多く名詞の下に付けて形容動詞を作る。「人少な」「言少な」「文字少な」など。
    1. [初出の実例]「やせやせに、御髪(ぐし)すくななるなどが、かくそしらはしきなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)

すない【少】

  1. 〘 接頭語 〙 ( 「すなき(少)」の変化した語 ) 官職名の上について、同じ官で低い方をいう語。中古に使われた。「少弁(すないおおともい)」「少納言(すないものもうし)」など。⇔大(おおい)

すこうし【少】

  1. 〘 副詞 〙 副詞「すこし(少)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「さっきのつぶやきが 投げやるやうに 悲しげに こんどは少うし腹を立ててゐるやうな調子できこえました」(出典:一千一秒物語(1923)〈稲垣足穂〉 A MEMORY )

すこし【少】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「すこし」「すこしき」「すこしく」から想定された形容詞形 ) ⇒「すこしき(少)」の語誌

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普及版 字通 「少」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] ショウ(セウ)
[字訓] すくない・すこし・おとる・わかい

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
小さな貝や玉を綴った形。〔説文〕二上に「多からざるなり」とし、字を丿(へつ)声とするが、声が合わない。貝や玉を綴ったものを・瑣(さ)という。

[訓義]
1. すくない、すこしく、小さい。
2. そしる、かろんずる。
3. おとる、おとしめる。
4. しばらく、かすか。
5. おとろえる、へる、かける。
6. わかい、おさない。

[古辞書の訓]
和名抄〕少女 日本紀私記に云ふ、少女、乎度米(をとめ) 〔名義抄〕少 スクナシ・ワカシ・シバラク・スコシ・ヤウヤク・カク・スコシキ・ナシ・マレナリ・ヲサナシ・イトキナシ・オボロケ・オロカナリ/多少 ソコバク

[声系]
〔説文〕に少声として眇・杪・秒・鈔など九字を収める。また妙をの字形に作るが、〔老子〕の文によって作られたものであろう。〔馬王堆帛書〕の〔老子〕に字を眇に作る。〔釈文〕によると、〔王粛本〕も同じ。

[語系]
少sji、小siは声近く、通用の例が多い。叔sjiuk、稍sheも同系の語で、若く、微小のものをいう。小は大小、少は多少の意に用いる語である。*語彙は小字条参照。

[熟語]
少焉・少恩・少・少間・少宦・少閑・少妓・少許・少君・少頃・少憩・少見・少言・少孤・少寤・少好・少刻・少才・少妻・少子・少字・少児・少時・少日・少者・少弱・少主・少須・少女・少少・少小・少食・少寝・少数・少雪・少選・少壮・少息・少男・少長・少等・少・少童・少年・少帛・少半・少婢・少婦・少腹・少文・少聞・少母・少妹・少吏・少留・少慮・少牢・少禄
[下接語]
悪少・過少・寡少・簡少・希少・少・極少・少・群少・軽少・健少・減少・好少・些少・最少・弱少・斟少・鮮少・多少・太少・単少・長少・徳少・年少・薄少・微少・乏少・幼少・劣少・老少

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