(読み)リュウ

デジタル大辞泉 「柳」の意味・読み・例文・類語

りゅう【柳】[漢字項目]

常用漢字] [音]リュウ(リウ)(漢) [訓]やなぎ
リュウ
木の名。ヤナギ。特に、シダレヤナギ。「柳絮りゅうじょ柳緑花紅垂柳翠柳すいりゅう楊柳花柳界
柳の枝のように細いこと。「柳眉りゅうび柳腰蒲柳ほりゅう
〈やなぎ〉「柳腰糸柳川柳
難読青柳あおやぎ柳葉魚ししゃも柳川やながわ

やなぎ【柳】

ヤナギ科ヤナギ属の落葉樹総称。一般に湿地多く低木または高木で、葉はふつう互生する。雌雄異株。主に早春、花が穂状か尾状につき、種子は白毛があって風で飛び、柳絮りゅうじょという。街路樹や庭園樹などにされ、材は器具・薪炭用。コリヤナギネコヤナギなど多くの種があるが、葉の細長いシダレヤナギをさすことが多い。ヤナギ科の双子葉植物は約350種が北半球の温帯地域を中心に分布し、ケショウヤナギオオバヤナギヤマナラシポプラなども含まれる。 春》「田一枚植ゑて立ち去る―かな/芭蕉
かさねの色目の名。表は白、裏は青、または萌葱もえぎ柳襲
柳色」の略。
[類語]猫柳川柳枝垂れ柳青柳

やぎ【柳】

やなぎ。多く他の語と複合して用いられる。「青」「川
「恋しけば来ませわが背子垣内かきつうれ摘み枯らし我立ち待たむ」〈・三四五五〉

やなぎ【柳】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「柳」姓の人物
柳宗理やなぎそうり
柳宗悦やなぎむねよし

りゅう〔リウ〕【柳】

二十八宿の一。南方の第三宿。海蛇座頭部にあたる。ぬりこぼし。柳宿

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精選版 日本国語大辞典 「柳」の意味・読み・例文・類語

やなぎ【柳】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「矢の木」の意とも「楊(や)の木」の意ともいう )
    1. ヤナギ科ヤナギ属の落葉高木または低木の総称。葉は披針(ひしん)形または円状心臓形。雌雄異株。早春、葉に先だち尾状の花穂をつける。果実は成熟後二裂して冠毛のある種子を散らす。シダレヤナギ・アカメヤナギ・ミネヤナギ・コリヤナギ・ネコヤナギ・シバヤナギなどがある。材は器具・薪炭用。街路樹や庭園樹として栽植される。漢名、柳。《 季語・春 》

▼やなぎの芽《 季語・春 》

  1. [初出の実例]「うち靡く春の也奈宜(ヤナギ)とわが宿の梅の花とをいかにか別む」(出典:万葉集(8C後)五・八二六)
  2. 「八九間空で雨降る柳かな〈芭蕉〉 春のからすの畠ほる声〈沾圃〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)上)
  3. やなぎがさね(柳襲)」の略。
    1. [初出の実例]「いとなややかなるうちきに、やなぎの織物の薄き、織物かさねてきてゐ給へり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
  4. やなぎごし(柳腰)」の略。
    1. [初出の実例]「柳じゃといふうち娘のしりわいの」(出典:雑俳・長ふくべ(1731))
  5. やなぎいろ(柳色)」の略。
  6. ( 風を受けてが素直になびくところから ) 逆らわないで素直なこと。適当に受け流すこと。
    1. [初出の実例]「夢のうき世の一睡(ひとねふり)何も柳によいやさ」(出典:浮世草子・人倫糸屑(1688)短気)
    2. 「蔭でそしって目の前では柳とやらにあしらふわい」(出典:合巻・娘金平昔絵草紙(1821))
  7. 粥杖(かゆづえ)の異称。
    1. [初出の実例]「細腰を柳でたたく十五日」(出典:雑俳・柳多留‐八四(1825))
  8. 楊枝(ようじ)の異称。
    1. [初出の実例]「やなぎと娘こきまぜるやうし見せ」(出典:雑俳・柳多留‐二三(1789))
  9. 花札で、一一月を表わす札。小野道風と柳に蛙の図柄の二〇点札、柳に燕の一〇点札、および五点札、一点札が各一枚ある。雨ともいう。
    1. [ 2 ] 中世、京都の西洞院通仏光寺下ルにあった造り酒屋。また、その屋号。姓は中興(なかおき)。日像に帰依し、家宅を寺とし、柳寺と称した。また、そこで造った酒の銘。特に美味で有名なため、その名はしばしば盗用された。柳の酒。

やぎ【柳】

  1. 〘 名詞 〙 やなぎ。「青やぎ」「川やぎ」など、多く、複合語に用いる。
    1. [初出の実例]「恋しけば来ませわが背子垣つ楊疑(ヤギ)末摘みからしわれ立ち待たむ」(出典:万葉集(8C後)一四・三四五五)

柳の補助注記

「やなぎ」の略ともいうが、「や」は「楊」の字音、「き」は「木」とする説、「楊」の字音の末尾にイ音を加えてヤギとした、そのギが「木」に連想されたものとする説などもある。


りゅうリウ【柳】

  1. 二十八宿の一つ。南方七宿の第三宿。海蛇座のδ(デルタ)星付近の星宿。その形が柳の枝に似ているところから呼ばれる。柳宿。ぬりごぼし。
    1. [初出の実例]「廿八宿〈略〉井鬼柳星張翼軫〈南〉」(出典:二中歴(1444‐48頃か)五)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐郎顗伝〕

やなぎ【柳】

  1. 姓氏の一つ。

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普及版 字通 「柳」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] リュウ(リウ)
[字訓] やなぎ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は卯(りゆう)()。は留(りゅう)の省文で、その声をとるものであろう。〔説文〕六上に「小楊なり」とあり、楊柳の小茎小のものをいう。枝が柔らかく、〔詩、斉風、東方未明〕に「柳を折りて圃に樊(かき)す」とみえる。〔本草綱目、木二、柳〕の李時珍の説に、「楊枝はくして揚す。故に之れを楊と謂ふ。柳枝はくして垂す。故に之れを柳と謂ふ」と垂流の義を以て説く。六朝期のころから、楊柳詞の類が多く作られた。

[訓義]
1. やなぎ、しだれやなぎ、かわやなぎ。
2. 星座の名、鶉火、ぬりこ。
3. 柩車の蓋。
4. あつまる、斉人の語。

[古辞書の訓]
和名抄〕柳 一名小楊、之太利夜奈(しだりやなぎ)〔名義抄〕柳 シダリヤナギ/河柳 ムロ

[語系]
柳・(流)liuは同声。細く条をなす状態のものをいう。留・溜・霤liuも同声。流して溜りとなった水。屋根から細く垂れるものは霤(りゆう)。みな声義に通ずるところがある。

[熟語]
柳暗・柳闇・柳陰・柳営・柳影・柳花・柳芽・柳眼・柳橋・柳逕・柳・柳糸・柳枝・柳質・柳車・柳樹・柳絮・柳条・柳色・柳悴・柳性・柳態・柳黛・柳汀・柳堤・柳・柳眉・柳風・柳浦・柳葉・柳腰・柳緑・柳林・柳楼
[下接語]
園柳・花柳・河柳・臥柳・岸柳・杞柳・御柳・橋柳・曲柳・古柳・孤柳・沙柳・細柳・新柳・素柳・長柳・亭柳・陌柳・楓柳・柳・門柳・楊柳・緑柳・老柳

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「柳」の解説


(通称)
やなぎ

歌舞伎浄瑠璃の外題。
元の外題
三十三間堂棟由来
初演
享保16.5(大坂・佐渡島座)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「柳」の解説

柳 (ヤナギ)

植物。ヤナギ科の落葉高木,園芸植物。シダレヤナギの別称

柳 (ヤナギ・ヤギ)

植物。ヤナギ科ヤナギ属の落葉高木・低木類の総称

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【柳酒】より

…柳の酒ともいわれた。室町時代初期から江戸時代にかけて京都産の名酒の代表格とたたえられ,〈松のさかや(酒屋)や梅つぼ(梅壺)の,柳の酒こそすぐれたれ〉(狂言《餅酒(もちさけ)》)と謡われた酒で,貴紳の贈答品としても珍重された。…

【立回り】より

…〈山形〉=刀をふりかぶって山形なりに切りおろす。〈柳〉=甲が上から切りおろすのを乙が下にいて受ける。〈文七〉=相手の両脇を交互に突く。…

【祇園女御九重錦】より

…寛永期(1624‐44)半ば以降,特に寛文期(1661‐73)には親鸞記物が多作され(《しんらんき》《御かいさんしんらんき》など),また平太郎物には,1666年の《よこぞねの平太郎》,寛文末ごろの《熊野権現開帳》など,ほかに出羽掾正本《都三十三間堂棟由来(むなぎのゆらい)》(山本河内掾作)もあった。本作に先立って,歌舞伎に,1719年(享保4)8月大坂竹島座(中の芝居)の《柳女(やなぎさくら)九重錦》,31年5月大坂佐渡嶋座(角の芝居)の《三十三間堂棟由来》などがある。白河法皇の病気の原因は,前生のどくろが柳の古木の梢にかかってゆれるためとわかる。…

※「柳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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