決定(法律用語)(読み)けってい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「決定(法律用語)」の意味・わかりやすい解説

決定(法律用語)
けってい

裁判の種類を表わす法律用語。民事訴訟法上、裁判の一種であって、裁判所の裁判である点で、裁判長、受命裁判官あるいは受託裁判官の裁判たる「命令」から区別され、口頭弁論を経なくてもよい点で「判決」から区別される。決定は告知により効力を生じ、これに対する不服申立ては原則として抗告による。決定には、その性質に反しない限り判決に関する規定が準用される。裁判所は、自己のなした決定に拘束される(覊束力(きそくりょく))のが原則であるが、訴訟指揮の決定には覊束力がなく、裁判所はいつでもこれを取消変更し、抗告の場合には再度の考案(決定をした裁判所が考え直すこと)により更正できる。

 決定は、訴訟指揮、訴訟手続に付随しまたはこれから派生する事項、強制執行に関する事項の判断について行われる。たとえば、証拠決定、移送決定、時機に後れた攻撃防御方法の却下決定などである。なお、差押え命令、仮差押え命令、仮処分命令などは、その名称にもかかわらず、裁判の形式からすれば決定であって命令ではない。判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるとき決定手続で訂正する道がある(更正決定。民事訴訟法257条1項)。

 刑事訴訟法上もほぼ同様であるが、公訴棄却の決定(刑事訴訟法339条)、控訴または上告棄却の決定(同法385条以下・414条)のように終局的裁判としても決定が用いられる。なお、高等裁判所の決定に対しては抗告ではなく異議が認められる。

[本間義信]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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