竿(読み)サオ

デジタル大辞泉 「竿」の意味・読み・例文・類語

さお〔さを〕【×竿/×棹】

[名]
枝・葉を取り払った竹や木の細長い棒。物干し竿釣り竿旗竿など。合成樹脂・金属製もある。
水底に突っぱって舟を進ませる長い棒。水棹みさお。「流れに―をさす」
竿秤さおばかりの棒の部分。
測量や建築に使う間竿けんざお
三味線胡弓などの胴から上の、糸を張る長い柄の部分。また、三味線のこと。「―が入る」「太―」
箪笥たんす長持などを担ぐ棒。
石灯籠いしどうろうなどの柱の部分。
がんが1列になって飛んでいる状態。「―になれ、かぎになれ」
俗に陰茎のこと。
[接尾]助数詞
旗を数えるのに用いる。「のぼり三―」
箪笥・長持などを数えるのに用いる。「箪笥三―」
羊羹ようかんなどの棹物菓子を数えるのに用いる。「練り羊羹一―」
竿に干した洗濯物を数えるのに用いる。「洗濯物二―」
江戸時代、金座で、竿金さおがねを数えるのに用いる。
[下接語]鳴る竿竿(ざお)衣紋えもん竿掛け竿から竿けん竿い捕り竿竹竿ちゅう継ぎ竿釣り竿釣瓶つるべ竿手棹鳥竿鳥刺し竿延べ竿のぼり竿はかり竿歯竿旗竿太棹干し竿細棹もち竿物干し竿雪竿
[類語]棍棒ポールバー棒杭棒切れ延べ棒丸太丸太ん棒

かん【竿】[漢字項目]

人名用漢字] [音]カン(呉)(漢) [訓]さお
〈カン〉竹の幹でこしらえた細長い棒。さお。「竿灯竿頭竹竿ちっかん灯竿
〈さお(ざお)〉「竿竹竿秤さおばかり竹竿旗竿

かん【×竿】

[接尾]助数詞。さおの数をかぞえるのに用いる。「一竿旗竿はたざお

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精選版 日本国語大辞典 「竿」の意味・読み・例文・類語

さおさを【竿・棹・桿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 竹や木の枝葉を取り去った細長い幹。
      1. [初出の実例]「そのさほの下にこそあなは侍れ。さぐりてしたまへ」(出典:古今著聞集(1254)一六)
    2. 水底を突いて船を前進させる細長い棒。竹や木の棒を用いる。水棹(みさお)水馴棹(みなれざお)
      1. [初出の実例]「ちはやぶる宇治の渡りに佐袁(サヲ)取りに速けむ人しわが仲間(もこ)に来む」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    3. 竹で作った衣紋(えもん)掛け。衣紋竿。衣紋竹。
      1. [初出の実例]「御桿(さを)に係(かかり)たる御衣(おんぞ)を召て」(出典:今昔物語集(1120頃か)一四)
    4. 検地などで土地を測量する際に用いた定規の棒。文祿~慶長(一五九二‐一六一五)の頃は六尺三寸のものを用いたが、江戸時代は主として六尺一分のものを用いた。検地の際は長さ二間のもの一本、一間のもの二本を要した。竿には一尺ごと、六尺の間に墨線を施してある。検地竿。間竿(けんざお)
      1. [初出の実例]「田畠にさほをあてて検地をしては」(出典:仮名草子・尤双紙(1632)上)
    5. 三味線の胴から上の弦を張る長い柄の部分。また、転じて、三味線の称。
      1. [初出の実例]「さて、さほのくだりには、世の中は夢か現(うつつ)か現とも夢ともさらにありてなければ、といふ歌を、仮名字にぞ書きにける」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上)
    6. 飛行中の雁(かり)などが一列になった状態。→竿になる
      1. [初出の実例]「雁陣を見て男女児の云詞京坂にては、がんがとうりや、竿に乗てとうりや」(出典:随筆・守貞漫稿(1837‐53)二五)
    7. 歌舞伎で、役者が一例に並んだ状態。「さおに並ぶ」のかたちで用いられる。
      1. [初出の実例]「いづれも花道へ竿(サヲ)にならぶ」(出典:歌舞伎・伊勢平氏栄花暦(1782)三立(暫))
    8. 舞楽の小道具の一つで、一丈ほどの細長い棒。
      1. [初出の実例]「持棹之舞、狛鉾之一曲也」(出典:楽家録(1690)三八)
    9. 能楽の小道具の一つで、六尺ほどの細い竹。舟の作り物を出す場合に、櫂(かい)または櫓(ろ)に擬して用いる。
    10. 能楽用の太鼓(たいこ)の両方の椀形(わんけい)の部分を連絡する筒形の部分。
    11. 石灯籠(いしどうろう)の円柱の部分。竿石。
      1. [初出の実例]「苔付の石燈籠、仁平二年壬申正月正辰日と棹(サホ)に彫付けあり」(出典:浮世草子・諸商人世帯気質(1736)五)
    12. 旧式の小銃弾薬を込めるのに使う細長い鉄の棒。カルカ。込矢(こみや)
    13. 箪笥(たんす)や長持などの上に付けてかつぐのに用いる棒。
    14. キセルの柄の部分。
      1. [初出の実例]「墨染の袖枕にもきせる竿 火打の石の床に起ふし」(出典:俳諧・宗因千句(1673)上)
    15. 秤竿(はかりざお)をいう。
      1. [初出の実例]「はかりをつくるにはまづをむしをつくり、其に合てさををつくるぞ」(出典:古文真宝笑雲抄(1525)一)
    16. 釣り竿をいう。〔随筆・嬉遊笑覧(1830)〕
    17. 物干し竿をいう。
    18. 陰茎(いんけい)俗語
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 旗を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「五色幡(はた)二竿(サヲ)」(出典:日本書紀(720)欽明二三年八月(北野本南北朝期訓))
    2. 料紙などの束を数えるのに用いる。一棹は一〇束。
      1. [初出の実例]「御かたの御所へも御たる、みのかみ一さを御しん上あり」(出典:御湯殿上日記‐天正一一年(1583)三月五日)
    3. ( [ 一 ]で箪笥などをかつぐところから ) 箪笥や長持などを数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「出仕荷物、長櫃九さを遣之了」(出典:義演准后日記‐慶長三年(1598)八月二〇日)
    4. 羊羹(ようかん)やそれに類した棹物(さおもの)菓子を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「此もちにかぎって、一さを二さをと申ます」(出典:咄本・笑府衿裂米(1793)長者)
    5. 竿金(さおがね)を数えるのに用いる。

かん【竿】

  1. 〘 接尾語 〙 さおの類を数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「Iccan(イッカン)。ヒトツノ サヲ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

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普及版 字通 「竿」の読み・字形・画数・意味

竿
人名用漢字 9画

[字音] カン
[字訓] さお

[説文解字]

[字形] 形声
声符は干(かん)。〔説文五上に「竹梃なり」とあり、梃とは梃直なるもの。干にその義がある。もと筍をいい、竹竿は旗さおに用いる。

[訓義]
1. さお、はたさお。
2. たけのこ。
3. 干と通じ、おかす。簡と通じ、竹簡

[古辞書の訓]
名義抄〕竿 サヲ・フダ 〔字鏡集〕竿 サヲ・タカサヲ・フダ

[熟語]
竿・竿影竿叉・竿殳・竿首・竿竿旌・竿竹・竿頭竿牘竿杪竿旄・竿網竿綸
[下接語]
一竿・花竿・旗竿・高竿・修竿・招竿・旌竿・釣竿・輦竿

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