待つ(読み)マツ

デジタル大辞泉 「待つ」の意味・読み・例文・類語

ま・つ【待つ】

[動タ五(四)]
物事・人・時が来るのを予期し、願い望みながら、それまでの時間を過ごす。また、用意して備える。「回復を―・つ」「駅で友だちを―・つ」「日の出を―・つ」「楽屋出番を―・つ」
しようとする動作途中でやめる。普通、相手に要求する形で用いる。「ちょっと、―・ちなさい」
相手の反応態度がわかるまで静観する。「むこうの出方を―・って対処する」
(「俟つ」とも書く)それを頼りにしてまかせる。望みを託する。期待する。「良識に―・つ」「手腕に―・つ」
(「俟つ」とも書く)(「…をまたない」の形で)…するまでもない。その必要がない。「言を―・たない」
[可能]まてる
[下接句]縁と浮き世は末を待て河清を果報は寝て待て言を俟たない養わんと欲すれども親待たず歳月人を待たず人事を尽くして天命を待つ時は人を待たず時を待つ百年河清を俟つ待ちに待った論を俟たない
[類語]待ち構える待ち受ける控える待ち設ける待ち伏せる待ち侘びる待ちあぐむ待ちあぐねる待ちくたびれる待ち明かす待ち伏せ待ちぼうけ待機心待ち鶴首満を持す手薬煉てぐすね引く首を長くする爪を研ぐ身構える身構えスタンバイ控え待ち遠しい待ちどお待ち望む待ち焦がれる待ち兼ねる待望切望熱望希求願う一日千秋腕をさする腕をしびれを切らすそわそわ待てど暮らせど待ち切れない

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「待つ」の意味・読み・例文・類語

ま・つ【待・俟】

  1. 〘 他動詞 タ行五(四) 〙
  2. 人、時、物事などの到来や働きかけを予期し、期待して、その場にとどまってじっとしている。
    1. [初出の実例]「君が行き 日長くなりぬ 山たづの 迎へを行かむ 麻都(マツ)には麻多(マタ)じ」(出典古事記(712)下・歌謡)
    2. 「五月まつ花たちばなの香をかげばむかしの人の袖の香ぞする」(出典:伊勢物語(10C前)六〇)
  3. 他の動きが、こちらの行為の及ぶまで停止する。行なおうとする行為、行なっている行為を停止させる。
    1. [初出の実例]「又、をとこ、行く水と過ぐるよはひと散る花といづれまててふことを聞くらん」(出典:伊勢物語(10C前)五〇)
  4. 貯えておいて、後の用意にする。
    1. [初出の実例]「銭を俟(マツ)者の比々たる、皆是なり」(出典:東大寺本新修往生伝保元三年点(1158))
  5. ( 俟 ) よい結果が生ずるように、その事を頼りとする、その事に望みを持つ。また、その事を必要とする。
    1. [初出の実例]「但 其の人の各類を以て進むことを須(マツ)のみ」(出典:日本書紀(720)継体二四年二月(前田本訓))
  6. その人の事情などを考えて応対する。もてなす。待遇する。
    1. [初出の実例]「悍馬の如く刎ねかへる一介の青書生を国士の如く待(マ)った飯島先生の知遇に対して」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉二)
  7. 碁、将棋相撲などで、いったん行為に及んでから、それを元の形にもどす。多く「まった」の形で用いる。
    1. [初出の実例]「『這入って失敬仕り候。一寸此白をとって呉れ玉へ』『それも待つのかい』」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一一)
  8. 将棋で、意識的に相手に攻めさせて有利な条件を作り出す。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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