マンモス
[1] 〘名〙 (mammoth)
ゾウ科の
化石哺乳類。氷河時代に
北半球の寒冷地に生息したゾウ類で、最大のものは体高二・八メートル。
体形は現在のゾウに似ているが体は茶黒色の長毛でおおわれ、
上方に湾曲した長大な牙をもつ。
スゲや
カバの木などを
食料とした。ヨーロッパ北部・
シベリア・中国・北アメリカ・
北海道などで化石が発見され、シベリアでは凍土中に凍結した
遺体も発掘される。〔舶来語便覧(1912)〕
[2] 〘語素〙
名詞の上に付けて、(一)のように巨大な、大型のの意を添える。
※
新聞(1950)〈毎日新聞図書編集部〉二「中にはマンモス・
ページといって五百四十ページもの新聞が出現する
有様で」
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デジタル大辞泉
「マンモス」の意味・読み・例文・類語
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マンモス
Mammuthus; mammoth
長鼻目ゾウ亜目に属する化石属。ゾウ類を細分することに反対の学者は Elephas の属名で呼ぶことがある。この属にはいろいろな種が区別されているが,ほとんどのマンモスは現生のゾウとほぼ同大かやや小型である。真正マンモスの祖とされる M.meridionalis(または Archidiskodon)は「暖帯のマンモス」とも呼ばれ,第四紀更新世前期にアフリカ大陸からヨーロッパ南部に進出し,その後ユーラシア大陸から北アメリカ大陸まで分布を広げた。このグループから,更新世中期の草原と寒冷気候に適応した「温帯のマンモス」トロゴンテリゾウ,更新世後期のさらに寒冷な気候に適応した「毛深いマンモス」M.primigenius などが出現した。M.primigenius は,肩までの高さ最大 3m,ユーラシアや北アメリカの寒帯地域にすみ,北海道まで南下している。体毛から内臓,胃の内容まで保存されている氷漬の化石が得られており,淡褐色から暗褐色の長い剛毛に覆われ,厚い皮下脂肪をもつことや,太く,螺旋状に曲がった牙をもつ全骨格もわかっている。
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マンモス
化石ゾウの一つ。広義にはマンモス亜科の総称だが,狭義には毛長マンモス(プリミゲニウスゾウ)をさし,更新世のころユーラシア北部や北米に生息した。シベリアの毛長マンモスは肩高2.8mほどでインドゾウと等しく,ヨーロッパ産マンモス(アルメニアゾウ)は肩高3.2〜3.9mで,アフリカゾウとほぼ等しい。最大はドイツで発見されたもので,肩高4.3m。毛長マンモスは,体に褐色の長毛が密生し,皮下脂肪層の厚さは9cmもあるなど寒冷気候への適応が著しい,指は4本(現生種5本),牙(きば)は大きく(最大5m)半円状に曲がり,肩から腰にかけて体の傾きが大きいなどの特徴をもつ。シベリアからは氷づけの個体が発見され,植物片や花粉など胃の中の残渣(ざんさ)から当時の植生・気候などが推定されている。
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マンモス【mammoth】
長鼻類ゾウ科の1属。化石ゾウの1グループで,この名は〈大地に住むもの〉という意味のタタール語のママントゥに由来するといわれ,マストドンの学名のマンムトMammutと同じ語源である。また,シベリアで発見される多量のマンモスのきばを交易していたアラブ商人たちがカバを指して使ったとされるメヘモスという語,または聖書(《ヨブ記》40章)のビヒモスに由来するともいわれる。1796年にG.キュビエは,シベリアの化石ゾウがインドゾウやアフリカゾウともちがうのでエレファス・マンモスElephas mammothという学名をつけて別種とした。
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マンモス
更新世後期に,ユーラシア大陸北部および北アメリカ北部の寒冷地域に生息していた長鼻目ゾウ科の哺乳動物。現在は絶滅。最終氷期に北海道まで南下したことが知られるが,本州からは化石が発見されない。全身が長い剛毛におおわれ,太い牙,厚い皮下脂肪をもつなどの特徴があり,アジア象にくらべると小さい。シベリアやアラスカでは多数の冷凍マンモスが発見される。
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世界大百科事典内のマンモスの言及
【長鼻類】より
…中新世~更新世に広く分布したマンムト科(マンムトまたはアメリカマストドンMammut,ジゴロフォドンZygolophodon)は前科に似てしばしば同科とされるが臼歯の乳頭状突起が横列を形成する。中新世に現れたゾウ科(ステゴドンStegodon,マンモスMammuthus,現生のゾウ)は下のきばを欠き,臼歯の歯冠部が高く,咬面に多数の横畝があり,草その他の硬い植物を食べるのに適する。 アフリカの始新世~漸新世のバリテリウム科(バリテリウムBarytherium)は下の切歯が大きく,臼歯がメリテリウムに似るが,化石が貧弱で詳しいことがわからない。…
※「マンモス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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