(読み)ミャク

デジタル大辞泉 「脈」の意味・読み・例文・類語

みゃく【脈/×脉】

動物の体内で血液が流通する管。血管。
脈拍。「―が乱れる」
《医師が患者の脈拍をみて病状を診断するところから》先の望み。見込み。
「そうすれば又…―を取りかえす工夫もあるだろう」〈独歩第三者
ひとつづきになっているもの。筋道。「話の―をたどる」
[類語](2脈搏/(3望み当て可能可能性有りポシブルポシビリティープロバビリティー将来性蓋然性公算成算心当て伸び代予見予知余地予断目算駄目で元元駄目元見込み見通し見当読み見極め目当て目安目処めど展望目標予測予想予期目星計算

みゃく【脈】[漢字項目]

[音]ミャク(呉)
学習漢字]5年
血液の流れる管。「脈拍気脈静脈動脈
脈拍。「脈動死脈平脈
漢方で、気血の通う道。つぼを結ぶすじ道。「督脈任脈
筋をなして連なり続くもの。「脈絡一脈金脈語脈鉱脈山脈支脈水脈文脈命脈葉脈乱脈
連なり続くさま。「脈脈
[補説]「脉」は異体字。
難読水脈みお

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精選版 日本国語大辞典 「脈」の意味・読み・例文・類語

みゃく【脈・脉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 動物の体内で血液の流通する管。血管。ちのみち。〔文明本節用集(室町中)〕
  3. みゃくはく(脈搏)」の略。
    1. [初出の実例]「いかなる心地にか、いとあやしきを、脈なんゆかしき。心み給はん」(出典:竹むきが記(1349)上)
  4. みゃくどころ(脈所)」の略。
    1. [初出の実例]「おもしろひ所にみゃくが有な、中々人間は手にござる、かみなり殿のはかしらにござるとききまらした」(出典:虎明本狂言・神鳴(室町末‐近世初))
  5. ( 医師がまず脈搏を調べて診察するところから転じて ) 前途の見込み。先の望み。→脈がある脈がない
    1. [初出の実例]「又江間御自身の力で脈を取りかへす工夫もあるだらう」(出典:第三者(1903)〈国木田独歩〉)
  6. 一つづきになっているもの。また、そのすじみち。山脈、水脈、鉱脈、文脈、人脈など。
    1. [初出の実例]「何でも谷一つ隔てて向ふが脉の走って居る所らしい」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉一)
  7. 植物の葉などにあって、養分、水分などが流通する細い管。葉脈。〔植学啓原(1833)〕

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普及版 字通 「脈」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)
10画

(異体字)脉
9画

[字音] ミャク
[字訓] すじ

[説文解字]

[字形] 会意
(肉)+(はい)。は水脈。〔説文〕十一下に正字を)に作り、「血理れて、體に行するなり」とあり、血脈をいう。脈理の連なるところを脈絡といい、経脈という。中国の古代医学は、その経脈の研究においてすぐれた成果を示した。〔史記、鵲倉公伝〕に、古書〔脈法〕の引用がみえる。

[訓義]
1. みゃく、血のすじ、血脈。
2. すじ、みち、つらなり、つづき。
3. 水のすじ、水脈。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 脉なり。血乃美知(ちのみち)なり 〔名義抄 チノミチ/脉 チノミチ・スヂ・サヤ 〔字鏡集〕脉・ スヂ・チノスヂ・チノミチ・サヤ

[語系]
mekは(派)pheと声義の関係があり、は水の分流する形。をまた脉に作ることもあるが、永は水の合流するところをいう。

[熟語]
脈管・脈気・脈動・脈搏・脈法・脈脈・脈絡・脈理
[下接語]
按脈・陰脈・気脈・筋脈・系脈・経脈・血脈・結脈・語脈・鉱脈・察脈・山脈・支脈・診脈・腎脈・水脈・静脈・石脈・絶脈・走脈・息脈・体脈・大脈・地脈・張脈・土脈・道脈・動脈・膚脈・分脈・文脈・平脈・命脈・毛脈・余脈・絡脈・乱脈・老脈

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岩石学辞典 「脈」の解説

結晶質物質で埋められた裂罅(れっか)(fracture)または微裂罅(microfracture).脈は二次的な開いた割れ目に狭い斜に切った状態で形成される.脈は平板状の物体で,二次元的に長く,岩石の中の割れ目に沿って形成されるが,どこかで薄く消滅する.脈の物質は,貫入したマグマからか,熱水溶液からか,隣接する岩石を交代したか,隣接の岩石から染み出したかのいずれかによって形成される[Agricola : 1561, Park & MacDiarmid : 1964].ラテン語venaは脈の意味.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「脈」の解説

 脈拍ともいう.心臓の拍動.

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【鍼灸】より

…種々の手法が存在したらしいが,もっとも普通に用いられてきたのは,経穴(俗につぼという)という体表の特定の部位を刺激して,多くの場合そこから離れた部位にある病変を治癒させるものである。鍼灸の治療理論になっている経脈(けいみやく)説は,人体には経脈という脈管があり,そのなかを気が循環して生理機能をつかさどっているというもので,その基礎は漢代に成立したと考えられる。経穴は経脈上に散在しているが,それが各人に固定した点であるか,狭い範囲ではあるが移動するものであるかについては定説はない。…

【中国医学】より

…このほかに扁鵲(へんじやく)などに代表されるような民間の医者も存在した。中国医学の思想体系がととのいはじめたのはこの時代で,遅くとも戦国時代の末には陰陽説が導入され,経脈の考えが発生していたと考えられる。五行説の導入も同じころに行われたと推定される。…

※「脈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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