普及版 字通 「兄(漢字)」の読み・字形・画数・意味
兄
常用漢字 5画
[字訓] あに
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
口+人。〔説文〕八下に「長なり」と長兄の意とし、〔段注〕に「口の言は盡くること無し。故に儿口を以て長のと爲す」と滋益・滋長の意を以て解する。口は(さい)、祝詞を収める器。そのことを掌る人を兄という。字の構造は、見や望の初形が目に従い、聞の初形が耳に従い、光の初形が火に従い、それぞれの下に人を加えるのと同じ造字法である。長兄は家の神事を掌るもの、すなわち祝となるべきものであった。卜文・金文の字形に、袖に飾りをつけて舞い祈る意を示すもの、またく形のものがあって、兄は神事に従うものであったことが知られる。
[訓義]
1. あに、長兄。
2. すぐれたもの、大きいもの、まさる。
3. 親しい同輩者に対する敬称。
4. と通じ、ますます、いよいよ。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕兄 古乃加美(このかみ)、日本紀私記に云ふ、伊呂(いろね)〔名義抄〕兄 アニ・コノカミ・エダ・シゲシ 〔字鏡集〕兄 コノカミ・イロネ・シゲシ・カツ・アニ
[部首]
〔説文〕にをこの部に属して「競なり」とし、「一に曰く、兢、なり」という。を(かい)声とするが、その字は兢の繁文とみてよく、いずれも二祝並んで祝するとき、頭に呪飾を加えている形。競は(きよう)に従ってその略形、言とは祝の詞をいう。〔説文〕に「彊語なり」とするが、二人並んで、競うように祈る意である。
[声系]
〔説文〕に兄声として・況の二字を収め、〔新附〕の字にがある。卜文・金文の兄に袖飾りのある字は、の意に用いられており、祝(いの)ることのうちに(おく)る意があるのであろう。・況(况)は、巫祝が祝しているときの恍惚の状をいう語。神意にかなって恍惚の状となることを兌(えつ)(悦)といい、また脱という。脱とはエクスタシーの状態をいう。
[熟語]
兄愛▶・兄兄▶・兄公▶・兄子▶・兄事▶・兄▶・兄章▶・兄壻▶・兄▶・兄長▶・兄弟▶・兄伯▶
[下接語]
阿兄・家兄・寡兄・雅兄・外兄・学兄・貴兄・義兄・愚兄・敬兄・賢兄・吾兄・次兄・事兄・慈兄・実兄・舎兄・従兄・諸兄・仁兄・尊兄・大兄・仲兄・長兄・弟兄・伯兄・父兄・令兄・老兄
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報