デジタル大辞泉 「凡」の意味・読み・例文・類語

ぼん【凡】[漢字項目]

常用漢字] [音]ボン(呉) ハン(漢) [訓]すべて およそ
〈ボン〉
全体を通じて。おしなべて。「凡百
一般的で特に目立たない。普通。「凡作凡人凡打凡退凡夫凡庸超凡非凡平凡平平凡凡
〈ハン〉全体にわたるさま。あらまし。「凡例
[名のり]ちか・つね・なみ
[難読]大凡おおよそ

おお〔おほ〕【凡】

[形動ナリ]《「おぼ」とも》
事物の形状や人の心情などが、はっきりしないさま。ぼんやりしているさま。いいかげん。
佐保山を―に見しかど今見れば山なつかしも風吹くなゆめ」〈・一三三三〉
事物の状態などが、他と比べて特に際立っていないさま。普通。
「吹く風も―には吹かず立つ波ものどには立たぬ」〈・三三三九〉

おおし〔おほし〕【凡】

[副]おおよそ。総じて。
「―垣下かいもとあるじ、甚だ非常ひざうに侍りたうぶ」〈・少女〉

ぼん【凡】

[名・形動]ごく普通であること。ありふれていること。また、そのさま。平凡。「ならざる才能」

おぼ【凡】

[形動ナリ]おお(凡)

はん【凡】[漢字項目]

ぼん

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精選版 日本国語大辞典 「凡」の意味・読み・例文・類語

おおおほ【凡・大】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「おほほし(鬱)」「おぼろ(朧)」などの「おほ」「おぼ」と同意。物の形、状態、量、大きさ、感情などがはっきりとしていないさま、漠然としているさま。多く「おおに」の形で用いられる )
    1. 物の形、状態がはっきりしていないさま。また、気持、考えが明確でなくぼんやりしているさま。いいかげん。
      1. [初出の実例]「天(そら)数ふ大津の子が会ひし日に於保爾(オホニ)見しくは今ぞくやしき」(出典:万葉集(8C後)二・二一九)
    2. きわ立っていないさま。普通である、なみなみであるさま。
      1. [初出の実例]「凡有(おほなら)ばかもかもせむをかしこみと振りたき袖を忍びてあるかも」(出典:万葉集(8C後)六・九六五)
    3. ( 大 ) 大きいさま。大きめに。ゆったりと。
      1. [初出の実例]「夏影の房(つまや)の下に衣裁つ吾妹 裏設(ま)けてわがため裁たばやや大(おほに)裁て」(出典:万葉集(8C後)七・一二七八)
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙
    1. 広大の意を添える。「おおむろや」「おおいし」「おおうみ」など。
    2. 多量の意を添える。「おおゆき」など。
    3. 賛美、尊敬の意を添える。「おおきみ」「おおみき」など。
    4. 血筋順序上位の意を表わす。「おおあね」「おおひめぎみ」など。
    5. 程度のはなはだしい意を表わす。「おおぬすびと」「おおおそどり」など。

凡の語誌

( 1 )[ 二 ]は「おおき(大)」に対応し、[ 二 ]は「おおい(多)」に対応する。「おおきい(大)」と「おおい(多)」とは本来同源であり、後に分化したものと考えられるので、接頭語「おお」は未分化の状態を残しているといえる。
( 2 )[ 二 ]の場合、現在ではふつう「だい」を用いるような漢語にも、明治期には「おお」が使われることが多い。(「大失策(オホシッサク)」「大賛成(オホサンセイ)」など)。


ぼん【凡】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) なみであること。ありふれたこと。世俗的であること。また、そのさま。普通。平凡。
    1. [初出の実例]「垂凡入一レ聖之時」(出典:往生要集(984‐985)大文一〇)
    2. [その他の文献]〔魏志‐董昭伝〕

おほ【凡】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙おお(凡)

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普及版 字通 「凡」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

(旧字)
3画

[字音] ボン・ハン
[字訓] はこぶ・およそ・すべて・なみ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
盤(ばん)の形。舟も盤の形にしるされ、般・搬にものをはこぶ意がある。〔説文〕に字を二の部十三下に属し、「最括(さいくわつ)するなり。二に從ふ。二は偶なり。(きふ)に從ふ。は古なり」という。相及ぶものを連及してまとめる意とする。卜文・金文字形は盤の形。〔説文〕が「最括」とし、字を二に従うとするのは、最の上部との字形の関連に注目したのであろうが、最は戦場での耳を掩いとる形で、とは関係がない。金文の〔散氏盤〕に「て十五夫なり」のように、合計の意に用いる。の形はまた卜文の風を示す鳳形の鳥にも、声符として加えられており、鳳は風の初文である。

[訓義]
1. はこぶ、うごく。
2. すべて、みな、あらまし、およそ。
3. つねの、なみの、しきたり、いやしい。

[古辞書の訓]
名義抄 スベテ・オホヨソ 〔字鏡集〕 カゾフ・ミナ・コトゴトク・カルシ・アナグル・ヲロカナリ・ヲコス・スベテ・カス

[声系]
〔説文〕に声として・鳳・汎・風など五字を収める。一下は「艸んなり」、汎十一上は「く皃なり」とあり、声の字に風行して盛んなるものの意がある。梵は後起の字。〔説文新附〕六上に録し、仏典などの音訳語に用いる。

[語系]
・泛・鳳biumは同声。浮かびめぐるものの意がある。般buanももとに従う字で、盤の初文。

[熟語]
凡最・凡首・凡数・凡物・凡目・凡有・凡類・凡例・凡医・凡界・凡格・凡間・凡器・凡境・凡近凡偶・凡下・凡語・凡骨凡瑣・凡才・凡材・凡子・凡弱・凡手凡衆凡庶・凡小・凡冗・凡常・凡心・凡人・凡聖・凡世・凡生・凡浅・凡賤・凡俗・凡短・凡致・凡智・凡儔・凡等・凡盗・凡馬・凡輩・凡卑・凡百・凡夫・凡民・凡庸・凡要・凡吏・凡流・凡倫・凡劣・凡陋・凡猥
[下接語]
異凡・挙凡・愚凡・下凡・撮凡・塵凡・仙凡・総凡・大凡・超凡・都凡・発凡・非凡・卑凡・平凡

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