(読み)スン

デジタル大辞泉 「寸」の意味・読み・例文・類語

すん【寸】[漢字項目]

[音]スン(呉) [訓]き
学習漢字]6年
長さの単位。尺の10分の1。「寸陰寸尺方寸
長さ。「寸法原寸同寸
ごくわずか。「寸暇寸志寸時寸借寸前寸断寸評
[難読]寸寸ずたずた寸銅ずんどう寸銅ずんど一寸ちょっと燐寸マッチ八寸やき

き【寸】

[接尾]
古代における長さの単位の一。後世曲尺かねじゃくすんに相当する。
「御歯の長さ一―ひとき」〈・下〉
古く、馬のたけを測るのに用いる語。4尺を基準とし、それより1寸、2寸、…8寸と高ければ、それぞれ「ひとき」「ふたき」…「やき」といい、9寸以上は「丈に余る」という。また、3尺9寸は「かえりひとき」という。
黒栗毛なる馬の、たけ八―あまりばかりなる」〈宇治拾遺・七〉

すん【寸】

尺貫法の長さの単位。1寸は1尺の10分の1で、約3.03センチ。
長さ。寸法。「足らず」
ごく短いこと。また、ごく少ないこと。
「彼をふるい此を移せど―の紙だになし」〈蘆花不如帰
近世の遊里で、局女郎つぼねじょろう揚げ代を表す語。1寸が1匁または100文にあたる。

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精選版 日本国語大辞典 「寸」の意味・読み・例文・類語

すん【寸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 尺貫法で長さの単位。一尺の十分の一。一分の十倍。一寸は、明治八年(一八七五)以来の、折衷尺を基準とする曲尺(かねじゃく)では、約三・〇三センチメートル。くじら尺では、約三・七九センチメートル。
    1. [初出の実例]「凡度。十分為寸。十寸為尺。十尺為丈」(出典:令義解(718)雑)
    2. 「御くしの裾までけさやかに〈略〉いと美しげにて七八寸ばかりぞ余り給へる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    3. [その他の文献]〔大戴礼‐主言〕
  3. 長さ。寸法。
    1. [初出の実例]「顔の持ちやう、貴人の御顔にあてて、そのすんに持つべし」(出典:花鏡(1424)時節当感事)
    2. 「ああ、あの女形の。━寸(スン)のちょいと短い」(出典:春泥(1928)〈久保田万太郎〉向島)
  4. 短いこと。少ないこと。
    1. [初出の実例]「五郎もかげのごとくすんもはなれずして、もろともにとほりけり」(出典:曾我物語(南北朝頃)四)
    2. 「父の寸のゆがみをとがめて、三従の戒をわすれたり」(出典:俳諧・父の終焉日記(1801)五月二日)
    3. [その他の文献]〔老子‐六九章〕
  5. 手首の下の動脈のうつ箇所のこと。患者の橈骨(とうこつ)動脈の茎状突起部に、医者の反対側の中指の指頭をおき、無名指食指を添え、そのおのおの当たっている箇所を、関部、寸部、尺部という。
    1. [初出の実例]「人の両の手に寸(スン)・関・尺の三部」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)二)
  6. 近世、江戸の吉原その他で、局女郎(つぼねじょろう)の揚代を表わすのに用いる語。一寸が一匁(または、百文)にあたる。
    1. [初出の実例]「位は一を一寸とも月ともいふ、二は二寸とも影ともいふ」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)一)
  7. カブ賭博で、数を数えるのに用いる語。数によってつかない場合もあり、地方によって異なる。
    1. [初出の実例]「四郎三郎はつけ目出入なしとあたまから、三郎左衛門は七すん」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)八)

き【寸】

  1. 〘 接尾語 〙
  2. 古代での長さの単位の一つ。近年の寸(すん)(=約三センチメートル)に相当する。
    1. [初出の実例]「御歯の長さ一寸(ひとき)、広さ二分(ふたきだ)」(出典:古事記(712)下)
  3. 昔、馬の丈(たけ)を測るのに用いた語。馬は、四尺を標準として馬長(うまたけ)といい、それ以上の場合、一寸(ひとき)、二寸(ふたき)、七寸(ななき)、八寸(やき)などといった。九寸(一説に八寸)以上を、「丈(たけ)に余る」という。三尺九寸は「かえり一寸」という。一説に四寸から七寸までに限っていったという。
    1. [初出の実例]「むまのたけ八きばかりなる一つ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)

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普及版 字通 「寸」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

[字音] スン・ソン
[字訓] わずか

[説文解字]

[字形] 会意
(又)(ゆう)+一。手指の形、指一本の幅を寸という。拇指と中指をひろげて、手首をそえた形は尺。寸はその十分の一にあたる。〔大戴礼、主言〕に「指を布きて寸を知り、手を布きて尺を知る」という。〔説文〕三下に「十なり。人の手、一寸を卻(しりぞ)くところの動、之れを寸口と謂ふ」とするが、寸口は脈の大候の存するところで、医術上の用語。尺字条八下に「の制、寸・尺・咫(し)・・常・仞の度量は、皆人の體を以て法と爲す」とあり、尋は左右の手を広げた長さ、常は尋を折り返した織物の長さである。わが国では手指四本をならべた長さは「つか」、「ひろ」は左右の手を伸ばした長さ。尋とひろは同じ長さであるから尋を「ひろ」と訓するが、寸にあたる国語はない。

[訓義]
1. すん。
2. わずか、すこし。

[古辞書の訓]
名義抄〕寸 キダキダ・ツダツダ 〔立〕寸 ワヅカ・ツダツダ・ミジカシ

[部首]
〔説文〕に寺・將(将)・・專(専)・(導)の六字を属し、〔玉〕に射・尉など三字を加える。字の初形からいえば、みなに従う字で、寸尺の寸の意をもつものはない。字書の寸部の字も同じ。ただ(らつ)は手中に物のある形の字である。

[声系]
〔説文〕にを寸声とし、「切る」と訓する。村の初文は邨、もと屯(とん)声の字である。忖は〔新附〕十下にみえ、忖度(そんたく)することをいう。

[熟語]
寸意・寸陰・寸暇寸罅・寸函寸柬寸閑寸簡・寸願・寸・寸許寸景・寸隙・寸功・寸口・寸刻・寸札・寸私・寸紙・寸時・寸尺・寸旬・寸書寸壌・寸心・寸刃・寸寸・寸誠・寸節寸截・寸絶寸牋・寸善・寸・寸丹・寸断・寸地寸衷・寸楮・寸腸・寸鉄・寸土・寸馬・寸府・寸分・寸兵・寸歩・寸補・寸眸・寸報・寸脈寸廩寸縷・寸裂・寸禄
[下接語]
一寸・運寸・盈寸・環寸・径寸・原寸・高寸・裁寸・尺寸・積寸・丹寸・長寸・膚寸・分寸・方寸・

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寸」の意味・わかりやすい解説


すん

尺貫法の長さの単位。尺の10分の1をいう。現行の曲尺(かねじゃく)の1寸は33分の1メートルである。中国古代から用いられてきたが、時代により尺の長さに変化があったため、寸も一定していなかった。『大戴礼(だたいれい)』に「布指知寸」とあり、この「指」は親指をさし、「寸」は親指を当てたくらいの長さとしている。このことから、尺とは独立に発生したものと思われる。

[小泉袈裟勝]

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改訂新版 世界大百科事典 「寸」の意味・わかりやすい解説

寸 (すん)

尺貫法の長さの単位。古代中国から,また日本でも大宝令以前から用いられてきた。1/10尺に等しく,1891年制定の度量衡法では1/33m,すなわち約3.03cmで,分量単位は1/10寸の厘,以下,十進法による毛,糸である。また鯨尺1寸は鯨尺1/10尺に等しく,約3.8mmで,分量単位は1/10寸の鯨尺分である。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「寸」の意味・わかりやすい解説

寸【すん】

尺貫法の長さの単位。1寸=1/10尺=100/33cm≒3.0303cm。→
→関連項目

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単位名がわかる辞典 「寸」の解説

すん【寸】

長さの単位。1寸は1尺の10分の1。約3.03cm。中国では古代から、日本でも8世紀から使われた。1寸の長さは時代によって異なり、もともとは、親指の幅にちなんだ長さだったとされている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寸」の意味・わかりやすい解説


すん

尺貫法」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【尺】より

…ここで実効上というのは,法文上は尺を長さの単位の基本としていることによる。したがって1尺は約30.303cmであり,分量単位は1/10尺の寸,以下十進法による分(ぶ),厘,毛である。倍量単位は寸法用と距離・間隔用に分かれ,寸法用の倍量単位は10尺に等しい丈,距離用の倍量単位は6尺の間(けん),60間の町,36町の里である。…

【度量衡】より


[起源]
 度量衡の起源は大別して次の五つに含まれるであろう。(イ)腕や足の長さ,腰まわりなど,人体の諸部分の寸法,(ロ)穀粒の長さや質量など,自然物のサイズ,(ハ)たる1杯の体積など,道具のサイズ,(ニ)1日に歩くことのできる道のり,半日で耕すことのできる農地の面積など,人や家畜の能力,(ホ)特定の周波数の音を発する笛の長さなど,物理法則。いうまでもなく現今の精密測定の基準とする諸単位は,もっぱら(ホ)に着目する方法で厳密に定義されるが,史上の度量衡の名称や実体を理解するためには,(イ)~(ホ)にも注意する必要がある。…

※「寸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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