普及版 字通 「工(漢字)」の読み・字形・画数・意味
工
常用漢字 3画
[字訓] たくみ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
工具の形。〔説文〕五上に「巧なり」とし、「人の規(きく)るに象るなり。巫と同なり」とする。巫のもつところは、左・(尋)・隱(隠)の字形に含まれる工と同じく、神事に用いる呪具。工具の工は、金文に鍛冶の台の形にみえるものがあり、巫祝の用いるものとは異なるものであろう。金文の〔明公(めいこうき)〕に「魯侯に工(えうこう)(あ)り」とは、祝の功あるをいい、また〔詩、小雅、楚茨〕「工(いの)ることを致す」、〔詩、周頌、臣工〕「嗟嗟(ああ)臣工 爾(なんぢ)の(宮)に在るを(つつし)め」とある工祝は巫祝、臣工は神事につかえるものであった。〔書、酒誥〕に「宗工」「百宗工」の名があり、これも神事を主とするものであろうが、のち百工・百官の意となった。西周後期の〔伊(いき)〕に「康宮の王の臣妾・百工を官(司)せよ」とあるのは、宮に隷属する職能的品部をさすものであろう。
[訓義]
1. 巫祝、楽人、神につかえる者。
2. たくみ、工作者、作る。
3. つかさ、役人。
4. てがら、業績、功と通用する。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕工 太久美(たくみ)〔名義抄〕工 タクミ・ツカサ 〔字鏡集〕工 タクミ・タクミツカサ
[部首]
〔説文〕に式・巧・(巨)をこの部に属し、前部には左、後部には(てん)・巫を連ねる。は定規で工作の器。工の中間に把握のところを加えた形。巫祝の用いる工にはそのような把手を加えることがなく、巫祝の工と工作の工とは、もと別事異物である。ただその形が似ているので、のち通用するに至ったのであろう。
[声系]
〔説文〕に工声として(きよう)・攻・(空)・江・紅・功など二十字を収める。・攻・功は工具の意をとるが、・江は虹のようにゆるく彎曲する形をとるもので、虹の象形。巫祝・工具の工とは、また別系である。
[語系]
工・功・攻kongは同声。虹hong、khongは中空で彎曲する形のもの。金文の工にも、下の画を彎曲した形に作るものがある。
[熟語]
工夫▶・工役▶・工価▶・工歌▶・工学▶・工気▶・工綺▶・工技▶・工芸▶・工賈▶・工瞽▶・工巧▶・工細▶・工作▶・工肆▶・工師▶・工詩▶・工事▶・工祝▶・工竣▶・工女▶・工匠▶・工商▶・工賑▶・工人▶・工成▶・工拙▶・工絶▶・工銭▶・工緻▶・工遅▶・工程▶・工丁▶・工頭▶・工費▶・工筆▶・工部▶・工蜂▶・工力▶・工麗▶
[下接語]
衣工・医工・化工・加工・歌工・画工・楽工・完工・勧工・起工・鬼工・伎工・技工・玉工・金工・献工・細工・施工・紙工・梓工・漆工・手工・舟工・衆工・竣工・書工・諸工・女工・商工・職工・臣工・神工・鍼工・人工・石工・大工・鍛工・着工・彫工・天工・典工・土工・刀工・陶工・同工・農工・罷工・百工・仏工・妙工・名工・木工・冶工・傭工・良工・伶工
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報